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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】9週首位&7連覇達成のAimer 「残響散歌」における施策、そして第1四半期制覇について

最新のビルボードジャパンソングスチャートから注目点を紹介します。

2月21~27日を集計期間とする3月2日公開(3月7日付)ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。Aimer「残響散歌」が7週連続、通算9週目の首位を獲得しました。

通算9週の首位は星野源「恋」の11週に次ぐ歴代2位、そして連続首位獲得週数では「恋」に並ぶ最長記録を樹立したAimer「残響散歌」。最新ソングスチャートでは8指標中5指標を制するという圧倒的な強さをみせています。

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Aimer「残響散歌」は11002ポイントを獲得し、3週連続且つ通算6週目となる1万ポイント突破。2週前の2月16日公開分(2月21日付)ではテレビ出演やTHE FIRST TAKE公開等を背景にポイントが前週から1.5倍近く伸び、前週はアナログ投入でフィジカルセールスが伸びたことに伴いポイントの下げ幅を抑えることに成功しています。前週の動向は下記に。

今週はアナログセールスの反動もあり、またフィジカルリリースの曲は未発売曲に比べて下げ幅が大きくなる傾向があるものの、「残響散歌」はポイント前週比85.8%に。ポイント減少をとどめた理由に挙げられるのが、ラジオ指標の20→1位という急浮上。OA回数では3位となったこの曲の上昇理由を、データ提供元でOA回数チャートを発表するプランテックは以下のように説明しています。

3位はAimer(エメ)「残響散歌」が前週20位から再浮上した。テレビアニメ「鬼滅の刃遊郭編オープニングテーマだった同曲は、昨年12月6日の先行配信とともに同週12月6日〜12/12チャートで8位に初登場。その後、1月12日のシングルリリース、2月9日の“THE FIRST TAKE”披露、2月13日の同アニメ最終回放送とトピックが続いたこともあり大量オンエアを維持してきたが、今週、再びオンエアが急伸し最高位をマークすることとなった。

なお、今週はFM-NIIGATAのCM枠“パワープッシュ”でまとまった数のオンエアが確認されたことをはじめ、複数局で大量オンエアがあるなどプロモーションと推測されるオンエアも目立った。ラジオオンエアがストリーミングサービスでの再生数に影響することが言われているが、実際に同曲はここ最近、各社ストリーミングサービスで首位を飾っていることから、その成果がしっかり表れているようだ。

記事における『ラジオオンエアがストリーミングサービスでの再生数に影響する』ことが事実かは不明ですが、OAリストをサブスクのプレイリスト化しリスナーに発信していれば十分考えられます。そして複数局の大量オンエアを『プロモーション』と表現していることがポイントで、たとえばレコード会社がヘビーローテーション(放送局によって呼び名に違いあり)を推薦する際の営業を「残響散歌」でも行ったものと推測可能です。

ラジオOA回数をビルボードジャパンソングスチャートが指標化する際、聴取可能人口等が加味されます。すなわち聴取可能範囲が広い放送局にピンポイントに働きかければ、OA回数以上の順位を指標化の際に獲得できると言えます。「残響散歌」におけるレコード会社の営業はその点に長けているのです。日本のレコード会社によるチャートへの意識上昇が伺えます。

Aimerさん側は毎週きちんとチャートヒットへの御礼を述べていますが、これもまた意識付けがなされていることの証明でもあります。

 

 

今回のソングスチャートで第1四半期が終了。様々な施策も功を奏したAimer「残響散歌」は2位のKing Gnu「一途」を4万ポイントも上回り、圧倒的な強さで首位を獲得しました。

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第1四半期で注目すべきは、昨年度終盤から勢いづいてきた、もしくはリリースされた曲が多く登場していること。「残響散歌」やKing Gnuの2曲、さらにマカロニえんぴつ「なんでもないよ、」や優里「ベテルギウス」、宇多田ヒカル「君に夢中」のほか、Saucy Dog「シンデレラボーイ」やDa-iCECITRUS」は今年に入り(さらなる)ブレイクを果たしています。バンド、そしてロックテイストなサウンドも多い状況です。

冒頭で紹介したビルボードジャパンの記事では、『今年度第一四半期を終え、「残響散歌」は早くも年間首位候補に名乗りを上げた』とあります。獲得ポイントを見れば「残響散歌」は急落がない限り年間トップ10入りは濃厚と言えますが、今後Aimerさん側がどのような施策を投じてポイント減少を抑えてくるか、非常に興味深いですね。