アメリカで起きた人種差別発言とその対応について、色々と考えさせられます。
全米最新1位のモーガン・ウォレン、差別用語を使いレコード契約が無期限停止処分https://t.co/cc9k7OT9cU#MorganWallen
— BARKS編集部 (@barks_news) 2021年2月4日
カントリー歌手のモーガン・ウォレンについては、このブログでも何度か取り上げていました。カントリー歌手ながらストリーミングに長け、Spotifyは都市に大きな看板を用意するほど。最新アルバム『Dangerous: The Double Album』は米ビルボードで現在まで3週連続で首位を獲得し、収録曲は大挙サブスクチャートにエントリーを果たしています。
【米ビルボード・アルバム・チャート】
— Billboard JAPAN 洋楽 (@BillboardJP_INT) 2021年2月1日
モーガン・ウォレン3週連続No.1、
オズナ&アヌエルAAのコラボ作がTOP10初登場
1位 モーガン・ウォレン
2位 ポップ・スモーク
3位 テイラー・スウィフト
4位 ザ・ウィークエンド
5位 リル・ダークhttps://t.co/gCUbAJoUV8#Billboard200 pic.twitter.com/TUolZRXNX8
そのモーガン・ウォレンによる差別用語の使用、人種差別発言と言い換えてよいだろうこの問題は、アルバムの大ヒットに関係なくレコード会社がモーガンに対し無期限契約停止を言い渡す事態へとつながりました。さらにはカントリー音楽賞ノミネート資格の剥奪、ラジオ局での放送禁止措置にも至っています。BARKSでは伏せ字となっているその言動はMTVでは報じられていますが(→こちら)、自分は読んで心を痛めた次第。またSpotifyやApple Musicでは彼の作品は残しつつ、しかし主要なプレイリストから外しています。
By morning, Spotify, Apple and some of the country's largest radio conglomerates had removed Morgan Wallen from playlists and airwaves, while the singer’s record label and management company, Big Loud, announced it would “suspend” his contract. https://t.co/DecOgDyImm
— New York Times Music (@nytimesmusic) 2021年2月5日
一方、そのSpotifyのデイリーチャートではモーガン・ウォレンの作品が軒並み順位を上げているのです。
米Spotifyデイリーチャートにおけるモーガン・ウォレンの順位推移
(2月2日火曜~2月4日木曜)
「Wasted On You」 14→14→9位
「Somebody's Problem」 16→19→15位
「Sand In My Boots」 19→17→12位
「More Than My Hometown」 34→40→34位
「7 Summers」 35→39→33位
「Still Goin Down」 60→67→58位
「865」 61→59→41位
「Cover Me Up」 67→65→51位
「Whiskey Glasses」89→76→53位
「Dangerous」 93→86→61位
「Warning」 97→97→75位
「Chasin' You」 123→114→92位
「Livin' The Dream」 141→128→89位
「This Bar」 152→138→95位
「Neon Eyes」 184→199→173位
「More Surprised Than Me」 190→200位未満→188位
考えられるのは、ラジオ局のOA禁止やサブスクプレイリストからの削除により、モーガン・ウォレンの音楽を聴くことができなくなるかもと考えたファンの行動に因るもの。中には、”たかがこんなことで"と業界の対応に反発する動きがあるのかもしれません。次週2月13日付の米ビルボードアルバムチャート(日本時間の2月8日早朝発表予定)は2月4日までが集計対象であり、チャートではストリーミングのアルバム換算分も含まれることから『Dangerous: The Double Album』の4連覇の可能性も考えられ、仮に首位をキープするならばなんという皮肉かと思う自分がいます。また、問題行動を度々起こしながらもお咎めがなかったモーガン・ウォレンをのさばらせてきたのは誰なのかということを同業者のマレン・モリスが語っていますが、Spotifyの順位上昇もまた彼を反省から遠ざけるのではないかと思えてなりません。マレンの発言はこちら。
「これは私たちの界隈を表していると思う。なぜなら、これは彼にとって初めての『揉め事』じゃなかったのに、先月、ストリーミングで記録を打ち立てたでしょ。私たちはみんな、彼がその言葉を使ったのが初めてではないことを知っていた。そういう人たちをリッチにしているのは私たちで、罰則を与えることなく全力で守ってきたの」
とはいえ、アメリカの人種差別への対応は毅然としています。では日本ではどうでしょうか。
今週は元総理の女性蔑視発言が飛び出し、謝罪とはとても言えない"開き直り”会見が行われてしまいました。その他にも女性議員への度重なる虐め的バッシング、 差別を是認する企業の安泰、外国人労働者の不当な扱い…挙げたらキリがないくらいです。元総理側の対応を批判する意味でEUの駐日大使館側が男女平等を掲げる動きがSNSに登場しましたが、この動きは本来、日本内部から反省と自浄の意味を込めて発信されないといけないのではないでしょうか。そもそも元総理は以前から問題発言を連発していたにも関わらず当選し続けているわけで、政治もメディアもそして市井も三位一体で変わらないといけないはずですよね。
#DontBeSilent#GenderEquality#男女平等 pic.twitter.com/wEvAW3DLTP
— 駐日欧州連合代表部🇪🇺 (@EUinJapan) 2021年2月5日
モーガン・ウォレンへの措置については一部に大袈裟だという声が出てくるだろうと思いつつ、しかし絶対に無くさないといけないのは差別である以上、今回の措置は十分必要なことだと考えます。それを"たかがこんなことで"と思う人の心にこそ、差別は絶対に許してはならないことを浸透させないといけません。そして、日本は本当に甘すぎます。