イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

サブスク等を機にチャート急上昇中、優里「ドライフラワー」は次なるブレイク筆頭候補に

一昨日発表された11月23日付ビルボードジャパンソングスチャートで、平井大「Stand by me, Stand by you.」が初のトップ10入りを果たしました。ポイントは前週から1.6%の微増ではありますが、7週連続の上昇。今週日曜に次なるブレイクは確実? 平井大「Stand by me, Stand by you.」に注目というエントリーを書きましたが、平井大さんの今後のメディア露出がこの曲を軸に展開すれば、さらなるヒットが予想されます。

 

そしてこの「Stand by me, Stand by you.」に続くブレイクとなりそうなのが、優里「ドライフラワー」。

2週前に93位へ初登場を果たすと、39→16位と上昇。今週のポイント前週比は80%の特大アップとなり、ストリーミング(9位)および動画再生(18位)という接触指標群が牽引しています。このストリーミングの上昇については、ビルボードジャパンが同指標のチャート記事にて取り上げています。

前週35位から当週9位にジャンプアップしたのは、優里の最新曲「ドライフラワー」。10月25日に配信された同曲は、当週41位で26週連続チャートインを果たした自身の楽曲「かくれんぼ」の“アフターストーリー”を描いた新曲で、チャートイン3週目をマークし、前週比185%となる4,428,680回再生を記録した。

ストリーミングで驚異的な伸びをみせる「ドライフラワー」。TikTok発のヒットはYouTube共々、サブスクサービスの中でも若年層の支持を集めるLINE MUSICにまずは飛び火しますが、一方でヒットの動きがLINE MUSICに比べて保守的といえるSpotifyでも、今週に入り驚きの動きをみせています。

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ドライフラワー」は11月1日に200位以内へ初登場を果たすと、11月16日月曜には初の10万台に突入、さらに翌日は前日から3万近く伸ばしています。日曜から月曜にかけては再生回数がダウンすることが通常であるため、この急上昇は特筆すべきものがあります。サブスク全体でヒットの気流に乗ったであろうことが、このSpotifyの動きから解るかもしれません。

 

さて、ビルボードジャパンの記事で登場した「かくれんぼ」は昨年12月にインディよりリリースされた初の配信シングルで、TikTok等で評判となった曲。こちらも主にストリーミングが上昇し、ビルボードジャパンソングスチャートでも長期エントリーを果たしています。

この曲が評判を呼び、優里さんはYouTubeの人気チャンネル”THE FIRST TAKE”に登場。7月に「かくれんぼ」を(コロナ禍の状況下に伴う”THE HOME TAKE”として)、そして先月末に「ドライフラワー」を披露しました。

THE FIRST TAKEはおそらくソニーミュージックによる運営ゆえ、8月にソニー・ミュージックレーベルズよりメジャーデビューを果たした優里さんが同チャンネルに出演したものと考えます。とはいえメジャーデビュー曲となる「ピーターパン」ではなく「ドライフラワー」を披露したところに、売り出しの巧さを感じる自分がいます。

 

今年は瑛人「香水」やYOASOBI「夜に駆ける」等、メジャーレーベルに頼らない曲がTikTok等を発として大ヒットを遂げました(尤もYOASOBIはソニーミュージックのバックアップがありましたが)。その後もこれらの曲に続けとばかりに様々なスマッシュヒットが生まれていますが、それらが「香水」や「夜に駆ける」ほどの大ヒットに至れなかったのはラジオエアプレイの強くなさが原因のひとつとして挙げられます。TuneCore JapanやBIG UP!等の配信代行サービスが台頭していますが、おそらくこれらサービスにはラジオ局への働きかけが入っていないことが、広く世間へ認知させることに繋がらず社会的なヒットにまで至れないのではというのが自分の見方です。一方では、ラジオ局や番組の流行へのアンテナ(感度)にも疑問を抱くのですが。

その点において、優里「ドライフラワー」は一歩抜け出しそうな気配があります。

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チャート推移(CHART insight)でここ3週、ラジオエアプレイ(緑の線で表示)が100位未満ながら300位以内に入り加点対象に。未だ高い状況とは言えませんがしかし、少しずつメディアでの足がかりをつかんでいると言えるでしょう。おそらくはヒットした「かくれんぼ」のアフターストーリーという曲の位置付けがメディアでより紹介されやすい状況にあるとも言えますし、無論メジャーレーベルのラジオ対策もあるはずです。

 

 

16日には、「ドライフラワー」の双方の動画が300万再生を突破したことを優里さんがアナウンスしています。

メジャーデビューしたことでメディア露出が増え、且つメディア展開が巧くなることで、「ドライフラワー」は一歩抜きん出る存在となるかもしれません。その動向に注目です。