一昨日放送の『NHK紅白歌合戦』については高評価を挙げる声が多く聞こえてきます。Yahoo! JAPANトップページでもそのようなニュースが多く登場しており、仮に視聴率が高くなかったとしても今回の内容は今年以降に活かされてほしいと強く思っています。
紅白振り返り記事の中で、今朝ポータルサイトトップ画面のニュース欄に登場したのが、音楽ジャーナリストの柴那典さんによる寄稿。
後半では、2番の展開が「アイデア」(2018)を彷彿とさせる星野源「うちで踊ろう (大晦日)」の歌詞の意味を紐解いています。星野源さんのスタンスはソロデビューアルバム巻頭曲から一貫しているのですね。たとえば『MIU404』や『逃げるは恥だが役に立つ』(共にTBS)、そして後者主題歌の「恋」(2016)において、星野源さんは常に多様な価値観の肯定や尊重を提示しているように思いますし、それは同時に何かしらを否定しているわけではないよなあというのが私見です。
さて、柴那典さんの指摘で特に注目すべきなのが、『NHKプラスでの見逃し配信やYouTubeのNHK公式チャンネルでの動画公開など、インターネットへの積極的な展開も今回の『紅白』からの特筆すべき取り組み』という点(『』内は、上記ツイート内リンク先の記事より)。
#星野源「#うちで踊ろう」については特に必読と言える内容。
— Kei (@Kei_radio) 2021年1月1日
そして注目は、ティーザーであれどNHK側がYouTubeにて昨日の場面をアップしていること。これは自分が #日本の音楽業界への要望 で挙げた【テレビパフォーマンス映像のYouTube配信を徹底してほしい】の第一歩だなと https://t.co/iDIJK3YjBZ https://t.co/LRWJi8tPhW
(上記キャプチャは『NHK紅白歌合戦』の動画アップロードを紹介するために掲載したものです。問題があれば削除いたします。)
全歌手分の映像はなく(しかしながら芸能事務所の区別なく掲載)、またティーザーのみでありNHKプラスへの誘導をメインとしているだろう動画ではありますが、このような形で即座にYouTubeへアップするNHKの行動(YouTubeへのアップロード時刻は不明ながら、本番中にも披露されたばかりのパフォーマンスをTwitterアカウントにアップしていたことを含む)は見事であり、且つ自分が日本の音楽業界への要望として掲げる点に光が射したことにおいても嬉しく思っています。
それにしても、1月2日8時30分の段階で最も再生回数が多いのがYOASOBI「夜に駆ける」であり、200万再生を突破したという状況に彼らの人気の凄さを思い知らされます。
柴那典さんの記事が掲載された昨夜、NHK総合で放送された『あたらしいテレビ』もまた興味深い内容でした。
【心を動かされた映像コンテンツ】
— NHK広報局 (@NHK_PR) 2021年1月1日
そんな話を #あたらしいテレビ 今夜です。
昨年、何を見ましたか?
で、ちょっと皆様に「2020年面白かったコンテンツ」を…もちろんNHK以外でも、聞かせてください。ちなみに去年は共演がNGなアレが…だから #他局
今夜 10:00[総合]https://t.co/pOyG5F8fTS
『新春テレビ放談』に代わり生まれた番組。パネリスト5名が2020年の良質なメディア作品トップ10を挙げる中、前身番組から出演し、且つ問題提起を積極的に進めてきたヒャダインさんがワイドショーの自死報道を”怒り”として8位に挙げていること、そしてそこで交わされた議論は特に意味のあるものでした。
リアリティーショーについての話もありましたけど、出ている側の負担がすごく大きくて傷つく、というのは、われわれ外側にいる人間にはなかなか気づけないこと。SNS上で交わされるみなさんのことばは凶器になってナイフになって、その人を刺していっている可能性があるので、それを考えて動くべきだと思いました。自分がそうなっていないか、自分の中に「第三者委員会」を設けて自分が自分に気をつけてモノづくりしていかないと、どんどん人が傷ついていってしまう。昔の価値観や押し付けがあぶり出される時代になっていることを前提にしたモノづくりをしていかないといけない、と皆さんおっしゃっていたので、僕も「常にアップデートしていく」というのが2021年の課題だなと思いました。
・それでもテレビが好きだから。 あたらしいテレビ2021 |NHK_PR|NHKオンラインにおける、収録後のヒャダインさんの感想より
昔ながらの価値観を問い質しブラッシュアップすることこそ、上層部や現場で制作する人、そして市井の我々そのすべてに求められることではないでしょうか。自己保身を捨てること、都合のいい自己責任論(それこそが自己保身の象徴たるものですが)を押し付けないことが何より重要であるとあらためて感じた次第です。
見逃し配信もあります。この番組こそ多くの方に観ていただき、そして価値観のズレを補正する習慣を身につけること、自己の中に客観視する自分を設けること、問題を指摘する行動力を手にすること、これら生まれることを切に願うばかりです。
年末年始、NHKの意思の素晴らしさを感じる2作品でした。