イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

オリコンランキング"改革"で変わるべき三者

エンタテインメント業界で昨日大きな話題となったのが、オリコンの"改革"発表。

いわば、ビルボードジャパンチャートのような複合指標に基づくランキング作りを目指すとのことですが、自分はこのブログで幾度となく指摘しており、厳しい物言いですが遅きに失した感は否めません。

上記の①でも提案しましたが、改革発表に至るまで2年かかっています。また。

2016年末のMステランキングを踏まえ、社会的なヒット曲を示す鑑になっているのは【ビルボードジャパン>オリコン】という構図である、とも述べました。そこからも1年以上経過しています。

あらためて、遅きに失した感は否めませんが、チャートといえば未だオリコンの認知度のほうが高いゆえ、それを武器にするのは間違いないでしょう。ならばそれを見据えて変わるべき三者を書き連ねてみます。

 

 

ビルボードジャパン

チャート好きのみならず、一般にも少しずつビルボードジャパンチャートの良さが広まってきてはいますが、未だ取り上げるメディア等は少なく、また一般的にも認知されているとは言い難い状況です。この秋までに積極的なメディア展開などを行い、オリコンよりかなり早く複合指標を取り入れ時代のニーズに応えてきたことを訴求しないと、オリコンランキングの影に隠れてしまいかねません。最早一刻の猶予もないのです。

ちなみにオリコンの改革においては、ストリーミング等において『対価を払って音楽を聴く層の動向を重視する』(上記記事より)模様ですが、これは米ビルボードで既に2018年(もしくは2018年度)に取り入れられています。この変革もビルボードジャパンがいち早く行い、その際は必ずチャートポリシー変更をアナウンスしていただきたいところ。ビルボードジャパンが独自に行っている、シングルCDセールスの複数種販売等による群を抜く売上に対する係数の設定等もきちんと公表し、オリコンビルボードジャパン化することが判った段階で早急に、現段階での構成指標等をわかりやすく提示することが大事であり、そうすることでより多くの方の支持を得ることが出来るはずです。

 

② 芸能事務所およびメディア

今回のオリコン複合指標取り入れはある種、インターネットを積極的に取り入れようとしないところとの"決別"ともとれる内容です。となると変わるべきはそういった芸能事務所であることは自明。以前オリコンが雑誌を発売していた際蜜月関係にあった(と言われても過言ではない)事務所は特に、変革を余儀なくされます。この波に乗らないと変革以降の"オリコン1位"が取りにくくなるわけで、連続1位を多く輩出するタレントを抱えているならば尚の事です。ネットに懐疑的になることをやめていただきたいですし、メディアがそのごく一部の芸能事務所に対し、メディアの利益優先とはいえ過剰に忖度する必要はないのです。

...と推敲したのが昨日の朝のことでした。

正直、"!"と言っている日刊スポーツには驚かされます。いや日刊スポーツのみならず全てのメディアがこれまでジャニーズ事務所側に対し、"なぜ今までネットに懐疑的だったんですか?"等の取材を行ってこなかったのか問いたいところですがそれは今は一度置いておき。

これにより、近い将来動画やストリーミングも解禁されることでしょう。となると複合指標に基づくチャートアクションでより優位に立てるかもしれません。とはいえ。

オリコンの発表とジャニーズ事務所の写真解禁が同日だというのは奇妙な一致に思うのは自分だけでしょうか。それこそ、新しい地図の3名の動きにおいても同じ日に、旧事務所であるジャニーズ事務所側から何かしらの動きがあることが幾度となくあるそうで、ちょっと訝しく感じていたところです。

これは穿った見方であると前置きして話すならば、時代の変化に逆らえなくなりランキングの改革を模索していたオリコンが、その足枷となっていたジャニーズ事務所からネット柔軟化するとの通達を受けてようやく一歩踏み切った可能性も否めません。となると、この両者の密な関係性は続くかもしれず、たとえば改革後のランキングにおいて、シングルCDセールス指標に必要以上の重きが置かれることも考えられます。オリコンがきちんとどの芸能事務所やレコード会社等からも独立して干渉されることがないか、もしくはオリコン自体が忖度することないかをきちんと見ていかないといけません。

 

③ 市井

チャートが複合指標化すれば社会に支持される良い曲はより残りやすくなりますが、アイドルやアニソン、K-Pop等シングルCDセールスが突出して強く、初週セールスに勢いのある作品は急降下はあれど上位に登場するわけで(ゆえに2週目のセールス動向も見ないといけない、と考えています)、ともすればパッと見たところさほどチャートアクションに変化がないように見えるかもしれません。となると"この曲知らない"とか"ヒットしているとは思えない"といった声が出て来るかもしれません。正直、そういう声を平然と放てる市井の姿勢に愕然とするのです。

今回取り上げたオリコン改革の記事はYahoo!ニュースでも取り上げられていますが、そのYahoo!のコメント欄での、"曲ほとんど知らない"や"全然分からない"という表記は本当に格好悪いと思うのです。バッシングの対象となっているアイドル等にも良い曲がたくさんあるのは勿論のこと、ともすればコメントの発し手自身のアンテナの感度が鈍ってきていることをチャートのせいにしたり、果ては情報(印象)操作のせいだと責任転嫁やでっち上げまでする姿勢は、自分のマイナス、アンテナの錆を省みようとしない恥ずべき行為です。

自分自身、ランクインした全曲を知っているわけではありません。とはいえ知らないことを"(社会的に)正しい"とみなし自分に宿る責任を見放すことが如何に情けないかを考えると、知る努力は手放してはいけないし、知る価値がないなどとは絶対思ってはいけないと考えています...というようなことを以前書いているのであらためて載せておきます。

ランキングの改革と共に、必要なのは受け止める側の意識改革だと断言します。

 

 

以上、変わるべき三者について書きました。個人的には特に①を強く期待します。