東京のラジオ局、InterFM897が変わったとの声が多く上がっています。その大半は、経営体制の変更がタイムテーブルに反映されて以降の失望の声です。
上記発表から2ヶ月後の11月1日、InterFM897は大きな改編を実施。ラジオ業界の改編は基本的には10月ですが、おそらくは10月に間に合わなかったと思われます。10月のタイムテーブルはこちら。
そして11月はこちら。
(比較目的で用いさせていただきました。問題があれば削除いたします。)
大きな変更は、InterFM897が全国FM放送協議会(以下JFN)に加盟したことで、全国の加盟局に番組を供給する番組制作会社ジャパンエフエムネットワークからの供給を受け入れた点。特に平日(月-木曜)は『Seasoning -season your life with music-』(13時30分)、『Happy Hour Party!』(16時)といった生放送の帯番組を用意し、また録音番組も複数登場しています。
ですが、特にその平日帯の生放送を主体に、これまでのInterFM897のカラーではない、音楽がかからない、内容が酷い等の声が、[InterFM 改編]で検索すると散見されます。長年InterFM897の顔となっていたジョージ・ウィリアムズさんが10月をもって離れたことも、喪失感や失望感を増す要因ではないかというのが自分の見方です。
George's Melting Potの最終回お聴きいただいたみなさん
— George's Melting Pot (@gmp_interfm) 2020年10月30日
ありがとうございました!!
今後は、ジョージさん個人のtwitter @kungfugeorge
をフォロー&チェックお願いします😎#ジョージ897 #interfm897 #radiko https://t.co/ADxSpb7YDe pic.twitter.com/PdGbjxjttG
真夜中のThe Clash、良かったですね。
— George's Melting Pot (@gmp_interfm) 2020年10月30日
聴いてくれたみなさん、ありがとうございました!
ジョージさんがインターを去って喪失感がハンパない。
これほど音楽的に刺激しあって楽しく番組を作れたのは彼のおかげ。本当感謝しています。
また一緒に番組できるように前進していきます。山本D#ジョージ897
あくまで私見と強く前置きして書くのですが、InterFM897のスタッフには同局がJFNカラーに染まることに強く抵抗しているのではと思うのです。通常多くの局でみられる改編アナウンスがホームページ上で見られなかったのはその表れではないかと考えます(単に自分が見つけられなかっただけかもしれませんが)。
JFN加盟の利点を挙げるとすれば、TOKYO FMでは流していない人気番組を、首都圏在住者でもあっても聴くことができる点でしょう。radikoはあっても有料会員でなければ聴けなかった番組を確認でき、通信のみならず電波でも享受できるのですから、この点は好いと思われます。
他方、今月から供給された番組制作会社ジャパンエフエムネットワークによる番組が、InterFM897のカラーにそぐわないのではという疑念が残ります。特に違和感を覚えるリアクションが多いと思しき『Happy Hour Party!』は、TOKYO FM/JFNの人気番組『NISSAN あ、安部礼司〜BEYOND THE AVERAGE』(日曜17時)に出演していた杉崎真宏さんがDJを担当しており、よりTOKYO FM寄りの(もしくはTOKYO FMに慣れ親しむ方ほど好みそうな)内容。これならば『The Dave Fromm Show』の枠を1時間削るべきではなかったのではないかと考えます。
(ちなみに、金曜午後を番組制作会社ジャパンエフエムネットワークからの供給にしなかったことには、先にも申し上げたInterFM897サイドの意地だと感じる自分がいます。自分の住む街の地元放送局ではその番組も、また『Happy Hour Party!』も人気番組と紹介され公開放送も行われていますが、特に金曜午後帯はそぐわなかったであろうのが私見です。)
さて、今年6月に県域放送局が2局閉局、停波するという事態が発生し、”ラジオ局は消えることがある”という事実を目の当たりにした以上、どうやって利益を出していくかは今まで以上の課題となっています。
無論営業面の強化(利益の創出)も重要ですが、放送内容を充実させスポンサーを獲得することも大事ではないでしょうか。この営業面の強化と放送内容の充実は放送局を伸ばす両輪であり、どちらが欠けてもダメだと思うのです。が、InterFM897の新たなタイムテーブルや寄せられる不信の声の多さをみるに後者が前者を逼迫させますます厳しくなる可能性、そしてテコ入れの度にどんどんInterFM897らしさが薄れるのではと危惧する自分がいます。
冒頭で紹介した記事には、このような記載があります。
今後は、ジャパンエフエムネットワークが長年にわたり培ってきた番組制作力、営業企画力を最大限に活用し、平時には、ダイバーシティ社会の到来を踏まえた様々なジャンルのエンタテインメントや趣味の世界等、それぞれのファン層に向けた多様な番組やイベントを編成、実施するとともに、月間100万人に迫るユニークユーザーがいる音声コンテンツアプリ「AuDee(オーディー)」と完全連動していくほか、有事には、ファーストインフォーマーとして情報を的確に発信できるよう、InterFM897を支援していく。
・InterFM897、全株式をジャパンエフエムネットワークが取得 新経営体制を発表 | Musicman(9月1日付)より
有事の際の対応に関して、『InterFM897は、1995年の阪神大震災を機に、有事の際に在日外国人に向けた外国語による放送を行うことを付帯条件とした周波数が割り当てられ、1996年4月に「InterFM」として開局した』という経緯がある以上尚の事、在日外国人への対応は必要なのですが、InterFM897カラーが失われる状況下で有事の際の対応がきちんと出来るのか、気に病む自分がいます(『』内はジャパンエフエムネットワークがInterFM897の発行済み全株式を取得 | 日経クロステック(xTECH)(9月2日付)より)。
そして記事では『ジャパンエフエムネットワークが長年にわたり培ってきた番組制作力、営業企画力を最大限に活用』とあり、InterFM897が培ってきたノウハウやカラーよりもJFNらしさを優先する姿勢が見て取れます。ですが、それら番組制作会社ジャパンエフエムネットワークの番組内容がInterFM897とことごとくそぐわないのであれば、そして在日外国人が大都市圏に限らず地方にも多く住んでいる現状を踏まえれば、番組制作会社ジャパンエフエムネットワーク、そしてJFN自体がInterFM897から学び、番組制作に活かすことも必要ではと思うのです。ダイバーシティ社会を謳うならば、またInterFM897以外のJFN加盟局がダイバーシティを意識し今まで以上に洋楽に力を入れる編成を行いたいと考えるならば、むしろInterFM897のノウハウこそ役立つはずです。
InterFM897カラーを反映させた番組がJFN加盟局で流れることは、とりわけ地方局のリスナーに洋楽の好さを知らしめることにつなげられるでしょうし、弊ブログで紹介している米ビルボードソングスチャートやグローバルチャートへの意識が芽生えることにもつながるかもしれません。すなわち、音楽知識や体験をより豊かにできるという意味でも、個人的にはJFNサイドに検討をお願いしたいと考えています。