米ビルボードのソングスチャートをチェック。現地時間の6月22日月曜に発表された6月27日付最新ソングスチャート、シックスナイン & ニッキー・ミナージュ「Trollz」が初登場で首位の座に就きました。
On this week's #Hot100, @6ix9ine achieves his first No. 1 and @NICKIMINAJ adds her second. https://t.co/pDw685OL5r
— billboard (@billboard) 2020年6月22日
動画を貼付したものの、YouTube以外のサイトでは観られない仕組みになっているようです。チャートを追いかけてしばらく経ちますが、このような事態ははじめてかもしれません。もしかしたらYouTubeで観(続け)よという狙いがあるのかもしれません。
「Trollz」はストリーミングが3600万を獲得し同指標3位発進、ラジオエアプレイが120万を獲得(同指標50位未満)、そしてダウンロードが116000となり同指標トップに立ちました。特にダウンロードは、テイラー・スウィフト feat. ブレンドン・ユーリー「Me!」が昨年5月11日付で獲得した193000以来となる高水準。これは双方の公式サイトにてフィジカル施策が実施されたためで、集計期間中の16日にリリースされた新バージョン(オルタネートバージョン)も含め、12を超える種類のフィジカル(シングルCD、レコードおよびカセットテープ。サイン入りCDも含まれる)がリリース。これらの購入者には後日フィジカルが届くほか、購入の段階でダウンロードが出来るという形。これにより10万を超える数値を獲得したという次第です。
シックスナインとニッキー・ミナージュによる組み合わせでは、マーダー・ビーツも加わった「Fefe」が一昨年夏に3位を獲得し、今年5月23日付では「Gooba」も初登場で3位を記録しています。シックスナインのトップ10入りは今回が3曲目にして初の頂点となり、ニッキー・ミナージュにとってはドージャ・キャットに客演参加した「Say So」が5月16日付で首位となって以来2曲目となりました。コラボ曲での首位獲得は今年7曲目となり最多記録を更新、またインディレーベルの首位獲得はエックスエックスエックステンタシオン「Sad!」(2018年6月30日付)以来、2年ぶりとなります。
ラジオエアプレイの首位はザ・ウィークエンド「Blinding Lights」(総合5位)。前週比2%ダウンの7430万を獲得しています。またストリーミングの首位はダベイビー feat. ロディ・リッチ「Rockstar」(総合2位)で、前週比11%アップとなる3980万を獲得。この上昇は6月12日に新たなバージョン、BLM(Black Lives Matter)リミックスをリリースしたことに伴うもので、ダウンロードは前週比12%アップの13000(同指標3位)、ラジオエアプレイは同21%アップの3140万(同指標14位)と、全指標二桁成長を達成しています。
今週3位に初登場を果たしたリル・ベイビー「The Bigger Picture」もまた、アメリカで社会問題となっている黒人差別を撤廃せんと訴えるBlack Lives Matterムーブメントから生まれた曲。ストリーミングは3910万を獲得し同指標2位発進。ダウンロードは8000を獲得し同指標10位、ラジオエアプレイは360万(同指標50位未満)となっています。このBlack Lives Matterムーブメントから生まれた曲では6月19日にリリースされたものも多いことから、次週のチャートでトップ10入りとまではいかなくとも100位以内に入る曲は少なくないものと捉えています。リル・ベイビーにとってはドレイクとの「Yes Indeed」(2018 6位)、ガナとの「Drip Too Hard」(2018 4位)に続く3曲目のトップ10入りにして、最高位を更新しました。
今週2曲が初登場でトップ3入りを果たしたことで、トップ3において2曲以上が初登場を果たしたのは5回目となりました。1998年2月28日付でのセリーヌ・ディオン「My Heart Will Go On」(1位)とウィル・スミス「Gettin' Jiggy Wit It」(3位)、2003年6月28日付でのクレイ・エイケン「This Is The Night」(1位)とルーベン・スタッダード「Flying Without Wings」(2位)、2015年11月14日付でのアデル「Hello」(1位)とジャスティン・ビーバー「Sorry」(2位)、そして今年5月23日付でのアリアナ・グランデ & ジャスティン・ビーバー「Stuck With U」(1位)とシックスナイン「Gooba」(3位)に次ぐ記録が今週達成されています。
最新のトップ10はこちら。
[今週 (前週) 歌手名・曲名]
1位 (初登場) シックスナイン & ニッキー・ミナージュ「Trollz」
2位 (1位) ダベイビー feat. ロディ・リッチ「Rockstar」
3位 (初登場) リル・ベイビー「The Bigger Picture」
4位 (2位) ミーガン・ジー・スタリオン feat. ビヨンセ「Savage」
5位 (3位) ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」
6位 (4位) ドージャ・キャット「Say So」
7位 (5位) ジャスティン・ビーバー feat. クエイヴォ「Intentions」
8位 (7位) セイント・ジョン「Roses」
9位 (10位) レディー・ガガ & アリアナ・グランデ「Rain On Me」
10位 (9位) ロディ・リッチ「The Box」
「Trollz」は今年5曲目となる初登場での首位獲得曲となり、この5曲というのは2018年および1995年の4曲を上回り過去最高となりました。一方、5月9日付で首位を獲得したザ・スコッツ(トラヴィス・スコット & キッド・カディ)「The Scotts」は翌週12位へ、5月23日付の首位だったアリアナ・グランデ & ジャスティン・ビーバー「Stuck With U」は翌週13位へと、わずか1週でトップ10からも後退してしまいました。「Stuck With U」に阻まれ「Gooba」が3位初登場だったためにアリアナやジャスティン、果ては米ビルボードの不正と喧伝したシックスナインですが、その「Gooba」も翌週は11位へ後退しています(ランクダウンが緩やかだったのは、後になってフィジカル施策を採ったためとみられます)。急落した曲はいずれもフィジカル施策が採られたものであり、初登場の翌週は所有指標が落ち込むする一方、ラジオエアプレイが一気に上昇することはないため急落は必至なのです。いわばフィジカル施策は日本的なチャートアクションに近いと言ってもよく、少なくとも「Trollz」は次週の動向をみて真の社会的ヒットと言えるかを判断しなければなりません。首位を獲ったという記録は残れども年間チャートを、少なくとも翌週の動きをみないといけないというのが私見です。仮に次週、「Trollz」が急落することがあれば、米ビルボードはフィジカル施策に関してチャートポリシーを見直す必要があるのではと考えます。