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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

YOASOBIのプロモーションの巧さに刮目せよ…4月7日公開(4月12日付)ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点を紹介します。

3月29日~4月4日を集計期間とする4月7日公開(4月12日付)ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)、NiziU「Take a picture」が初登場で首位を獲得しました。

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NiziU「Take a picture」はデジタル先行で3月29日に解禁。4月7日公開(4月12日付)では集計期間を1週間フルに活用した結果、ストリーミングは1千万再生を突破しています。

初週10,821,317回再生を記録して首位デビューを果たした。チャートイン1週目の再生回数としては、自身の「Make you happy」が記録した11,584,293回に次ぐ歴代2位となる数字で、2021年の楽曲では最多記録を更新した。

デジタルとフィジカルのずらし解禁スケジュールを組み、次週フィジカル関連指標が初加算となる「Take a picture」。フラゲ日には20万を超えたという情報もあり、仮に次週もチャートを制するならばLiSA「炎」(2021年1月6~13日公開(1月11~18日付))以来今年度2曲目となる連覇達成となります。

 

前週フィジカルセールスでトップに立ち総合でも首位を獲得したSexy Zone「LET'S MUSIC」は41位へ急落。ポイント前週比12.1%は前作「NOT FOUND」の11.8%とほぼ変わらず、またジャニーズ事務所所属歌手におけるフィジカルセールス加算2週目の動向をなぞる形です。一方で前週フィジカルセールス2位、総合でも2位だったYOASOBI「怪物」は今週4位に後退するも、順位そしてポイント面でSexy Zone「LET'S MUSIC」と大差をつけています。

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気掛かりなのは、上記チャート推移(CHART insight)において赤の折れ線で表示される動画再生指標の急落。11週連続でトップ10入りしていた同指標の急落はあまりにも不自然なのですが、この件について音楽チャート分析や予想を行うあささんが問い合わせ、YouTube側より回答を得ています。

(勝手ながらツイートを紹介させていただきました。問題があれば削除すると共に、きちんと問い合わせされたことに心より感謝申し上げます。)

この動画再生指標がほぼ加算されなかった状態でも、「怪物」のポイント前週比が82.4%というのですから驚異的です。

このYOASOBI無双とも言える状態、他の曲でも生じています。

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上記はYOASOBIが今週ビルボードジャパンソングスチャート50位以内にエントリーした8曲、およびEP『THE BOOK』のアルバムチャートの動向。フィジカルセールス加算2週目、そして動画再生指標の急落が影響しながらもポイント前週比8割台をマークした「怪物」を除き、ソングスチャートにおけるポイント前週比は92.7~108.0%と安定し、前週超えを果たしたのが4曲もあるのです。この勢いについては下記記事から探ることができます。

2位にはYOASOBIの『THE BOOK』が続く。『マツコ会議』に出演した影響からか、週間ダウンロード数が前週より21%増加し、当週2,860DLで1ランクアップを記録した。

マツコ会議』(日本テレビ)には3月27日、4月3日と2週に渡って出演。その効果が波及した形です。

最新チャートの集計期間中には『櫻井・有吉THE 夜会』(TBS)へも出演。

さらにYOASOBIは、この春新設された『オールナイトニッポンX』(ニッポン放送)で火曜を担当しています。

ラジオのレギュラー番組担当をプロモーションの巧さと形容するのは苦しいかもしれませんが、しかし自身の話題性をより高い次元でキープできること、コアなファンとのつながりをさらに強固にできることは強みと言えます。そしてテレビ出演のタイミングが「怪物」フィジカルリリースの翌週であることにも注目。テレビ番組側の都合もあるでしょうが、フィジカルセールス初週に出演し初動セールスをどう高めるかのみならず、その翌週以降に出演することで中長期的プランを策定していると捉えることが可能。歌番組以外の出演が親近感に繋がるなど、歌手としての魅力を高めることに大きく作用したと言えるでしょう。それゆえEPのダウンロードやルックアップの高さにつながり、各曲も好調をキープし続けているのです。

 

YOASOBIは少人数でチームを編成していると聞きます。その注目度が高まるにつれメディアからの出演依頼が増え、スケジュール等のコントロールがつきにくくなるという恐れがあるのですが、逆にそれも長期的な戦略の一端に用いんとするYOASOBIサイドの姿勢には感嘆するばかりです。