イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり)【海外ビルボード】米はモーガン・ウォレンが7週目の首位、Global Excl. U.S.ではFIFTY FIFTY「Cupid」が初制覇

(※追記(5月24日19時52分):米ビルボードソングチャートトップ10の画像付きツイートを貼付し忘れていたため、貼付を実施しました。失礼いたしました。)

 

 

 

現地時間の5月22日月曜に発表された、最新5月27日付米ビルボードソングチャート(集計期間:5月12~18日)。モーガン・ウォレン「Last Night」が4週連続、通算7週目の首位を獲得しました。

モーガン・ウォレン「Last Night」はストリーミングが前週比4%ダウンの3300万(同指標9週目の首位)、ダウンロードが同6%ダウンの9,000(同指標2位)、ラジオが同5%アップの6330万(同指標5位)を記録しています。

「Last Night」はカントリーエアプレイチャートでも3週目となる首位を獲得し、総合ソングチャートおよびカントリーエアプレイチャートを同時に制した最初の曲となりました。またポップエアプレイ、アダルトポップエアプレイ、およびアダルトコンテンポラリーのすべてでトップ20入りを果たしています。

「Last Night」は総合ソングチャートと同じ計算方法によるホットカントリーソングチャートにて15週目の首位に。双方のチャートを制した20曲目のうち、「Last Night」は総合ソングチャートにおいて最長となる7週目の首位に。ジョニー・ホートン「The Battle Of New Orleans」(1959)およびケニー・ロジャース「Lady」(1980)がこれまで最長となる6週首位を記録していました。

前日発表された米ビルボードアルバムチャート速報にて、「Last Night」を含むモーガン・ウォレンのアルバム『One Thing At A Time』が初登場から11週連続首位となったことが明らかに。これは映画『Titanic (タイタニック)』サウンドトラック(1998)の16週以来となる長期首位記録であり、初登場以来11週以上連続首位獲得となると、ホイットニー・ヒューストン『Whitney (邦題:ホイットニーII ~ すてきなSomebody)』(1987)が11週首位を記録して以来となります。なお1956年に開始した米ビルボードアルバムチャートにおいて、初登場からの最長連続首位獲得作品はスティーヴィー・ワンダー『Songs In The Key Of Life (邦題:キー・オブ・ライフ)』の13週(1976-1977)であり、『One Thing At A Time』は歴代2位タイとなります。

 

リル・ダーク feat. J.コール「All My Life」が2位に初登場。ストリーミング3090万、ダウンロード3,000、ラジオ1080万を記録しています。

双方の歌手にとって、「All My Life」がキャリア最高位タイの作品となりました。リル・ダークはこれまでドレイクにフィーチャーされた「Laugh Now Cry Later」(2020年8月 2位)、および同じくドレイクにギヴィオン共々招かれた「In The Bible」(2021年9月 7位)に続く3曲目のトップ10入りにして、主演作では初となる10位以内エントリー。J.コールは11曲目のトップ10入り(これまでの最高位は21サヴェージおよびモーレイをフィーチャーした「My.Life」(2021年5月 2位))にして、客演でのトップ10入りは初となります。

 

マイリー・サイラス「Flowers」は3位をキープ。総合では通算8週首位を獲得したこの曲はラジオにおいて前週とほぼ変わらぬ9120万を記録し、この指標が1990年12月に開始して以降「Flowers」は歴代7位タイとなる14週目の首位を獲得しています。コロムビア・レコード発の作品としてはマライア・キャリーボーイズIIメン「One Sweet Day」を抜き、アデル「Easy On Me」(15週)に続く形です。

<ラジオ指標 最長首位獲得週数>

26週 ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」(2020)

18週 グー・グー・ドールズ「Iris」(1998)

16週 マルーン5 feat. カーディ・B「Girls Like You」(2018)

16週 マライア・キャリー「We Belong Together」(2005)

16週 ノー・ダウト「Don't Speak」(1996-1997)

15週 アデル「Easy On Me」(2021-2022)

14週 マイリー・サイラス「Flowers」(2023)

14週 パニック・アット・ザ・ディスコ「High Hopes」(2018-2019)

14週 アリシア・キーズ「No One」(2007-2008)

14週 セリーヌ・ディオン「Because You Loved Me」(1996)

 

(YouTubeに公式動画がないため、Spotifyのリンクを掲載。米ビルボードの記事でも同様の対応を行っています。)

ルーク・コムズ「Fast Car」が11→9位となり、初のトップ10入り。ストリーミングは前週比2%ダウンの1950万、ダウンロードは同15%アップの8,000、ラジオは同51%アップの1300万を記録。ルーク・コムズは「Forever After All」(2020年11月 2位)、「The Kind Of Love We Make」(2022年10月 8位)に続く3曲目のトップ10入りを果たしています。

モーガン・ウォレン「Last Night」共々、「Fast Car」はカントリーやポップ/アダルトのジャンルにおけるラジオにてヒット。カントリーエアプレイでは28→21位に上昇しグレイテストゲイナーを獲得、またアダルトポップエアプレイで31→23位、ポップエアプレイでは37→35位に上昇しています。

