イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【マイベスト】2022年7月の私的トップ10ソングス、選びました

2020年1月にスタートした【私的トップ10ソングス+α】企画、今回は2022年7月分です。前の月にリリースされた曲を中心に、しかしその縛りは出来る限り緩くした上で選んでみました。ミュージックビデオ等動画がない曲は巻末のプレイリスト(Spotify)でチェックしてみてください。

過去の私的トップ10ソングス等についてはこちらに。現在はSpotifyを利用しており、New Music WednesdayNew Music Friday JapanNew Music FridayおよびMonday Spinを毎週チェックしています。

 

なお、"私的トップ10ソングス"とあるように、月イチで紹介するこのエントリーは完全な私見に基づくベストソングス(選出企画)となります。個人的な作品への思い入れについて、音楽チャート紹介時には乗せないよう心掛けていきます。

 

 

10位 TWICE「That's all I'm saying」

(上記は公式オーディオ。)

昨年12月度で4位に選んだ「Doughnut」同様、日本オリジナル曲ながらJ-Popらしさ(歌謡曲的なメロディ)はほぼみられず。近年はK-Popアクトが日本進出する際にグローバル向け作品の日本語詞版が用意されがちですが、日本オリジナル曲もきちんと用意するTWICEが、それもいい意味でJ-Popらしくない形に仕上げていることは興味深いですね。作品自体が好く、今後のK-Popアクトの日本での動きが変わるかもと感じています。

 

 

9位 ローリー feat. シェリー (FKA DRAM) & アレックス・アイズレー「I Want You But You'll Never Know」

(上記は公式オーディオ。)

7月はR&B作品で気になるものが多く、特に引っ掛かったのがローリー(Rory)という方。Spotifyでのリリース作品はこの7月に出た2曲のみと少ないのですが、D.R.A.M.として「Broccoli」が米ビルボードソングスチャートトップ10入りを果たしたシェリー、そしてアーニー・アイズレーの娘であるアレックスを迎え入れるあたり、業界で以前から活動していたのではと推測。今後が楽しみであると共に、深く掘り下げたいと実感です。

 

 

8位 スティーヴ・レイシー「Give You The World」

(上記はヴィジュアライザー。)

ジ・インターネットのギタリスト、スティーヴ・レイシー。サブスクで「Bad Habit」が大ヒットし、次週の米ビルボードソングスチャートトップ10入りが濃厚と言われています。そのスティーヴのソロアルバムは良作が多く、その中から新曲プレイリスト入りした「Give You The World」を選出。イントロの加工音が既にタイムレスな雰囲気を纏うのに成功し、"Give You The World"の連呼で夢見心地になること間違いありません。

 

 

7位 Penthouse「雨宿り」

(上記は公式オーディオ。)

ゴスペラーズとの共演でも注目を集める6人組バンドのこの曲は、2022年版「勿忘」(Awesome City Club)とも言うべきデュエット曲。ソウルフルな歌声が歌詞をよりダイレクトに届けることに成功していますが、サビで男女ボーカルが歌いつなぐ部分があまりにもシームレスだったことに驚きました。

 

 

6位 ドミ & JD・ベック feat. スヌープ・ドッグバスタ・ライムス & アンダーソン・パーク「Pilot」

キーボードとドラムスによるユニットのデビューアルバムに収められたこの曲は、ふたりをレーベルに迎え入れたアンダーソン・パークに加えてスヌープ・ドッグバスタ・ライムスという重鎮ラッパーを招いた作品。バスタ・ライムスの低音はまるでバリー・ホワイトを思わせるベルベットボイスで、そのふくよかな色気をふたりが見事にまとめ上げています。

 

 

5位 PerfumeSpinning World

ニューアルバム『PLASMA』のリード曲。過去曲のアプローチは様々な歌手にみられながら、ジャンルとしてのフュージョンを取り上げられたこと自体が珍しく、中田ヤスタカさんの手腕には相変わらず驚かされるばかり。無論、その世界観を見事に表現するPerfumeも見事ですが、そのPerfumeはアルバムおよびリード曲を現代ならではの形で訴求しており、より多くのファンを獲得できるかに注目です。

