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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動画】「唱」通算12週目の首位、桑田佳祐&松任谷由実クリスマス曲2位到達の背景

最新12月27日公開分のビルボードジャパンソングチャート(集計期間:12月18~24日)では、Ado「唱」が2週連続、通算12週目となる首位を獲得しました。

「唱」のポイント前週比は93.4%。集計期間初日に『CDTVライブ!ライブ! クリスマス4時間半スペシャル』(TBS 12月18日放送)に出演した効果がダウンロード指標の維持に表れている一方、ストリーミングは前週と下落幅がほぼ同じとなっています。

ストリーミング指標の基となるStreaming SongsチャートではAdo「唱」が9月27日公開分以降首位をキープしていますが、ビルボードジャパンStreaming Songsチャート再生回数に対しSpotifyの割合が2割を超えたということに注目しています。Streaming Songsチャートで長期間首位を維持する曲において全体の再生回数に対するSpotify再生率が徐々に高まっていく傾向にあるのですが、「唱」でも同様の事態となっています。

SpotifyApple Musicに次いで再生回数の多いサービスですが、デイリー200位までの再生回数を開示しているゆえ日々ブログやXのポストにてその動向を追いかけています。そのSpotifyApple Music等他サービスよりも勢いが下がりにくい、言い換えれば他のサービスより保守的な動向を辿ることが、首位曲再生回数のSpotify再生率増加に反映されているといえるでしょう。

Streaming Songsチャートで長期間首位を獲得した曲はその最後の首位獲得時において、Official髭男dism「Subtitle」はSpotify再生率が25.2%(4月12日公開分にて)、YOASOBI「アイドル」は同22.1%(9月20日公開分にて ただし英語版「Idol」はSpotify200位未満につき含まれず)となっていました。Ado「唱」はまだ2割を超えて間もない状況ですが、今後の動向が気になるところです。

 

 

さて、当週2位には桑田佳祐松任谷由実「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない) 2023」が急上昇を果たしています。

獲得した6,520ポイントのおよそ半数をラジオ指標のみで得ているのですが、そのラジオ指標の基となるプランテックのOAチャートでは特筆すべきこととして記されています。

そして、今週唯一、調査対象全てのステーションで2回以上のオンエアを獲得している点も然ることながら、特筆すべきはそのオンエア数だ。509回のオンエアを獲得しており、2位以下の2.7倍を超える大差であるとともに、週間で500回以上のオンエアは2010年9月以降初めてのこと。実に歴代5位(プランテック調査基準)となる記録的回数であったことを特筆したい。ビッグネーム2人によるコラボレーションならではの結果だ。

元々ラジオはベテランが強さを発揮する傾向にあり、桑田佳祐さんおよび松任谷由実さんが全国放送のレギュラーラジオ番組を持っていることも影響したと言えます。

 

一方で、他指標にも注目です。今回、「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない) 2023」はフィジカルセールス指標で4位を記録。この曲は12月20日にCDとしてリリースされていますが、同日発売となった松任谷由実さんのアルバム『ユーミン乾杯!! ~松任谷由実50周年記念コラボベストアルバム~』にも収録されています。

ただ、リリース元はアルバムがユニバーサルミュージックに対しシングルはビクターであり、シングルは桑田佳祐さんサイドが発信したと捉えていいでしょう。加えて今回の作品は桑田さんの公式YouTubeアカウントにて公式オーディオ(上記掲載)のみならず、リリックビデオも発信。後者の公開は当週の集計期間中盤となっていますが、動画再生指標は前週の300位圏外から85位に急上昇しており、公開効果が表れた形です。

 

元来クリスマス直前のフィジカルリリースは、クリスマス後に在庫が残る可能性を踏まえて避ける傾向が強いと思うのですが、松任谷由実さんのコラボベストアルバムに収録された「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない) 2023」がソングチャートでも2位に達したのは、そのフィジカルリリースも含めた桑田佳祐さん側の判断が功を奏したゆえといえるでしょう。

(なお「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない) 2023」は来年のバレンタインデーにアナログにてリリースされることも決定しています。ともすればこの曲のフィジカルリリースは、桑田佳祐さんおよび松任谷由実さんのコアファン(フィジカルが出ればきちんと購入するファン層)の存在を見越したものであるともいえそうです。)

 

クリスマス関連曲は次週の急落が予想されますが、桑田佳祐松任谷由実「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない) 2023」が来年のシーズンにも上昇を果たすならば同曲が定番作品の仲間入りを果たしたと断言していいのかもしれません。