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BTS「Dynamite」がK-Popアクトとして初の頂点へ…9月5日付米ビルボードソングスチャートをチェック

ビルボードのソングスチャートをチェック。現地時間の8月31日月曜に発表された9月5日付最新ソングスチャート、2週連続で首位の座に就いていたカーディ・B feat. メーガン・ザ・スタリオン「WAP」からその座を奪ったのはBTS「Dynamite」。BTSは韓国の歌手としては初めて米ビルボードソングスチャートを制しました。

BTS「Dynamite」はストリーミングが3390万で同指標3位、ダウンロードは300000で同指標1位に初登場。ラジオエアプレイは50位未満ながら1160万を獲得。特にストリーミングおよびダウンロードの高さに貢献したのは上記ミュージックビデオのリリースタイミングでの公開は勿論のこと、Bサイドと銘打ったビデオ(→YouTube)やEDMおよびアコースティックリミックスの追加投入、ダウンロード価格を通常の0.99~1.29ドルではなく0.69ドル(69セント)に安価設定したこと、レコードおよびカセットテープの販売(ただしいわゆるフィジカル施策は実施せず)等が挙げられます。これらについては以前ブログにてまとめています。

BTSはこれまでアルバム4作を米ビルボードアルバムチャートのトップに送り込みながら、ソングスチャートにおけるこれまでの最高記録は「On」(2020)の4位でした。これまでのBTSの上位進出曲と「Dynamite」で初登場の順位や各指標の動向を比較すると、今作の強さがよく解ります。

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ラジオエアプレイは強くないと思われるかもしれませんが、今年初登場で首位を獲得した曲の中では決して小さくありません。

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そしてとりわけ強さが際立ったのがダウンロード。先述したリミックス等の登場も相まって、フィジカルを除いても265000を売り上げているのですが、この数値はテイラー・スウィフト「Look What You Made Me Do」(2017年9月16日付)の353000以来となるビッグセールスに。グループとしては、プリンス&ザ・レボリューション「Purple Rain」(1984)がプリンスの訃報に伴い2016年5月14日付で282000を売り上げて以来となります。

先述したように、BTS「Dynamite」は韓国出身の歌手で初の首位を獲得。これまでの最高位はPSY「Gangnam Style」(2012)の2位でした。アジア出身の歌手による初の米ビルボードソングスチャート制覇は1963年6月の坂本九さんによる「上を向いて歩こう」。また韓国出身とは異なりますが、韓国系アメリカ人が2名在籍するファーイースト・ムーヴメント(他の2名も日本および中国の血をひくアメリカ人、フィリピン系アメリカ人)による「Like A G6」が2010年秋に米ソングスチャートを制しています。

 

初登場から2週連続で首位の座に就いていたカーディ・B feat. メーガン・ザ・スタリオン「WAP」は2位に後退。ストリーミングは前週比10%ダウンながら6500万を獲得し同指標首位に立ち、ダウンロードは同30%ダウンの25000(同指標2位)、ラジオエアプレイは同13%アップの1870万(同指標46位)となっています。一方、前週ダウンロード指標の差により「WAP」を抜いて初登場で首位を獲得できなかったドレイク feat. リル・ダーク「Laugh Now Cry Later」も1ランク後退し3位へ。ストリーミングは前週比38%ダウンの4360万(同指標2位)、ダウンロードは同64%ダウンの7000(同指標7位)と2指標で大きく落とした一方、ラジオエアプレイは同44%アップの2460万となり同指標31位へ上昇しています。またラジオエアプレイの首位はザ・ウィークエンド「Blinding Lights」で、前週比2%アップとなる8020万を獲得。これにより「Blinding Lights」はラジオエアプレイ最長首位記録を21週に伸ばしています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (初登場) BTS「Dynamite」

2位 (1位) カーディ・B feat. メーガン・ザ・スタリオン「WAP」

3位 (2位) ドレイク feat. リル・ダーク「Laugh Now Cry Later」

4位 (3位) ダベイビー feat. ロディ・リッチ「Rockstar」

5位 (4位) ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」

6位 (5位) ジャック・ハーロウ feat. ダベイビー、トリー・レーンズ & リル・ウェイン「Whats Poppin」

7位 (7位) ハリー・スタイルズ「Watermelon Sugar」

8位 (8位) セイント・ジョン「Roses」

9位 (9位) ジョーシュ・シックスエイトファイヴ × ジェイソン・デルーロ「Savage Love (Laxed - Siren Beat)」

10位 (12位) ルイス・キャパルディ「Before You Go」

今週はBTS以外大きな動きに乏しく、前週トップ10入りしたカントリー2曲がダウンしルイス・キャパルディ「Before You Go」がトップ10内に再浮上した程度と言えるかもしれません。

 

さて次週はBTSがどこまで留まるかが焦点となります。先述したBTSの上位曲一覧表でも解るように、翌週も上位にとどまったことがないのが大ヒットに至れない理由だったことから、ラジオエアプレイの上昇および他2指標のダウン幅の抑制が留まるための鍵となります。BTSは新たなリミックスを投入しており、それがどう作用するか…この点については一昨日のブログにて取り上げています。

そしてそのブログでも触れましたが、日本時間で昨日放送された『MTVビデオ・ミュージック・アワード』のパフォーマンスや受賞曲の動向にも注目しましょう。再放送時間は下記に。