「Fast Car」はトレイシー・チャップマンが1988年にリリースし、同年8月に米ビルボードソングチャートで最高6位を記録。トレイシーが単独でソングライトを手掛け、同曲で1989年のグラミー賞において最優秀女性ポップボーカルパフォーマンス部門を受賞しています。1980年代のトップ10ヒットを(サンプリング等ではなく)カバーした曲がトップ10入りを果たしたのは、USAフォー・アフリカWe Are The World」(1985 4週1位)のカバーとなるアーティスツ・フォー・ハイチ「We Are The World 25: For Haiti」(2010 2位)以来となります。なお、1980年代トップ10ヒットをカバーしたバージョンもトップ10入りしたという記録については、別途記事が用意されています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) モーガン・ウォレン「Last Night」

2位 (初登場) リル・ダーク feat. J.コール「All My Life」

3位 (3位) マイリー・サイラス「Flowers」

4位 (2位) シザ「Kill Bill

5位 (4位) エスラボン・アーマード & ペソ・プルマ「Ella Baila Sola

6位 (5位) レマ & セレーナ・ゴメス「Calm Down」

7位 (6位) メトロ・ブーミン、ザ・ウィークエンド & 21サヴェージ「Creepin'」

8位 (8位) トゥーシー「Favorite Song」

9位 (11位) ルーク・コムズ「Fast Car」

10位 (10位) テイラー・スウィフトAnti-Hero

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。5月27日付ではGlobal 200にてエスラボン・アーマード & ペソ・プルマ「Ella Baila Sola」が2週連続で首位に。そしてGlobal 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.ではFIFTY FIFTY「Cupid」が初の首位を獲得しました。

(今回の記事はGlobal Excl. U.S.が先に紹介される形となり、FIFTY FIFTY「Cupid」についてより大きく取り上げていることが解ります。記事に準じて、このエントリーでもGlobal Excl. U.S.の動向を先に紹介します。)

FIFTY FIFTY「Cupid」はGlobal Excl. U.S.において2→1位に。ストリーミングが前週比2%ダウンの6510万、ダウンロードが同9%ダウンの2,000を記録しています。K-POPグループによる同チャート制覇はBTS(6曲)、BLACKPINK(3曲)に続く3組目となり、またどのジャンルのどの女性(のみの)グループに限らず、同チャートで初めてランクインした曲が首位を獲得したのは、2020年9月にローンチして以降「Cupid」が初となります。

なおGlobal 200においても「Cupid」は3→2位となり、最高位を更新。ストリーミングは前週比3%ダウンの8170万、ダウンロードは同15%ダウンの4,000を記録しています。

「Cupid」の成功にはオリジナルの韓国語バージョンのほか、英語版(Twin Ver.)およびインストゥルメンタルバージョンの存在が大きく、またTikTokがこの曲の上昇を支える重要な要素となっています。

FIFTY FIFTYはアトラクトに所属し、2022年11月18日に4曲入りEP『The Fifty』でデビュー(および収録曲の「Higher」をシングル化)。今年4月、FIFTY FIFTYはワーナーミュージックとの提携を発表しています。

Global Excl. U.S.ではロリーン「Tattoo」が146→7位に急上昇。5月13日にスウェーデンで開催されたユーロヴィジョン・ソング・コンテストで優勝した「Tattoo」は、ストリーミングが前週比247%アップの3070万、ダウンロードが同756%アップの12,000を記録し、ロリーンはキャリア初となる同チャートトップ10入りを果たしています。

ロリーンはユーロヴィジョン・ソング・コンテストで二度の優勝を果たした最初の女性歌手に(「Euphoria」で2012年に初優勝)。またスウェーデンは優勝回数が7となり、アイルランドに並ぶ最多回数となりました。ストックホルム出身のロリーンは、「今私が感じているのは、たくさんの愛だけ。こんなことが起こるとは夢にも思っていませんでした」と語っています。

 

Global Excl. U.S.に米の分を加えたGlobal 200では、エスラボン・アーマード & ペソ・プルマ「Ella Baila Sola」が通算3週目の首位を獲得。ストリーミングは前週比3%ダウンの9050万、ダウンロードは同21%ダウンの2,000を記録しています。このチャートにおいて同曲は、メキシコの作品として初の首位を獲得しています。

 

米ソングチャートで2位初登場を果たしたリル・ダーク feat. J.コール「All My Life」はGlobal 200で7位発進。ストリーミング4880万、ダウンロード1,000を記録しています。リル・ダークはこれまでドレイクにフィーチャーされた「Laugh Now Cry Later」(2020 5位)、および同じくドレイクにギヴィオン共々招かれた「In The Bible」(2021 9位)に続く3曲目のトップ10入りにして、主演作では初の10位以内エントリーに。J.コールは5曲目のトップ10入りにして、客演では初となります。