 

 

4位 SGルイス「Missing You」

(上記は2本目のヴィジュアライザー。)

アルバム『Times』リリースから1年半、SGルイスがPWL直系と言える「Missing You」をリリース。ストック・エイトキン・ウォーターマンが以前手掛けたKAKKO「We Should Be Dancing」を藤井隆さんがKAKKO本人(鈴木杏樹さん)を招いてカバーしたのも7月で、遂にこのジャンルが本格的再流行到来の可能性も。よりPWL色の強い「Missing You」を今回選出。

 

 

3位 ビヨンセ「Cuff It」

(上記はリリックビデオ。)

4月度で1位に選出し、直近で2週連続米ビルボードソングスチャートを制したリゾ「About Damn Time」の流れも汲んでいるといえるこの曲は、ビヨンセ待望となる6年ぶりのオリジナルアルバム『Renaissance』収録曲。アルバム全体のコンセプトや背景もきちんと語られなければなりませんが、1曲1曲の素晴らしさについては6月度で9位に選出した「Break My Soul」、そしてこの曲からもよく解ります。

 

 

2位 BE:FIRST「Scream」

一切の隙なし。現代の流行を汲むロックテイスト、タイアップ先(Alianware)を自然に盛り込んだ歌詞、そしてグループ誕生時からの一貫したコンセプトを、7人がより輝く配置(歌割り)で訴求(個人的白眉はRYOKIさんのラップにおけるギリギリの狂気を孕んだ点、そして1番と2番をつなぐRYUHEIさんの歌唱の説得力)。ニューアルバム『BE:1』の訴求手法も長けていますが、その顔たる曲に成っています。

 

 

1位 佐野元春 & THE COYOTE BAND「さよならメランコリア

(上記はアルバムトレイラー。「さよならメランコリア」は0分56秒以降で確認可能。)

『ENTERTAINMENT!』に続く今年2枚目(!)のオリジナルアルバム、『今、何処 - Where Are You Now』の実質的な冒頭曲。新曲プレイリストに収まっていた「クロエ」の持つトレンディドラマ感が素晴らしかったのですが(Vaundy「恋風邪にのせて」も同様の理由で3月度の1位に選出)、アルバムの評判を聞きつけた上で「さよならメランコリア」にたどり着いた次第。

『今、何処』を、品川駅で展開されたデジタルサイネージ広告で知った方もいらっしゃることでしょう。これが掲示されたのが参議院選挙の翌日(以降)ということが、「さよならメランコリア」そして『今、何処』が何を示唆しているものかを示すに十分です。

"メランコリア"とは憂鬱症や深い悲しみを指す言葉。声を上げ鼓舞する佐野元春さんの強いメッセージを感じずにはいられません。

 

 

以下、次点として10曲。

Crystal Kay & Daichi Yamamoto「Gimme Some」

・ブレント・ファイヤズ feat. ジューニー「FYTB」

カルヴィン・ハリス with ジャスティン・ティンバーレイク、ホールジーファレル・ウィリアムス「Stay With Me」

・ドーズ「Joke In There Somewhere」

・エモーショナル・オレンジズ「Bounce

ジェイソン・デルーロ、デューク & ジョーンズ、ルイ・セロー & アメリア・ディモルデンバーグ「Jiggle Jiggle」

・リル・シルヴァ feat. サンファ & ゲッツ「Still」

・テンダイ「Pressure」

・ゼイ. feat. ファナ・ヒューズ「Comfortable」

・ヴィクトリア・カナル「Pity Season」

近年はミュージカル俳優としても活躍するCrystal Kayさんの新曲は完全なるヒップホップ。フロウも見事で、俳優活動や「恋におちたら」等ポップソングのイメージが先行している方にこそ聴いてほしい作品。KMさんのプロデュースワーク、冴えてます。

 

 

Spotifyのプレイリストはこちらに。

今月も素晴らしい音楽に出逢えることを願っています。