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これからは"ファンビデオの公式化"がトレンドに? シザ「Good Days」の新しい動画に思う

面白い試みのミュージックビデオを見つけました。

昨年のクリスマスにリリースされたシザ「Good Days」は既に米ビルボードソングスチャートでトップ10入りを果たし、最新2月13日付ではダウンするも11位にとどまっています。この曲は今年のグラミー賞で主要部門にノミネートされているジェイコブ・コリアーが参加したこともあり、流麗さが際立つR&Bナンバーに。

上記は「Good Days」のリリックビデオ。前シングルではミュージックビデオがきちんと作られていましたが、「Good Days」については未だ公開されていません(その前シングル、「Hit Different」のミュージックビデオはこちら)。一方で、昨年リリースの2曲をつなげたバージョンを"Official Acoustic Video"と称し昨年末に公開。昔のホームビデオのタッチにする等、編集が施されています。

そして今回、「Good Days」に公式ファンビデオが用意されました。"Part 1"とのことで、反響があれば今後も登場することでしょう。そして気になるのは、この動画がシザの公式YouTubeチャンネルから発信されているということなのです。下記はYouTubeにおける「Good Days」ファンビデオのキャプチャですが、発信元アカウントに公式(公式アーティストチャンネル)のマークが記されていることが見て取れます。

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ファンビデオの類には、YouTubeで1千万を大きく上回る再生回数の作品が存在します。たとえば、ビヨンセ等の客演参加リミックスに伴い米ビルボードソングスチャートを制したエド・シーラン「Perfect」(2017)。この曲のファンビデオは現時点で5200万を超える再生回数を記録しています。

一方で"公式の"ファンビデオとなると、1千万回再生を突破した作品はほとんどない模様です。

しかしながら、歌手の公式YouTubeチャンネルに公開されるものは少なからず存在しています。同じくエド・シーランによる「Drunk」(2012)の上記ファンビデオは、再生回数こそ537万と多くないものの、注目すべき存在といえます。

 

ファンビデオには、ファンが歌手側に無許可で作成した(しかしながら著作権がきちんとクレジットされている)もの、それを公式側が認めたもの、ファンの動画を集めて公式側が制作したもの等があり、"ファンビデオ"と一括りにすることは少し乱暴な気もします。とはいえ今後は歌手側がファンビデオを公式で作成し、公式YouTubeチャンネルにて公開する可能性が高まるのではないかというのが私見です。

昨年9月19日付以降、米ビルボードYouTubeにおけるUGC(ユーザー生成コンテンツ)をソングスチャートおよびアルバムチャートのストリーミング指標から除外し、公式動画のみがカウント対象となったことを上記リンク先で記しています。ということは、ファンが進んで公式に見えかねないファンビデオを制作し、それが仮にバズを起こしたとしても昨秋以降はチャートに反映されなくなったのです。つまり、"ファンビデオを公式化"することはチャート上でも理にかなっていると言えるでしょう。

(ちなみに日本においても2021年度からはUGCが除外対象となり、別途UGCのみのチャートが設けられています。)

 

無論このファンビデオの公式化は、ファンと歌手とを近づける役割も果たしています。シザのファンにとっては公式YouTubeチャンネル発の動画に自身の作品が選ばれることはこの上ない喜びであり、歌手への信頼度を高めることは間違いないでしょう。そしてこのファンビデオが、「Good Days」の米ビルボードソングスチャートにおけるトップ10返り咲きを後押しする力になっていくかもしれません。