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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

オリコンが今週"合算ランキング"をスタート…ビルボードジャパンには真似すべき点が多数あるのです

オリコンの新たなランキングが今週スタートしました。先週月曜からの1週間を集計期間とする"合算ランキング"、その第1回目の速報が今日4時に発表されました。

今日は、この合算ランキングを踏まえた私見を記載。

 

オリコンでは数日前、合算ランキングの計算方法を公表しています。

オリコン合算ランキングの集計方法について | ORICON NEWS

ストリーミングで用いるサービスが有料分のみであることからも、あくまで"売上"にこだわっていることが解ります。この売上という概念は音楽ジャーナリストの柴那典氏が以前語っていたことです。

集計方法を考えるに、シングルCDセールスが強く、同セールスが突出するジャンル(アイドルやK-Pop、アニソン・キャラソン等)が強くなるのは自明かもしれません。ゆえに、そのジャンルへの忖度がオリコンにあったのでは?という見方があるのは自然なことと言えます。

事務所への懸念についてはデジタル解禁の願いを込めて先日エントリーを記載しましたが、今朝の段階で解禁はされておらず…オリコン合算ランキングの集計方法に安堵し解禁を控えたと考えるのは邪推でしょうか。

事務所問題は別としても、音楽チャートに詳しい方々の間では、今回のオリコン合算ランキングでは流行を可視化出来ないという見方が大半を締めており、自分も同意します。オリコン合算ランキングはあくまで売上主体であり、流行や接触を重視したビルボードジャパンソングスチャートのほうがはるかに、今の社会的流行の鑑になるものと考えます。これは今日発表されるであろう、オリコンビルボードジャパンでの米津玄師「Lemon」やDA PUMP「U.S.A.」の順位を見れば明らかになることでしょう。

 

 

ただ、ビルボードジャパンチャートよりオリコン合算ランキングが長けている部分がいくつかあります。ビルボードジャパン(ソングスチャート)にはオリコンの長所を学び自身の改善に活かしていただきたい…その願いを込めて、下記に現状の問題点を記載します。

 

ひとつは先述した集計方法の公開。ビルボードジャパンはオリコンの倍以上となる8指標(シングルCDセールス、デジタルダウンロード、ストリーミング、ラジオエアプレイ、Twitter、ルックアップ、動画再生、カラオケ)で構成されており、複雑な計算式となっているだろうとは想像出来るものの、その計算方法を出来る限り可視化することでチャートへの信頼は得られるはずです。しかし現状においては指標のデータ提供元が記載されているのみです。

またビルボードジャパンソングスチャートでは、シングルCDセールス指標において複数種販売やユニークユーザー数と実売数との乖離等を踏まえ、独自の"係数"を算出し用いていますが(【Billboard JAPAN Chart】よくある質問を参照)、未だその係数の算出方法も提示されていません。細か過ぎるゆえ公開しても意味がないと考えるかもしれませんが、係数が適用された曲をリリースした歌手やそのファンからすれば"売れたのに上位にいかない"と納得しないことも考えられます。そのような不満を想像し、上位にいかないことを納得出来る理由を提示し、不満を先回りして抑える…この不満の打ち消しが不十分だと考えます。

 

もうひとつはチャートの公開時間。ビルボードジャパンは2週前の発表分からカラオケ指標を新たに導入したのですが、それもあってかチャートの更新時間が水曜13時前後から1~2時間遅れています。

前週においてはトピックスが先に発表されていたようですが、それでも基本的な公開の流れは"トップ100→CHARTinsight→トピックス"、となっています。

他方オリコンは、合算ランキング発表初回となる今日、首位のみではありますが午前4時に公開し、1分後にはSNSで発表しています(先に引用したツイートを参照)。オリコンはこれまでにもシングル/アルバムCDセールスランキングを火曜早朝、決まった時間に発表していますが合算ランキングもそれを踏襲。2位以下の発表は遅れてたとしても、速報は水曜早朝に行うものと考えられます。

となると、時間をきっちり守り且つ早い時間に発表するオリコンと、公開時間があやふやのビルボードではどちらが信頼に足るかは自明。ビルボードジャパン側は多少遅れたとしても、"毎週水曜13時に発表"などとアナウンスし実際それを守れば、チャートを精査しているのだなと納得するユーザーは多いはずです。

 

 

と、ここまで書いてきましたが、オリコン合算ランキングについてはその新方式が発表された1年前に個人的に抱いた懸念があり、今回それが拭えることはありませんでした。そしてこの1年、ビルボードジャパンが認知度拡大の施策を行ったとはあまり思えず、そして市井の音楽チャートへの信頼度の低さもそのままなのでは…と、1年前のエントリーに記載した際の感情がそのままくすぶっている自分がいます。

ビルボードジャパンには信頼を勝ち取るべく今回の問題にきちんと取り組み、集計方法と公開時間を前面に打ち出し、日本を代表し世界に提示出来る音楽チャートになっていただきたいと切に願います。