イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングスチャートなどを紹介します。

テイラー・スウィフト「Love Story」の新バージョン、"私のもの"と宣言した理由と背景にある問題

テイラー・スウィフト「Love Story」が"Taylor's Version"として蘇りました。このバージョンでテイラーが"私のもの"と宣言したのには理由があります。

テイラー・スウィフトは過去の作品群を不当な金儲けの道具にされてしまった…そう言っても過言ではない状況がセルフカバー登場の背景にあるのです。

テイラーが過去に在籍していたレコード・レーベルが、彼女の原盤権を、彼女が絶対に売って欲しくないと相手だと言っていたプロデューサーのスクーター・ブラウンに売ったという経緯については、公にされた通り。しかし、最近になってまたテイラーの知らないところでブラウンが投資会社に売って大もうけするという超屈辱的なことが起きた。

昨年末の記事ではテイラー・スウィフトによる声明ツイートも掲載。原盤権の話は時折耳にしますが、この問題に米エンタテインメント界の頂点に立つ者が苦しみ、その問題を詳らかにしています。彼女がセルフカバーを制作することは自然なことなのです。

 

セルフカバーをあまり好まない方もいらっしゃるでしょう。以前とあるバラエティ番組で発言に影響力を持ったタレントが、ヒットした当時ではない今の歌い方やアレンジにて曲を披露することを望まないと話し、多くの賛同を得ていたのですが、歌手側が成長を経て今のスタイルに至っていることを踏まえれば、タレントの思いは解らなくはないとしてもそれを受け入れる必要があるでしょう。ましてや原盤権を奪われたとなれば今のスタイルでしか訴求できないわけで尚の事です。

 

 

テイラー自身のバージョンと称した「Love Story」は2月12日金曜に公開され、米Spotifyでは解禁日において2位に100万以上の差をつけ再生回数トップに立ちます。ただその後2日続けて再生回数が前日のおよそ半分となり順位面でも1→3→5位となったのが気掛かりですが、まずは一度今のテイラーのバージョンを聴いてみようと思った方が少なくないのは間違いありません。ちなみにチャート面において、オリジナルバージョンとテイラー自身のバージョンは分けて扱うと米ビルボードがアナウンスしています。

Re-recordings of older songs or albums are treated separately from their originals, with independent chart histories for each version. Thus, Fearless (Taylor's Version) and "Love Story (Taylor's Version)" will chart separately from Swift's original 2008 recordings of the album and song, respectively.

 

セルフカバーについては以前、レミオロメンの作品が藤巻亮太さんの独立に伴いサブスクサービスで一時引き上げられる事態が発生。他にも、たとえば安室奈美恵さんがベストアルバム『Finally』において過去曲をセルフカバーにて収録したことがあります(安室奈美恵さんの件についても下記リンク先に掲載)。これらに関係するであろう原盤権に関する問題はクリアされないといけませんし、以前所属していた芸能事務所やレコード会社の事情…それも利益優先等自己保身という勝手な都合が問題の根底にあるのであれば、それを周囲がきちんと批判し改善に至らせないと、いつまでも状況は変わらないと思うのです。

移籍や独立となるとしばらくは表舞台(特にテレビ)で活動出来ないのではという声をよく耳にしますが、それがルールではないにもかかわらず当たり前のように受け入れてやしないかと思ってしまいます。今回の藤巻亮太さんの独立から見えてきたのは、売ること(で旧事務所等側に利益が入ること)はOK、でもストリーミングは旧事務所等に利益が入りにくいからNGという姿勢。これは旧事務所等側の都合の良い対応であり、ストリーミングを今まで活用出来てきた私達ユーザーへの無礼でもあり、もっと言えば音楽を文化ではなく商売道具としてしかみていないという音楽業界の負の慣習ではないでしょうか。

セルフカバーはダメと安易に言うのではなく、まずは受け入れること。そしてセルフカバー登場の背景にあるものを探ること。一人ひとりが考え、問題があればそれを声に出すことこそ重要です。