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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Official髭男dism「Cry Baby」が再びトップ10入り…テレビ初披露を機に大ヒットのフェーズへ突入か

歌手によるメディアでのパフォーマンスが音楽チャートを浮上する大きなきっかけになる、そんな直近の事例を紹介します。

 

7月14日公開(7月19日付)ビルボードジャパンソングスチャートの構成指標のひとつ、ストリーミングではYOASOBIの各曲が上昇。

2位は、2021年7月7日公開(集計期間:2021年6月28日~7月4日)の週間ストリーミング・チャートで21位デビューを果たしたYOASOBIの「三原色」が登場。初のフル集計となる今週前半3日間では438.6万回再生を記録し、早くも2位に躍り出た。YOASOBIは、7月4日に行われた【無料配信ライブ UT×YOASOBI「SING YOUR WORLD」】の影響があってか、現在トップ100に入っている11曲すべてが先週を超える再生数を記録。

YOASOBIについては、無料配信ライブが開催された当日のSpotifyの動向をブログに記しました。この勢いが持続していると言えます。

 

そして次週のチャート、注目はYOASOBIだけにとどまりません。

「Cry Baby」はストリーミング指標の速報で7位。上記記事では『7月3日放送の『THE MUSIC DAY』で地上波初パフォーマンスが披露されたり、オープニング・テーマに起用されているアニメ『東京リベンジャーズ』が2クール目に突入したことで、改めて注目が集まっていることが予測できる』と記されています。

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「Cry Baby」は最新7月7日公開(7月12日付)ビルボードジャパンソングスチャートで7週ぶりにトップ10に返り咲きました。ミュージックビデオ解禁当初はおそらくISRC未付番の影響で動画再生が未加算となっていましたが、同指標加算後もしばらくトップ10に入れなかったこの曲の復帰には、Twitterの100位未満(300位圏内)→50位という急浮上が大きく貢献しています。

最新チャートの集計期間中、Official髭男dismは地上波テレビではじめて「Cry Baby」を披露し、Twitterではトレンド入り。アニメ主題歌でもありカラオケでは早々に上昇していることからアニメ作品や歌手のファンには既に馴染み深い曲ではありますが、『THE MUSIC DAY』披露により広く世間に"見つかった"と言えるかもしれません。

 

「Cry Baby」は、初めて一週間フル加算された5月19日公開(5月24日付)でストリーミングが6,247,796回再生をマークし、最新チャートでは6,222,183回を記録。ストリーミングに強い歌手においては同指標が右肩下がりとなる傾向が高まっていますが、「Cry Baby」はそのジンクスを破りつつあります。

テレビ初披露の翌日以降、「Cry Baby」はSpotifyのデイリー再生回数が前週同曜日比で110%超えを連日達成(ブログ記載で判明している7月8日付までにおいて)。先述したYOASOBIも「もう少しだけ」やインストゥルメンタル以外の曲において日曜以降連日100%以上を記録していますが、上昇度では「Cry Baby」が上回っています。『THE MUSIC DAY』でのパフォーマンスが急激な追い風に成ったと断言していいでしょう。

 

 

来月リリースの『Editorial』に収録される「Cry Baby」は、アルバムから先行でデジタルリリースされた曲として大ヒットアルバム『Traveler』に収録された「イエスタデイ」を彷彿とさせます。アニメ主題歌(映画『HELLO WORLD』)であり、カラオケでいち早くヒットしたという点でも共通しています。

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「イエスタデイ」の冒頭11週と、「Cry Baby」の直近11週(デジタルリリース以降の9週)を比べると(下記参照)、接触指標の安定やカラオケの上昇度合いが似てると言えるかもしれません。その意味で「Cry Baby」はアルバムリード曲の役割を果たし、またフィジカルで手に入れたいという需要の増加に大きく貢献することでしょう。

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しかしながら、Official髭男dismにとって「Cry Baby」は、アルバム『Editorial』のリード曲ではありません。

チャートアクションを踏まえれば、リード曲は2曲と言ってもいいでしょう。『Editorial』が尚の事楽しみになってきました。