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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米津玄師、「Pale Blue」カップリング曲の「死神」がデジタル未解禁という事態…その理由を推測する

昨日最終回を迎えたドラマ『リコカツ』(TBS)。その主題歌となった米津玄師「Pale Blue」のフィジカル(CD)が今週リリースされています。

しかし、気になることが。フィジカルは3曲収録されていますが、3曲目の「死神」が現段階でサブスク解禁されていないのです。

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Apple Musicについてキャプチャしたものがこちら。Spotifyで歌手名+曲名にて検索しても、「死神」は登場しません。

 

米津玄師さんはボカロPとしての顔もあることから、ネットに対し積極的に音楽を放つイメージがあるかもしれませんが、サブスク解禁は昨年の大ヒットアルバム『STRAY SHEEP』のフィジカルリリース日。そのインパクトの大きさで、サブスクに積極的というイメージが浸透していると言えるでしょう。『STRAY SHEEP』が大ヒットしたゆえ、尚の事です。

『STRAY SHEEP』以降、米津玄師さんの新曲は完全にサブスク対応するものと考えていました。「Pale Blue」は『STRAY SHEEP』以降初のフィジカルリリース作品ですが、蓋を開けてみれば「ゆめうつつ」は解禁されたものの、「死神」は未解禁という状態です。

 

なぜそうなったのか…そこには2つの可能性が考えられます。ひとつは当初アップする予定だったものを中止したこと、そしてもうひとつは元々フィジカルリリース日にアップする予定がなかったこと、です。

 

 

たとえば自分が昨年12月の私的ベストソングスで1位に選んだハドソン・モホーク「What U Need」がサブスクからなくなっています。

上記Spotifyのプレイリストでは1曲目に入れた「What U Need」が再生できません。

また、歌手の意向で撤去した例も。上記はイギリスの歌手、ネイオー(Nao)が「Messy Love」を撤去した旨を伝える動画ですが、この音源は”リークされた”ことで撤去に至った例となります。

ハドソン・モホークにせよネイオーにせよ、これらは一度既に上がっていたものであり、厳密には当初アップする予定だったものを中止したという経緯ではありませんが、中止(撤回)したという点では似ていると言えます。ただ、元々配信予定だった作品をその解禁直前に中止することができるかは不明であり、この仮説は「死神」においては無理があるかもしれません。

 

ゆえに、「死神」は元々フィジカルリリース日にアップする予定がなかったというのが正しい推測だと考えますが、その仮説に至った理由はフィジカルセールスの多くなさにあります。

 

ビルボードジャパンは一部指標について、週前半(月-水曜)の速報を先ヨミ記事としてアップしています。一昨日の記事で、「Pale Blue」はフラゲ日と発売日の2日間で130,149枚を売り上げていると報じられていますが、これは『STRAY SHEEP』収録のシングル曲と比べて少なくなっています。

・「Lemon」先ヨミ131,305枚→週間205,381枚

・「Flamingo / TEENAGE RIOT」 先ヨミ172,906枚→週間240,077枚

・「馬と鹿」 先ヨミ322,061枚→週間431,270枚

(それぞれのフィジカルの先ヨミ動向は曲毎のリンク先から、週間セールスはビルボードジャパンのTop Singles Salesチャートから確認できます。)

フィジカルはいずれも3形態でのリリース。「馬と鹿」は『【米津玄師 2020 TOUR / HYPE】のチケット最速先行シリアルナンバーが封入』されたことが売上に反映されていると言えますが、それがなかったとしても売上は高かっただろうと推測できます(『』内は「馬と鹿」の先ヨミ記事より)。

 

しかも、「死神」は現段階でダウンロードもできない状況です。

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iTunes Storeにおける「Pale Blue」のページ(上記参照)をみると、発売日は来週金曜となっています。「Pale Blue」および「ゆめうつつ」は曲毎にページが設けられているものの、「死神」はページも設けられておらず、また6月25日以降に単曲として購入できるかは不明な状態です。

 

「Pale Blue」は、フィジカル発売の2ヶ月前にそのリリースがアナウンスされていました。

2ヶ月弱の予約枚数から「Pale Blue」のフィジカルセールス動向をある程度予想し、その売上を伸ばすことを第一義としてカップリング曲の「死神」をしばらくの間フィジカル限定的な扱いと位置付け、配信を行わないと決めた…「死神」を現段階で手に入れたければフィジカルを購入してほしいという米津玄師さんサイドの意思が、今回のデジタル未解禁措置と成ったのでしょう。個人的にはそう受け止めています。

 

 

 

その意向は理解できるとして、コアなファンからすればフィジカルを買うのが当然と考えているとして、しかしライト層にはその意向や行動がどう映るでしょう。

このような対応が、歌手の信用度に大きく関わってくるものと考えます。個人的には米津玄師さんのサブスク解禁の遅れをあらためて思い出したと共に、日本の音楽業界における未だフィジカル最優先という保守的な姿勢を痛感した次第です。

 

 

なお、カップリング曲を配信していないのは嵐にもみられる傾向であり、ともすればこれがスタンダードとなる可能性もあります。フィジカル、特にシングルは早々に廃盤となる傾向がある以上、カップリング曲もきちんと配信すべきというのが私見です。合わせて、主にソニーミュージック系列に多用されるシングルCDのレンタル解禁遅らせ措置についても異を唱えます。全シングル、条件を同一にしてほしいと強く願います。