米ビルボードのソングスチャートをチェック。現地時間の8月10日月曜に発表された8月15日付最新ソングスチャート、前週初登場で首位を獲得したテイラー・スウィフト「Cardigan」は8位に後退、ハリー・スタイルズ「Watermelon Sugar」が首位に躍り出ました。
.@Harry_Styles' #WatermelonSugar tops this week's #Hot100, becoming his first No. 1 on the chart.https://t.co/Rfj3OFuFIl
— billboard (@billboard) 2020年8月10日
今週の集計期間はストリーミングおよびダウンロードが7月31日金曜から、ラジオエアプレイが8月3日月曜からの1週間。この間、ハリー・スタイルズは様々な策を実施し、自身初の首位獲得に至りました。
なにより大きいのがダウンロードの急上昇。前週比614%アップの63000を獲得しこの指標を制しました。これはいわゆるフィジカル施策によるもので、ハリー・スタイルズの公式サイトにてカセットもしくはレコードを購入すると、後日届くそれらフィジカルとは別に購入段階でダウンロードも可能となる仕組み。このフィジカル施策に加え、「Watermelon Sugar」とインストゥルメンタルバージョンがそれぞれ69セントという安価でダウンロード可能になったのも、ダウンロード指標押し上げの要因となりました。
ストリーミングは前週比1%ダウンの1420万(同指標18位)。ダウンしてはいますが、言い換えれば1%ダウンにとどめたと言えます。ストリーミングの集計期間初日にあたる7月31日にミュージックビデオの舞台裏(ビハインド・ザ・シーン)が、また8月3日には"Lost Tour Visual"と題したミュージックビデオが新たに公開され、興味を惹き続ける施策が採られているのです。
実は8月3日がアメリカにおけるスイカの日(National Watermelon Day)とのこと。この日、"#NationalWatermelonDay"がトレンド入りしたことも影響しているのではという見方があります。この日が集計期間初日にあたるラジオエアプレイ指標は前週比8%アップの7170万となり、同指標2位に上昇しているのです。
「Watermelon Sugar」により、ハリー・スタイルズにとっては活動休止中のワン・ダイレクションで成し得なかった首位獲得を果たしました(ワン・ダイレクションの最高位は「Best Song Ever」(2013)の2位)。グループからは、脱退したゼイン(・マリク)が「Pillowtalk」で4年前に首位を獲得しており、これで複数のメンバーがソロとして首位の座に就いたことに。グループからソロで複数メンバーが首位を獲得したのはザ・ビートルズが最初で、最終的には4人全員がトップに立っています。
"Watermelon"が付いた曲での首位獲得は今回が初。一方"Suger"は6曲目で、直近では49年前のザ・ローリング・ストーンズ「Brown Sugar」となっています。
2週連続2位となったのはダベイビー feat. ロディ・リッチ「Rockstar」。ストリーミングは前週比8%ダウンの3020万(同指標1位)、ダウンロードは同4%ダウンの9000(同指標6位)、そしてラジオエアプレイは同4%アップの7060万(同指標3位)。ラジオエアプレイではハリー・スタイルズ「Watermelon Sugar」に抜かれる形となりましたが、この指標では今週もザ・ウィークエンド「Blinding Lights」(総合4位)が7920万を獲得して首位となり、これで18週連続となりました。
ラジオエアプレイチャートがはじまった1990年12月以降、18週首位はグー・グー・ドールズ「Iris」(1998)と並び史上最長タイとなりました。しかも2位のハリー・スタイルズ「Watermelon Sugar」とは750万の差があり、且つ「Blinding Lights」は同指標において前週比4%アップ。次週この記録を塗り替えることはほぼ間違いないでしょう。
6位にはビリー・アイリッシュ「My Future」が初登場。7月30日木曜リリースのこの曲は今週3つの指標がはじめて1週間カウント対象となり、この位置につけました。
「My Future」はストリーミングが2090万、ダウンロードが15000を獲得し2指標で3位に入ったほか、ラジオエアプレイは740万となりました(同指標50位未満)。ビリー・アイリッシュにとって3曲目のトップ10入りとなりました。
前週初登場で首位を獲得したテイラー・スウィフト「Cardigan」は8位に後退。前週は3曲がトップ10入りしましたが今週はこの曲のみとどまっています。ストリーミングは前週比48%ダウンの1750万(同指標5位)、ダウンロードは同88%ダウンの8000(同指標8位)、ラジオエアプレイは同51%アップの1920万(同指標43位)。前週の初登場の際、フィジカル施策および別バージョンリリース(によるオリジナル版への合算)という複数施策を行ったことへの反動は大きいと言えます。
最新のトップ10はこちら。
The #Hot100 top 10 (chart dated Aug. 15, 2020) pic.twitter.com/FB2bzgEmsY
— billboard charts (@billboardcharts) 2020年8月10日
[今週 (前週) 歌手名・曲名]
1位 (7位) ハリー・スタイルズ「Watermelon Sugar」
2位 (2位) ダベイビー feat. ロディ・リッチ「Rockstar」
3位 (3位) ジャック・ハーロウ feat. ダベイビー、トリー・レーンズ & リル・ウェイン「Whats Poppin」
4位 (5位) ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」
5位 (8位) セイント・ジョン「Roses」
6位 (初登場) ビリー・アイリッシュ「My Future」
7位 (10位) ジョーシュ・シックスエイトファイヴ × ジェイソン・デルーロ「Savage Love (Laxed - Siren Beat)」
8位 (1位) テイラー・スウィフト「Cardigan」
9位 (12位) クリス・ブラウン&ヤング・サグ「Go Crazy」
10位 (11位) リル・モジー「Blueberry Faygo」
前週のテイラー・スウィフト「Cardigan」同様、ハリー・スタイルズ「Watermelon Sugar」においても複数の策(フィジカル施策、ダウンロード安価販売、新たなビデオの公開)が採られました。「Watermelon Sugar」は「Cardigan」とは異なりある程度ヒットしている段階でこれら施策が導入されているため、デジタル2指標はダウンしてもラジオエアプレイが急落することはないだろうことを踏まえれば次週のトップ10落ちはないものと考えます。とはいえある程度の反動は免れないでしょう。
次週はカーディ・B feat. ミーガン・ジー・スタリオン「WAP」に注目。8月7日金曜リリースのこの曲は米Spotifyデイリーチャートを3日連続で制しており、トップ10内への初登場はほぼ確定と言えるかもしれません。