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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】Aimer「残響散歌」を通算5週目の首位に導いた様々な訴求とは

最新のビルボードジャパンソングスチャートから注目点を紹介します。

1月24~30日を集計期間とする2月2日公開(2月7日付)ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。Aimer「残響散歌」が3週連続、通算5週目の首位を獲得しました。

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総合ソングスチャートの記事によればAimer「残響散歌」は動画再生、ラジオおよびカラオケでポイントが増加。カラオケは認知度の上昇に伴う自然増と考えられます。またラジオについては今回の集計期間が首都圏ラジオ局における聴取率調査週間であり("スペシャルウイーク"と銘打つ豪華企画等の開催はこのため)、この期間においてはここ最近のヒット曲がより多くかかる傾向があります。

そして動画再生については、集計期間中の金曜に公開された「カタオモイ」のTHE FIRST TAKE登場も影響したと考えられます。「カタオモイ」自体も総合ソングスチャートに再登場し、2019年5月に記録した82位を上回る62位を記録しました。

さらにはカップリング曲をまとめたアルバム『星の消えた夜に』も、最新2月2日公開分(2月7日付)ビルボードジャパンアルバムチャートで3位に初登場を果たしています。フィジカルセールスは3位、ダウンロードおよびルックアップは4位と偏りがないことも特徴です。

 

つまり、THE FIRST TAKE出演やアルバムリリース等様々な側面から注目を集めることでAimerさん自身の認知度等上昇につながり、それが「残響散歌」の5週目首位獲得につながったと考えます。フィジカルセールス加算3週目となった当週、「残響散歌」のポイント前週比は95.4%でした。フィジカル関連指標は作品を押し上げる一方でリリース後のダウン幅も大きくなるゆえ、この数字は見事と言えるのです。

社会的に話題となったアニメのタイアップ曲でありフィジカル関連指標が加わったという点で共通するKing Gnu「一途」(総合2位)は、フィジカルセールス加算3週目だった1月19日公開分(1月24日付)におけるポイント前週比が89.2%となり、9割を割っています。ここに「残響散歌」と「一途」との差がみえてくると言えるでしょう。

 

しかも「残響散歌」、そしてAimerさんには今後も様々な注目が集まると考えられます。

まずはTHE FIRST TAKEの再出演。同チャンネルにおいては同一歌手が2回、中2回をおいて登場します。水曜および金曜が公開となるTHE FIRST TAKEにおいて「カタオモイ」は1月28日金曜公開であり、次回は2月9日水曜の登場が見込まれるのです。またTHE FIRST TAKE披露曲は1回目が過去の名曲、2回目が新曲披露という傾向を踏まえれば、ともすれば次回は「残響散歌」となる可能性も考えられます。

そして2月7日放送の『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)にAimerさんが登場し、「残響散歌」等を披露することが決定しています。THE FIRST TAKE2回目出演やテレビ露出は再来週(2月16日公開分(2月21日付))に影響を及ぼすことになりますが、次週公開のチャートでは「カタオモイ」のTHE FIRST TAKEやアルバム効果が持続する可能性は高いでしょう。Aimerさん側のスケジュールの組み方、非常に巧いですね。

 

巧いといえば、Aimerさんのツイートにおける配慮や心遣いにも唸らされます。

Aimerさんが紹介したYouTubeチャンネルの"しらスタ【歌唱力向上委員会】"については、自分も参加した音楽ナタリー開催の座談会でもその影響力が話題となりました(優里が年間総合1位を獲得!Billboard JAPANチャートから振り返る2021年の音楽シーン - 音楽ナタリー(2021年12月10日付)参照)。このチャンネルで「カタオモイ」のTHE FIRST TAKEが採り上げられたこともAimerさん自身への評価上昇につながり、次週はソングス/アルバム両チャートにその勢いが表れるでしょう。そしてその影響力を増幅させることにもつながるAimerさん自身によるチャンネルへの感謝の意、素晴らしいと思います。

またAimerさんのスタッフがビルボードジャパンソングスチャートの制覇についてきちんと報告されているのも好いですね。このようなツイートはライト層に歌手の凄さを知らしめ、そしてコアなファンの結束力を高めることにもつながるはずです。

 

歌手側に特段大きな活動がない週でも、ツイートがさらなる飛躍をもたらすと言えるでしょう。