イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングスチャートなどを紹介します。

YOASOBIそしてザ・ウィークエンド…ライブのチャート影響度をより高める施策に注目

YOASOBIの初ライブが昨日配信され、関連ワードがTwitterでトレンド入りを果たしています。音楽関係者からも称賛の声が寄せられており、大成功と言えるのではないでしょうか。

注目はこの配信ライブのレポートが公式に設けられるほか、視聴者からのライブレポートもどんどん挙げてよいとのこと。それも各自撮影したスクリーンショットを許可するとのことで、ファンは勿論のこと音楽関係者の注目を一気に高めることに成功したのではないでしょうか。

配信終了から2時間後には既に最初のリポートが投稿され、YOASOBI側も紹介。

YOASOBI側がファンの思いを大切にしていること、これからも共に歩む姿勢を示しており、以前からこのブログでも記載しているファンとのエンゲージメントの確立が成されています。

 

(ここからセットリストの一部ネタバレを含みますのでご注意ください。)

 

 

個人的に巧いと思ったのは、今回の配信ライブ1曲目にこの曲を持ってきたことでした。

アカペラではじまる曲ゆえオープニングに映えるという点で冒頭に据えたであろう「あの夢をなぞって」ですが、これはチャート面でも巧いと思うのです。

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上記は昨年末以降のビルボードジャパンソングスチャートにおけるYOASOBIの各曲の動向。インストゥルメンタルを除いてこれまで発表された9曲のうち、総合もしくはチャートを構成する8指標のいずれかが20位以内に入るとチャートの推移を追いかけられるのですが、唯一動向を追いかけられないのが「あの夢をなぞって」でした。最新2月15日付(こちらで確認可能)では総合で49位に入っていますが、9曲中最も低い位置に。これはSpotifyにおいても似ており、「優しい彗星」と並んで最も低い位置となっています。

(ビルボードジャパンのCHART insightサービスにて、無料会員がその動向を追いかけられる対象は総合もしくは各指標のいずれかが20位以内に入った曲のみ。有料会員は100位以内まで追いかけられますが、有料会員として知り得た情報は外部に伝えることができないため、「あの夢をなぞって」はその動向を紹介することができません。)

「あの夢をなぞって」は今回の配信ライブを経て上昇する可能性が十分考えられます。『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)で「夜に駆ける」共々披露した「アンコール」が、披露の翌日にはSpotifyで初の1日10万再生を突破、次の日曜には16万台に達し且つビルボードジャパンソングスチャートでもトップ10入りを果たしていることから、メディアでのインパクトの大きさはチャートに反映されます。配信ライブは視聴した者しか楽しめないという点でテレビとは異なりクローズな印象がありますが、noteで誰でもライブレポートOK(しかもスクリーンショットも利用可能)という公式のアナウンスにより続々レポートが公開されれば、数々のnoteに触れるうちに観ていない人も疑似体験できる思われ、そうなればますますオープニングに据えた「あの夢をなぞって」に注目が集まるはずです。

たとえばnoteでのライブレポートを読みながら曲を聴く場合、CDやダウンロードで聴く方もいればサブスクでチェックする方もいらっしゃるでしょう。数曲は既にダウンロードしている方が今回のセットリストに合わせて不足分を追加購入することも考えられます。ならば、「あの夢をなぞって」がこれまで以上にフックアップされることは自然なことと考えられるのです。

果たしてYOASOBI側はチャート面を踏まえてライブのオープニングを「あの夢をなぞって」に決めたのかは解りかねます。しかしチャートを追いかける側にとっては実に巧いと感じずにいられません。

 

 

そのチャート面では海外においても巧いと思わせる出来事が。以前記したのですがあらためて紹介します。

ザ・ウィークエンド「Save Your Tears」が14→8位となり、初のトップ10入りを果たしました。(中略) また「Blinding Lights」は今週も3位をキープ、トップ10入り48週目およびトップ5入り39週目となり、同曲の持つ最長ランクイン記録を更新。さらにはソングスチャート61週目のランクインを果たしています。

ビルボードでは、この2曲は次週2月20日付にて”大きく伸ばす (big gains)"と記事に掲載。2月7日(日本時間の8日)に開催されたスーパーボウルのハーフタイムショーにザ・ウィークエンドが出演したこと、また2曲共に先週リリースされたベストアルバム『The Highlights』に収録されていることもその理由。(中略) ベストアルバムのオープニングに「Save Your Tears」を据えているところに、チャートを意識した戦略が透けて見える気がします。

2月7日(日本時間の8日)に行われた、スーパーボウルハーフタイムショーにおけるザ・ウィークエンドのパフォーマンス。その中で最新2月13日付米ビルボードソングスチャートにてトップ10入りを果たした「Save Your Tears」(8位)および「Blinding Lights」(3位)が披露されています。

次週2月20日付ソングスチャートの集計期間はストリーミングとダウンロードが2月5日金曜から、ラジオが8日月曜からの1週間であり、ハーフタイムショーが大きく影響することは間違いないのですが、2月5日にリリースされたザ・ウィークエンドのベストアルバム『The Highlights』はその予習/復習にうってつけ。しかもベストアルバムは「Save Your Tears」「Blinding Lights」が冒頭を飾っていることから、ハーフタイムショー後の受け手のニーズに大きく応えていると言えます。

実際、『The Highlights』は日本時間の今日発表された2月20日付米ビルボードアルバムチャートで2位スタートを飾りました。ビルボードジャパンとは異なり単曲ダウンロードおよびストリーミングがユニットとしてアルバムに換算される米アルバムチャートにおいて、89000ユニットのうち70000をストリーミングが占めています。となると今後発表されるソングスチャートでも「Save Your Tears」および「Blinding Lights」が順位を伸ばすことは間違いないでしょう(ただし、オリジナルアルバム『After Hours』(2020)が4→37位にダウンしユニット数も57%ダウンしていることは引っ掛かるのですが)。

 

 

 

注目のライブがチャートに還元される形は他の歌手も同様ですが、YOASOBIそしてザ・ウィークエンド共に、その影響度をより高めるための施策が非常に巧いのです。日米のソングスチャートに注目していきましょう。