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カーディ・B feat. メーガン・ザ・スタリオン「WAP」、ドレイクの猛追をかわし初登場から2週連続で首位を獲得…8月29日付米ビルボードソングスチャートをチェック

ビルボードのソングスチャートをチェック。現地時間の8月24日月曜に発表された8月29日付最新ソングスチャート。前週初登場で首位を獲得したカーディ・B feat. メーガン・ザ・スタリオン「WAP」がその座をキープしました。なお弊ブログでは前週より、米ビルボード動画コンテンツでの発音を踏まえ、Megan Thee Stallionをミーガン・ジー・スタリオンではなくメーガン・ザ・スタリオンと表記しています。

前週フィジカル施策を行った反動でダウンロードは前週比71%ダウンの36000(同指標1位)と急落した一方、ストリーミングは同22%ダウンに留まり7220万を獲得(同指標2位)。またラジオエアプレイは同42%アップの1650万となり同指標48位に登場しました。

初登場で首位を獲得した曲が翌週も1位を獲得するとのはアリアナ・グランデ「7 Rings」が昨年2月2日付で初登場してから5週連続、通算8週首位を記録して以来となります。この間、8曲が初登場首位を成し遂げましたが「WAP」は久々となる初登場から2週連続の首位キープとなるのです。初登場首位獲得曲で2週目もその位置をキープしたのは42曲中19曲と半数に満たず、今年に入ってからはその確率がどんどん下がっていくばかりでした。今年に入ってから初登場首位を獲得した曲の動向についてはこちらに。

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「WAP」は初登場から連続で首位を獲得したのみならず、女性歌手ではマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」(2019-2020)の3週連続以来となる連覇を達成しています。

 

さて今週、ドレイク feat. リル・ダーク「Laugh Now Cry Later」が初登場で2位に入ったのですが、「WAP」が逃げ切った形です。

「Laugh Now Cry Later」はストリーミングが6980万で同指標1位、ダウンロードが21000で同指標4位、ラジオエアプレイは1710万で同指標47位に登場。ストリーミングは有料の音楽配信サービスにおける1再生分と無料サービスやYouTube等とでウェイトが異なる等のウェイト付けにより、数値の少ない「Laugh Now Cry Later」が「WAP」に勝利、さらにラジオエアプレイも前者が上回っているのですが、ダウンロードの差が総合チャートに響いた形です。なおドレイクは今年初登場で首位を記録した「Toosie Slide」でも今回においてもフィジカル施策は行っていない模様であり、また「Toosie Slide」の初週ストリーミングが5550万だったことから「Laugh Now Cry Later」が大きく上回った形となります。

ドレイクは「Laugh Now Cry Later」で歴代最多となる41曲目のトップ10入りとなり(一方でリル・ダークは初)、通算トップ10入り曲数2位のマドンナ(38曲)をさらに引き離しています。また自身の持つ最多100位以内エントリー曲数を225に、最多初登場トップ10入り曲数を26にそれぞれ伸ばしています。

 

記録更新といえば、前週単独でのラジオエアプレイ最長首位獲得記録を達成したザ・ウィークエンド「Blinding Lights」(総合4位)は同指標において前週比2%ダウンながら7870万を記録、前人未到となる20週目の首位獲得を果たしました。

 

今週はカントリーの躍進が目立ちますが、2曲の躍進の形は実に極端なのです。

モーガン・ウォレン「7 Summers」は初登場で6位を獲得。カントリー曲が初登場でトップ10入りしたのはガース・ブルックス「Lost In You」(ただし名義はガースのオルター・エゴであるクリス・ゲインズとなっています)が1999年9月に5位に入って以来、今回が2例目なのです。

モーガンにとって初のトップ10入りとなった「7 Summers」はストリーミングが2350万を獲得し同指標4位、ダウンロードが28000で同指標2位にそれぞれ初登場を果たしています。一方でラジオエアプレイは50位未満となっていますが、本来カントリーというジャンルは所有指標およびラジオエアプレイが強い一方でストリーミングが弱いというイメージでした。

決して更新の多くないモーガン・ウォレンのツイートにて、Spotifyビルボード(街の大きな看板の意味)、そしてApple Music内ラジオでの訴求が確認でき、カントリーにおいてもストリーミングが重要な意味を帯びてきているのではと実感させられます。今後はカントリーだからといってストリーミングが少ないという定説を適用させてはいけないと感じた次第です。

 

一方、ギャビー・バレット「I Hope」が前週から1ランクアップし遂にトップ10入り。キャリー・アンダーウッド「Before He Cheats」(2007 38週目)、クリード「Higher」(2000 36週目)に次いで、歴代3位となる34週目でのトップ10入りとなります。

一昨年、オーディション番組『アメリカン・アイドル』で3位を獲得したギャビー・バレットのデビューシングルがこの「I Hope」。カントリーの女性歌手が客演を招かずにトップ10入りを果たしたのはテイラー・スウィフト「Red」が2012年10月に6位に登場して以来となります(なおテイラーはその後もトップ10ヒットを量産していますが、ここでは総合ソングスチャート(Hot 100)およびカントリーソングスチャート(Hot Country Songs)の両方に入った曲を指します)。カントリーソングスチャートでは今週モーガン・ウォレン「7 Summers」に首位の座を譲った「I Hope」ですが、デビュー曲もしくは初のチャートイン曲がカントリーソングスチャートを制し且つソングスチャート(Hot 100)でトップ10入りを果たした女性歌手はジェシー・コルター「I'm Not Lisa」(1975 総合4位)以来、実に45年ぶりの快挙となるのです。

「I Hope」はラジオエアプレイが前週比8%アップの5240万(同指標8位)、ダウンロードが前週とほぼ変わらず8000(同指標9位)、ストリーミングが同8%アップの1170万(同指標27位)。ラジオエアプレイで既に強さを発揮する一方ストリーミングも上昇していますが、4月にリリースされたチャーリー・プース客演参加版のリリックビデオがストリーミングおよびダウンロードの集計期間初日にあたる8月14日金曜に解禁されたことが影響しているものと思われます(なおラジオエアプレイの集計期間は8月17日月曜からの1週間)。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) カーディ・B feat. メーガン・ザ・スタリオン「WAP」

2位 (初登場) ドレイク feat. リル・ダーク「Laugh Now Cry Later」

3位 (2位) ダベイビー feat. ロディ・リッチ「Rockstar」

4位 (3位) ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」

5位 (4位) ジャック・ハーロウ feat. ダベイビー、トリー・レーンズ & リル・ウェイン「Whats Poppin」

6位 (初登場) モーガン・ウォレン「7 Summers」

7位 (5位) ハリー・スタイルズ「Watermelon Sugar」

8位 (6位) セイント・ジョン「Roses」

9位 (7位) ジョーシュ・シックスエイトファイヴ × ジェイソン・デルーロ「Savage Love (Laxed - Siren Beat)」

10位 (11位) ギャビー・バレット「I Hope」

 

次週は、BTS「Dynamite」が初登場で首位を獲得するという予想が少なくありません。アメリカ、そして日本でも様々な施策を実施している「Dynamite」が次週どのポジションで初登場を果たすかに注目。無論その翌週の動向もチェックし、真のヒットかを見極めていきましょう。