イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

back number「クリスマスソング」、次回チャートでのトップ10入りを確実なものとする施策とは

2022年度のクリスマスシーズン、日本においてはback number「クリスマスソング」が今年も週間トップ10入りを狙える位置にいます。

(上記は最新12月21日公開分ビルボードジャパンソングチャートにおける、直近60週分のCHART insightとなります。)

back numberが2015年、ドラマ『5→9〜私に恋したお坊さん〜』(フジテレビ)主題歌としてリリースした「クリスマスソング」は、昨年のクリスマスシーズンにおいてビルボードジャパンソングチャートで7位まで上昇。今シーズンにおいて次回12月28日公開分(2023年1月2日付)はクリスマス当日までが集計期間となることから、この順位を上回る可能性もあります。昨年のクリスマスシーズンにおけるチャートアクションはこちら。

back numberは『NHK紅白歌合戦』にも出場を果たし、来年1月17日にはニューアルバム『ユーモア』をリリース。「水平線」をはじめ収録曲は既に多数ヒットしていますが、過去曲である「クリスマスソング」も大きな援軍となることでしょう。

そして注目は、back number側が様々な仕掛けを施していることにあります。

 

back number staff on Twitterより。

(※ハッシュタグの絵文字は期間限定ゆえ、キャプチャしたものを紹介しました。問題があれば削除いたします。)

ニューアルバムやドームツアー等の宣伝も兼ねて、back number側はよく使われる(もしくは使ってほしい)と思しきハッシュタグに"bn"の絵文字を追加。ハッシュフラッグと呼ばれるこの機能には多額の費用がかかる模様ですが、費用対効果を見据えてback number側が用意したものと思われます。つぶやけばつぶやくほど目を引くゆえ、コアファンのツイートはライト層取込の意味でも重要と言えるでしょう。

 

さらに、「クリスマスソング」の歌詞に用いられる"会いたい"という言葉がつぶやかれた回数をカウントする特設サイトが登場。back numberの歌詞への言及ではなくとも"会いたい"というワードが入っていればカウントされるだろうことを踏まえれば、カウント数はより大きくなるものと思われます。ライト層(曲と無関係のつぶやき)も取り込むのは興味深いものがあります。

会いたいと思う回数カウンター│back number「クリスマスソング」│UNIVERSAL MUSIC JAPANより

(※12月21日午前5時過ぎの状況を、サイトの特徴を伝えるためにキャプチャしました。問題があれば削除いたします。)

上記はパソコンでの特設サイト画面。右側にスマートフォン縦型画面を意識した映像が用意されていますが、左側には各サブスクサービス等へのリンクや『ユーモア』スペシャルサイトのバナーが掲載されています(なおスマートフォンでは下にスクロールするとリンク等が登場します)。たとえばTikTokは動画やサブスクサービスへの誘導につながる重要なツールとなっていますが、この特設サイトもそれに近い効果を招くでしょう。

 

加えて、所属レコード会社のユニバーサルミュージック側もこのような施策を用意しています。

とりわけ後者のツイートにおけるキャンペーンをみると、選択肢のひとつがback numberとなっているところがポイント(他の2組もユニバーサルミュージック所属)。そしてback numberを選ぶと彼らの代表曲に基づくプレイリストが提供される仕組みとなっています。

 

 

back numberはサブスクやミュージックビデオのフルバージョン公開に消極的な印象がありましたが、方針転換後は彼らの存在がより大きくなっていると感じています。この点については昨年秋にも紹介しています。

サブスクに強い歌手が音楽チャートを制する傾向が高まり、サブスク時代以降に(メジャー)デビューした歌手とそれ以前の歌手とで差が生じている中、後者に属するback numberは日本のSpotifyデイリートップアーティストチャートにおいて12月15日付で初制覇。このチャートでの首位獲得歌手が極めて少ないことからも、彼らがサブスクで如何に聴かれているか、そして方針転換が吉だったかがよく解るのです。

 

クリスマスまでの1週間を集計期間とする12月28日公開分ビルボードジャパンソングチャートについては、12月29日付のブログにて分析し紹介します。