イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【マイベスト】2021年10月の私的トップ10ソングス、選びました

昨年1月にスタートした【私的トップ10ソングス+α】企画、今回は2021年10月分です。前の月にリリースされた曲を中心に、しかしその縛りは出来る限り緩くした上で選んでみました。ミュージックビデオ等動画がない曲は巻末のプレイリスト(Spotify)でチェックしてみてください。

過去の私的トップ10ソングスや2021年上半期、および2020年上・下半期の邦楽ベストソングスについてはこちらに。ちなみに個人的に毎回チェックしているプレイリストは現時点において主に、New Music WednesdayNew Music Friday JapanNew Music FridayおよびMonday Spinです。

 

 

10位 瑛人「風旅」

おそらくチャートアクション的には”「香水」の”という形容がつくのかもしれませんが、個人的には最早その形容は不要ではないかと。森山直太朗さんが所属する事務所に入ったことは大きなプラスで、アコースティックなサウンドの持ついい意味でのいなたさとポップネスが絶妙にブレンドされ、独自の世界観を構築。余談ですが、歌い出しがおおはた雄一さんを彷彿とさせることで、CM依頼等も舞い込みそうな予感がします。

 

9位 マジッド・ジョーダン「Summer Rain」

ドレイクのOVOサウンドに所属するマジッド・ジョーダン。音は明らかにザ・ウイークエンドが「Blinding Lights」で確立された1980年代サウンド復権の流れなのですが、個人的にはミュージックビデオのお洒落さと切り替えの速さから、スカイラー・スペンス「Affairs」を想起した次第です(ミュージックビデオはこちら)。

 

8位 星野源「Cube」

映画『CUBE 一度入ったら、最後』の主題歌となったこの曲の歌詞にオリジナルの映画をはっきり想起させる部分があり、その歌詞の書き方にも驚かされますが、紡ぎ出される音の1950-60年代感の再現には当初唖然としたほど。音楽好きの方にオーティス・レディングっぽいと言われて納得したのですが、好きなサウンドを現代に蘇らせる星野源さんの音楽は、果たしてどこまで進化(そして深化)するのでしょう。

 

7位 NCT 127「Favorite (Vampire)」

ラップとサビとのバランスがともすれば欠き気味かもしれませんが、サビのメロディをふくよかに歌い上げるところにいい意味でK-Popらしくないなと感心したのみならず、大サビのアレンジがメロウなジャネット・ジャクソン(のサウンドを手掛けたジャム&ルイス)を思わせるところに、完全に虜になってしまいました。

 

6位 カイリー・ミノーグジェシー・ウェア「Kiss Of Life」

共に最新作でディスコミュージックの良作を送り込んだカイリー・ミノーグジェシー・ウェアがまさかタッグを組み、ソウルミュージックのセオリーにド直球なサウンドで挑んでくるのは嬉しいですね。そしてミュージックビデオにおける下世話な戦いの構図も、好きな方はきっと多いと思います。

 

5位 トーン・スティス feat. クリス・ブラウン「Do I Ever」

まさかブライアン・マックナイト「Anytime」をこのような形でサンプリングするとは…同曲がまんま使われたイントロから一転してドープなサウンドになりつつ、「Anytime」におけるピアノの美しい旋律を巧く流用するサウンドに惹かれました。こういう換骨奪胎があるのがR&Bの楽しいところです。

 

4位 D.A.N.「Anthem」

声までが楽器の一部となって溶け合い、ジャンルを超越したクラブミュージックとして完成。こういうサウンドを大音量でスピーカーから浴びたいと思ったのは自分だけでしょうか。

 

3位 小袋成彬「Butter」

BTSの大ヒット曲と同名のタイトルを用いながらも、歌詞の世界は実に濃厚。邦楽で濃密な愛を歌うことはまだまだ珍しいかもしれませんが、ビートの立ち方やラップのフロウのようなメロディの影響でドープになりすぎず心地よさもきちんとはらんでいるという、このバランスは流石と言えます。

 

 

2位 アデル「Easy On Me」

待ちに待ったアデルのニューアルバム『30』からの先行曲。全世界的に大ヒットを収めているのはこのブログでもお伝えしていますが、超絶シンプルなサウンドを成り立たせるのはアデルの表現力、そして曲の推進力の為せる業と言えるでしょう。

 

1位 きゃりーぱみゅぱみゅ「どどんぱ」

アデルの名曲を上回ったというより、このインパクトの凄さは何者も敵わないと思いこの位置へ。ニューアルバム『キャンディーレーサー』のタイトル曲もポップで好きですが、このわけわからない歌詞(褒めてます)と、J-Popへの妥協を一切行わないかのような中田ヤスタカさんのサウンドメイクの振り切り方がただただ痛快。昨年12月にハドソン・モホーク「What U Need」を選んで以来となる、いい意味でのご乱心第1位です。

 

 

以下、次点として10曲。

大橋トリオLamp]

・女王蜂「火の鳥

・Shin Sakiura feat. TENDRE「WAVE」

ONE OK ROCK「WONDER」

・ベイビー・ノーマネー(bbno$) feat. レベッカ・ブラック「Yoga」

・ブラストラックス & トリー・ケリー「Still Life 」

・ハイエイタス・カイヨーテ「Canopic Jar」

・コングス「Lipstick」

・ムーンチャイルド「Too Good」

Shin Sakiura feat. TENDRE「WAVE」が意識したのは、ともすれば鈴木雅之「Misty Mauve」かもしれません。竹内まりやさんと山下達郎さんがタッグを組んだこの曲の有る種換骨奪胎といえる曲の登場に、嬉しさを覚えます。

 

一方で、最後までトップ20入りを迷った曲があります。選外にした曲を紹介するのは自分のポリシーに反するものの、気になることがあり紹介させてください。

『ドクターX ~外科医・大門未知子~』第7シリーズ主題歌となったAdo「阿修羅ちゃん」はホーンの疾走感やAdoさんのキャラクター(イメージ)にあった歌詞が痛快極まりないのですが、気になったのは音全体ののっぺり感。昔ながらのJ-Popという気がするのです。Spotifyの新曲プレイリストで「阿修羅ちゃん」から次の曲に以降する際、音の立ち方の大きな差に驚かされました。

これは以前『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ)でも紹介されていた、サブスク時代に沿ったマスタリングの仕方が大きく影響しているのではないでしょうか。「阿修羅ちゃん」のまとまりの好い音は耳馴染みのいいものである一方、特にホーンセクションの音が際立っていないように聴こえるため、のっぺりだと感じたのかもしれません。音がもっと立っていれば、明らかにトップ10入りレベルだったというのが私見です。

 

 

Spotifyのプレイリストはこちらに。

今月も素晴らしい音楽に出逢えることを願っています。