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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

昨年大ヒットを連発した火曜ドラマ主題歌、今期は? Kis-My-Ft2「Luv Bias」のデジタル解禁を願う

一昨日発表された1月25日付ビルボードジャパンソングスチャートでは、SEKAI NO OWARI「silent」が前週から9ランクダウンするものの28位に。クリスマスソングですが、一年を通して聴かれる状況となりつつあります。

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Spotifyでは直近となる1月20日付で15万を超える再生回数を記録。クリスマスソング、ドラマ主題歌且つ一年を通して聴かれる曲となると、back number「クリスマスソング」が思い浮かびます。それだけ多くの方の印象に残っている曲と言えるでしょう。

 

 

この「silent」はドラマ『この恋あたためますか』の主題歌であり、TBSの火曜ドラマ枠からは昨年、恋愛モノの様々なヒット作品が登場。主題歌も大半がヒットしています。

Official髭男dism「I LOVE...」(『恋はつづくよどこまでも』主題歌)

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あいみょん「裸の心」(『私の家政夫ナギサさん』主題歌)

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Mr.Children「turn over?」(『おカネの切れ目が恋のはじまり』主題歌)

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Mr.Children「turn over?」についてはシングルCD未リリースやミュージックビデオ未解禁等の影響もありランクイン期間は短かったものの、Official髭男dism「I LOVE...」やあいみょん「裸の心」は共に年間ソングスチャートでトップ10入り。上記チャート推移(CHART insight)は初ランクインからの30週分を表示していますが、最新チャートでも「I LOVE...」が21位、「裸の心」が17位にランクインしています。

 

TBSの連続ドラマ自体が全体的に好調にある中で、恋愛をテーマにすることの多い火曜ドラマ枠。遡れば星野源「恋」(『逃げるは恥だが役に立つ』(2016)主題歌)も、MISIA feat. HIDE(GReeeeN)「アイノカタチ」(『義母と娘のブルース』(2018)主題歌)も大ヒットに至っていますが、たとえばシングルCDがリリースされた昨年の3つの主題歌をみると、【CDに先駆けたダウンロードの解禁、サブスクでの先行配信(によるストリーミング指標の上位進出)、ミュージックビデオのフルバージョン解禁】が共通しています。

(デジタル指標群の先行解禁については、CHART insightから判断することができます。CHART insightを構成する8指標の内容についてはAbout Charts│Billboard JAPANをご参照ください。)

SEKAI NO OWARI「silent」に至ってはクリスマスの9日前にCDがリリースされていますが、CD加点によりクリスマス当週に最高位を更新することができました。ドラマ主題歌は今も大ヒットへ至る重要なタイアップとなっていますが、CDリリースに頼らないデジタルの徹底、CDリリースをさらなる飛躍へのステップに位置付けることこそ大切であると断言してよいでしょう。

 

 

となると、気になるのは火曜ドラマ枠での最新ドラマ主題歌。『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』の主題歌を担当するのは、ドラマにも出演する玉森裕太さんが所属するKis-My-Ft2の「Luv Bias」。

『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』第2話の世帯平均視聴率は11.3%(ビデオリサーチ調べ 関東地区)で、前週より0.1%ダウンにとどめています。昨年の火曜ドラマと2話までの平均視聴率を比較すると、『私の家政夫ナギサさん』にこそ及ばないものの他のドラマに勝っている状態であり、ドラマ主題歌に期待が集まるのは自然なことでしょう。主にコアなファンが支えるTwitter指標では好調をキープしていますが、ドラマの盛り上がりでコアなファン以外のつぶやきも増えるものと考えます。

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しかしKis-My-Ft2は未だサブスク解禁していません。ダウンロードはレコチョクでこそフルバージョンが配信されているものの、iTunes Storeでは未解禁という状況。また前作「ENDLESS SUMMER」(2020)は動画再生指標が上位に進出できにくいショートバージョンでの解禁にとどまっています。

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(ショートバージョンにも関わらず、動画タイトルにその旨が記載されていないことに引っ掛かりを覚えています。)

 

ドラマ主題歌が大ヒットしやすい火曜ドラマ枠の主題歌を射止めた以上、歌手のファンのみならずライト層やドラマファンにもリーチするはずであり、ならば尚の事同枠の大ヒット主題歌に共通する【CDに先駆けたダウンロードの解禁、サブスクでの先行配信(によるストリーミング指標の上位進出)、ミュージックビデオのフルバージョン解禁】といった施策の実施がより大きなヒットにつながるのではないでしょうか。またアイドルのCDセールスは主にコアなファンが支えているため、デジタル先行解禁やミュージックビデオをフルバージョンで解禁してもCDセールスが極度に減ることはほぼないと思われ、むしろ接触指標の充実が所有指標へ、ライト層がコアなファンへと昇華することも十分考えられます。

昨年のビルボードジャパン年間ソングスチャートをみると所有指標、とりわけCDセールスに頼る一方でデジタルに明るくない曲が強くないのは自明であり、その点は昨年の『NHK紅白歌合戦』記事でも記載した次第です。

NHK紅白歌合戦』では昨年、Kis-My-Ft2は過去曲を披露しています。今年の紅白で「Luv Bias」を堂々披露してもらうため、大ヒットに至らせるためにもレコード会社、そしてなにより所属するジャニーズ事務所の英断を強く願うところです。