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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパンソングスチャート首位獲得一覧から見える、LiSA「炎」の凄さ

最新11月9日付ビルボードジャパンソングスチャートにおけるLiSA「炎」の勢いについて、首位獲得曲の一覧表を作成した上でその凄さを紹介しました。

今回はその表をアレンジした上で、この4年の首位獲得曲を年度別にまとめたものを掲載。2017年度以降としたのは、2016年度以前はシングルCDセールスに係数が用いられずそのまま反映されていたためです。

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この表を作成した目的は、LiSA「炎」が構成指標群すべてでトップ10入りを果たしたことを可視化するためでしたが、この快挙達成は2018年9月3日付の星野源「アイデア」以来と解ります(なお「アイデア」はシングルCD未リリースにつきCDセールスおよびルックアップは加算対象外、また当時はカラオケ指標が加算開始前でしたので5指標トップ10入りという形)。その他、星野源「恋」(2016年12月26日付~2017年1月16日付の4週)、同「ドラえもん」(2018年3月12日付)、三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE「HAPPY」(2017年3月20日付)、乃木坂46インフルエンサー」(2017年4月3日付)、欅坂46「二人セゾン」(2016年12月12日付)、同「不協和音」(2017年4月17日付)、同「風に吹かれても」(2017年11月6日付)が構成指標群すべてでトップ10入りを達成していますが、「アイデア」から「炎」までは2年のブランクがあったということになります。

 

(ちなみに星野源さんの楽曲は2019年8月30日に定額制音楽配信サービスにて解禁。現在のストリーミング指標はサブスクの再生回数やYouTubeのオーディオストリーミングによる再生回数に基づきますが、以前は歌詞表示サービス「プチリリ」による歌詞表示回数から推定するストリーミング数が主流であり、サブスク未解禁曲もカウントされていました。一方で同じく大ヒット曲である米津玄師「Lemon」が全指標同時に10位以内を達成できなかったのは、ストリーミング指標におけるプチリリのウェイトが下がっていたゆえと推測されます。)

 

表の色付けからも見えてくるものがあります。シングルCDセールスが30万を超えた作品の大半が週間3万ポイント超えを達成しておりCDセールスの強さは首位獲得の大きな武器にはなりますが、それらの作品で翌週のポイント前週比が5割を超えたものはありません。一方、シングルCDセールスが30万未満ながら週間3万ポイント超えを果たした曲のうち、翌週のポイント前週比が5割を超えたものは星野源「恋」(2017年1月2日付~1月9日付の2週)、およびLiSA「炎」(2020年10月26日付~11月2日付の2週)のみであり、「炎」が仮に11月16日付ビルボードジャパンソングスチャート(11月11日発表)で16410ポイント以上を獲得し且つ首位をキープしたならば、2017年度以降で史上初となる”シングルCDセールスが30万未満ながら週間3万ポイント超えを果たした曲のうち、翌週のポイント前週比が5割を超えたのが3週以上”という記録を達成することになります。

 

全指標同時トップ10入りのみならず、上記のポイント面における記録においても、LiSA「炎」が如何に凄い記録を築き上げているかがよく解ります。そして特大ヒット曲の基準がこの表から如実に浮かび上がってきます。これは同時に、シングルCDセールス初加算週にポイントを稼ぎながらも翌週残念ながら失速してしまう多くの作品にとって、何かしらのヒントになるのではないでしょうか。