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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】「炎」に並ぶ8週首位を達成、Aimer 「残響散歌」好調キープの内的要因

最新のビルボードジャパンソングスチャートから注目点を紹介します。

2月14~20日を集計期間とする2月23日公開(2月28日付)ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。Aimer「残響散歌」が6週連続、通算8週目の首位を獲得しました。

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「残響散歌」の8週首位獲得はLiSA「炎」に並ぶ快挙。星野源「恋」の11週にいよいよ近づいてきました。

 

今回の集計期間において、Aimerさん側の露出は特に目立っていなかった印象があります。前週はテレビパフォーマンス、THE FIRST TAKE登場、『「鬼滅の刃遊郭編』(フジテレビ)最終回放送とトピックが目立ったことでポイントをおよそ1.5倍に伸ばした形です。

ゆえに今週は下落幅が際立つ可能性もあったのですが、最新ソングスチャートにおけるポイント前週比は91.1%となり、1割弱のダウンにとどめています。

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前週に比べて大きくダウンしているのがTwitterですが、逆に言えば最新ソングスチャートの集計期間中に大きな話題が少なかったにもかかわらず31位に入っているのは立派と言えます。またダウンロードはテレビでの露出がとりわけタイムリーに反映される指標であり、テレビパフォーマンスや鬼滅の刃効果の反動が前週の4分の3になった理由と捉えていいでしょう。

また記事で数値が可視化されている動画再生回数は、5,979,516→4,439,104回となり前週比74.2%に。こちらは前週解禁されたTHE FIRST TAKEの効果が薄れてきたゆえと考えられます。

 

一方で、ダウンロードと並ぶ所有指標であるフィジカルセールスがここにきて前週比153.0%と急伸。これは2月16日にこの曲のアナログがリリースされたことに伴います。

アナログが加算されることは、たとえば昨年秋に竹内まりや「プラスティック・ラブ」が1万枚以上を売り上げたことで総合でも初めて100位以内に登場したことから明らかです。このアナログリリースが、所有指標の落ち込みを抑えた要因と言えます。

また、最新ソングスチャートで強さを発揮したのがカラオケ。上がりにくく且つ新曲が上位進出しにくい同指標において、100位以内ランクインのわずか4週後にトップ5入りを果たしています。

 

加えて、ストリーミング再生回数の前週超えという状況は見事というしかありません。

最新ソングスチャートの集計期間中は前週のような祝日が存在せず、ストリーミング再生回数を維持するのは難しい状況です。前週のソングスチャートにおけるストリーミング記事(→こちら)と最新ソングスチャートの同指標の記事(上記参照)を比べると、この2週続けてトップ10入りした9曲のうち、再生回数を伸ばしたのはSaucy Dog「シンデレラボーイ」、そしてAimer「残響散歌」のみなのです。

デイリー200位以内の再生回数が可視化されたSpotifyの推移では、「残響散歌」が首位を獲得した2月8日に初めて24万回を突破すると金曜(祝日)に27万、土曜に28万を突破し、『「鬼滅の刃遊郭編』最終回が放送された日曜には最高となる28万4千強を獲得。その勢いをキープした結果、最新ソングスチャートの集計期間においては金曜を除き27万回を超えており、露出等を経て一段高いところに到達したと言えるでしょう。

 

 

所有指標のデジタルにおけるダウンをアナログが補完し、接触指標では動画再生がダウンするもストリーミングが上昇、そしてカラオケの上昇もあってポイント下落幅を1割以内に抑えたAimer「残響散歌」の強さにはただただ驚かされます。

気になるのは次週。アナログ効果が薄れ、ストリーミングもピークを超えた感があり、また最も失速しやすいラジオ指標では急落の可能性も考えられます。フィジカルリリース曲のポイント下落幅は未リリース曲より大きくなりがちであり、1割以上のダウンも予想される中にあってAimer「残響散歌」が1万ポイントを超えてくるか、そして同じ鬼滅の刃関連のLiSA「炎」を上回る9週首位達成となるかに注目しましょう。