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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

10月17日付米ビルボードソングスチャート、BTSがワンツーフィニッシュを達成した理由は

ビルボードのソングスチャート、現地時間の10月12日月曜に発表された10月17日付最新ソングスチャート(Hot 100)においてジョーシュ・シックスエイトファイヴ × ジェイソン・デルーロ × BTS「Savage Love (Laxed - Siren Beat)」が前週の8位から上昇し、初の首位に輝きました。

元来「Savage Love」はニュージーランド出身の高校生だったジョーシュ・シックスエイトファイヴによる曲でTikTokで人気となったものを、ジェイソン・デルーロが当初無断でカバー、後に公式に音源化されたものでした。

そして今回のBTS追加版はインストゥルメンタルバージョンも含めて10月2日金曜に公開。今週のチャートは10月2日からの1週間がストリーミングおよびダウンロードの集計期間であり、大きく加勢されたわけです(なお、ラジオエアプレイはその3日後からの1週間が集計期間)。ラジオエアプレイは前週比2%ダウンしたものの(7060万 同指標5位)、ストリーミングは前週比32%アップの1600万(同指標14位)、そしてダウンロードは同814%アップの76000(同指標2位)となり、総合で前週から7ランク上昇し初の頂点に立ちました。歌手名のクレジットは3指標の総合でリミックスバージョンがオリジナルに勝った場合、リミックスに参加した歌手が併記される形となりますが、ダウンロードではBTS参加版が圧勝、ラジオエアプレイは不参加版が圧倒しストリーミングは互角、しかしながら総合でBTS有版が勝ったことで今回BTSが追加表記されています。

今回の「Savage Love (Laxed - Siren Beat)」により、BTSは後述する「Dynamite」に次ぐ2曲目の首位を獲得、ジェイソン・デルーロにとっては「Whatcha Say」が2009年11月14日付で首位を獲得して以来2曲目の1位に。ジョーシュ・シックスエイトファイヴにとっては初。また「Savage Love (Laxed - Siren Beat)」は今年16曲目となる首位にして、米ビルボードソングスチャート62年の歴史において実に1111曲目の首位という、いわゆるキリ番を獲得しています。

 

BTSは「Dynamite」が今週も2位となり、ダウンロードが前週比9%アップの94000(同指標1位)、ストリーミングが同2%ダウンの1340万(同指標21位)、ラジオエアプレイが同18%アップの2730万(同指標26位)に。BTSの存在はとりわけ所有指標を押し上げていることが解ります。「Savage Love (Laxed - Siren Beat)」そして「Dynamite」により、BTSは2009年6月から7月にかけてのブラック・アイド・ピーズ(「Boom Boom Pow」「I Gotta Feeling」で4週)以来となるデュオもしくはグループでのワンツーフィニッシュを達成。この記録は他にアウトキャスト(2003-2004 8週)、ビー・ジーズ(1978 5週)、ザ・ビートルズ(1964 10週)のみが達成しており、BTSは5組目となります。

 

ジョーシュ・シックスエイトファイヴ × ジェイソン・デルーロ × BTS「Savage Love (Laxed - Siren Beat)」は先月米ビルボードが新設した2つのグローバルチャートでもヒット。Global 200では首位に到達し、Global 200からアメリカの分を除いたGlobal Excl. U.S.では3位に。いずれもBTSがクレジットされていますがこれはグローバルチャートが主要デジタルプラットフォームのダウンロードおよびストリーミングの2指標で構成されラジオエアプレイは加算対象外のため。なお、Global Excl. U.S.で首位に立ったBLACKPINK「Lovesick Girls」はGlobal 200で2位となり、Global 200およびGlobal Excl. U.S.のトップ3をK-Popアクトが占拠したことになります。

 

ラジオエアプレイで30週目の首位を獲得し(前週比1%ダウンの7940万)、総合で6位につけたザ・ウィークエンド「Blinding Lights」は通算34週目のトップ10入りとなり、ポスト・マローン「Circles」(2019-2020)の39週に次ぐ歴代単独2位に躍り出ています。

 

そしてトゥエニーワン・サヴェジ & メトロ・ブーミンのコラボアルバム『Savage Mode II』からの2曲が、アルバムが10月17日付ビルボードアルバムチャートを制した勢いを受けてランクイン。なお先述したBLACKPINKも同日付アルバムチャートで『The Album』が2位となり、「Lovesick Girls」がグローバルチャートで上位進出を果たした原動力となっています。

「Runnin」が9位、そしてドレイクを迎えた「Mr. Right Now」が10位に初登場。ストリーミングは「Runnin」が2610万で同指標2位、「Mr. Right Now」が2470万で同指標3位となっています。

(ちなみに同指標を制したのは今週もカーディ・B feat. メーガン・ザ・スタリオン(ミーガン・ジー・スタリオン)「WAP」(総合3位)ですが、前週比11%ダウンの2830万となっており3千万を切っている状況です。)

トゥエニーワン・サヴェジにとっては今回の2曲ランクインによりトップ10ヒットが3曲となりました(最初のトップ10入りはポスト・マローンにフィーチャーされた「Rockstar」で、2017年に8週1位を獲得)。メトロ・ブーミンにとっては今回が歌手として初および2曲目のトップ10入り(一方でソングライターとしてはすでに6曲、プロデューサーとしては5曲トップ10ヒットを獲得しており、そのうちミーゴス feat. リル・ウージー・ヴァート「Bad And Boujee」(2017)およびザ・ウィークエンド「Heartless」(2019)を首位に送り込んでいます)、さらにドレイクは42曲目のトップ10ヒットとなり、首位獲得曲数で2位のマドンナとの差を4曲に拡げたほか、「Mr. Right Now」が自身27曲目となる初登場でトップ10入りとなります。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (8位) ジョーシュ・シックスエイトファイヴ × ジェイソン・デルーロ × BTS「Savage Love (Laxed - Siren Beat)」

2位 (2位) BTS「Dynamite」

3位 (3位) カーディ・B feat. メーガン・ザ・スタリオン「WAP」

4位 (5位) 24Kゴールデン feat. イアン・ディオール「Mood」

5位 (4位) ドレイク feat. リル・ダーク「Laugh Now Cry Later」

6位 (6位) ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」

7位 (7位) ダベイビー feat. ロディ・リッチ「Rockstar」

8位 (10位) ギャビー・バレット feat. チャーリー・プース「I Hope」

9位 (初登場) トゥエニーワン・サヴェジ & メトロ・ブーミン「Runnin」

10位 (初登場) トゥエニーワン・サヴェジ & メトロ・ブーミン feat. ドレイク「Mr. Right Now」

 

一方で、前週首位を獲得したトラヴィス・スコット feat. ヤング・サグ & M.I.A.「Franchise」は25位に急落しています。ストリーミングは前週比40%ダウンの1170万、ダウンロードは同85%ダウンの15000となり、シックスナイン & ニッキー・ミナージュ「Trollz」の33ランクダウン(7月4日付)に次ぐ首位からの急落記録となってしまいました。「Franchise」についてはこのような施策も行っていますが、施策がなかったらワースト記録を塗り替えてしまっていたかもしれません。

なお、首位からの急落記録は本来、今年1月11日付で前週の首位から100位圏外となったマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You (邦題:恋人たちのクリスマス)」が該当するのですが、今回の米ビルボードの記事には記載がありません。おそらくは集計期間の関係により1月11日付でクリスマスソングが一掃されたため、「All I Want For Christmas Is You」はこの記録の対象としてカウントされないのかもしれません。