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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

LiSA「炎」は首位獲得が確実に…チャートアクション最大化に繋げる施策をまとめる

明後日発表される10月26日付ビルボードジャパンソングスチャートは、LiSA「炎」の首位獲得が確実と言えます。

「炎」は、16日金曜に公開された映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の主題歌であり、公開館やスクリーン数の多さ、各映画館の公開スケジュールの凄まじさ、観客の熱狂そして評判の高さが相俟って、興行収入はとんでもないものになると予想されます。

たとえばダウンロードにおいて水曜までの速報値をみると、「炎」は2位のback number「エメラルド」の4倍近い売上を記録し独走状態となっています。

映画の大ヒット、各指標の速報値を踏まえれば「炎」が首位を獲得するのは自然なこと…そう言ってしまうのは簡単です。しかしLiSAさんサイドはここに至るまでにかなりの数の仕掛けを行っているのです。

そこで、10月26日付チャートの集計期間である10月12~18日におけるLiSAさんのスケジュール、メディア露出等について取り上げてみましょう。

・LiSA 「炎」に関する主なスケジュール

10月12日(月曜)

 ・「炎」ダウンロードおよびサブスク解禁

 ・iTunes Storeにてプリオーダーキャンペーン実施

 ・TOKYO FM『Skyrocket Company』、TOKYO FM/JFNSCHOOL OF LOCK!』出演

 ・焚き火映像を公式YouTube映像にてライブ配信

 

10月13日(火曜)

 ・ミュージックビデオ フルバージョンにて公開

 ・「炎」ミュージックビデオ 100万回再生突破

 ・シングルCD「炎」およびアルバムCD『LEO-NiNE』店着(フラゲ日)

 ・『LEO-NiNE』収録曲「cancellation」が『百鬼異聞録~妖怪カードバトル〜』コンセプトソングに決定

 ・LiSA2020ver. × Tカード コラボカード発行受付開始

 ・フジテレビ『めざましテレビ』、テレビ朝日スーパーJチャンネル』出演

 ・J-WAVE『STEP ONE』、NACK5『Nutty Radio Show THE魂』出演

 ・ロッキング・オン レビュー掲載

 ・ダ・ヴィンチニュース インタビュー掲載

 ・DAM CHANNELプレゼントキャンペーン実施

 

10月14日(水曜)

 ・シングル「炎」およびアルバム『LEO-NiNE』デジタル解禁

 ・「炎」ミュージックビデオ 200万回再生突破

 ・『LEO-NiNE』制作クリエイターからのコメント紹介企画開始

 ・TBS『あさチャン!』『Nスタ』出演

 ・ミュージック・ジャパンTVにてミュージックビデオ特集

 ・NHK総合『SONGS』10月24日放送回出演アナウンス

 ・オリコン特集記事公開

 ・オリコン 10月13日デイリーランキングでシングル・アルバム共に首位

 ・Amazon Echoシリーズ・アレクサとのキャンペーン実施 

 

10月15日(木曜)

 ・YouTubeチャンネル ”THE FIRST TAKE” 「炎」パフォーマンス予告

 ・フジテレビ『ノンストップ!』出演

 ・アニメイトタイムズ インタビュー公開

 ・Yahoo!ニュース インタビュー公開

 ・スポーツ報知 インタビュー公開

 ・LINEスタンプ発売

 

10月16日(金曜)

 ・THE FIRST TAKE解禁

 ・「炎」ミュージックビデオ 500万回再生突破

 ・公式YouTubeチャンネル登録者数 130万突破

 ・テレビ朝日ミュージックステーション』、日本テレビバズリズム02』にて「炎」パフォーマンス

 ・自身のラジオ番組 TOKYO FM/JFN『LiSA LOCKS!』放送

 ・フジテレビ『とくダネ!』出演

  ・ファンクラブ会員向けCDジャケット映像公開

 

10月17日(土曜)

 ・映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』公開記念舞台挨拶登壇

 ・フジテレビ『MUSIC FAIR』出演

 
 
 
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MUSIC FAIR様にて、私LiSAは劇場版「#鬼滅の刃」無限列車編の主題歌「炎」と、直太朗様と「愛し君へ」をコラボレーションさせていただきました。緊張を胸に待っていると、直太朗さまが「迷いそうになったら武部さんを頼りについていくといいよ。」と優しくお声がけくださって安心してついて行かせてもらいました。かみさま😭 ありがとうございました☻ #MUSICFAIR #お母さんから直太朗様との映像見たよって動画が送られてきたけどずっと一緒に歌ってて勝手に三人デュエット叶えてた

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 ・TBS『CDTVサタデー』出演

 ・FM802『802 Palette』出演

 ・ビルボードジャパン 特集掲載

 ・読売新聞朝刊 特集掲載

 ・「炎」ミュージックビデオ 700万回再生突破

 

10月18日(日曜)

 ・TOKYO FM/JFN『Monthly Artist File-THE VOICE-』出演

 ・『レインボーシックス Japan Championship 2020』大会にてテーマソング「play the world! feat. PABLO」パフォーマンス

主なものだけでもこれだけあるのですが、その他にもレギュラー番組の放送や地方局へのコメント出演、各CDショップでの展開等が行われています。

さらにはこの期間、LiSAさんのInstagramでもおよそ50もの更新が行われています。この期間に限らず同程度の更新数を常に行っているのかもしれませんが、しかし徹底した取組であり「炎」および『LEO-NiNE』のリリース訴求になっていることは間違いありません。

 

メディア露出やSNS徹底もさることながら、注目はミュージックビデオ再生回数が100万、200万、500万…と一定回数を超えたところできちんとアナウンスしていること。歌手側の感謝の意を伝えてファンと喜びを共有するとともに、YouTubeおよび各配信先のリンクを掲載することでライト層の新たな接触に結びつけることができています。このエンゲージメントの確立は今年の代表的なSNSでの取組と言えます。 

 

 

 

作品のリリーススケジュールの巧さについてもあらためて確認しましょう。「炎」については、集計期間初日にダウンロードおよびサブスクにて解禁したことでビルボードジャパンソングスチャートで首位を狙えるものとして、解禁日に取り上げました。

ミュージックビデオについても最良のタイミングで投入するだろうものの「紅蓮華」のように解禁してもショートバージョンではないかという懸念を抱いていたことは上記ブログエントリーで述べた通り。しかし、火曜に公開されたミュージックビデオはフルバージョンであり、CD売上の速報も踏まえれば「炎」の首位獲得は確実だということをこの段階で確信しました。

「炎」ミュージックビデオは、このブログエントリーを執筆している10月19日7時40分の段階で再生回数が870万を突破。ビルボードジャパンソングスチャートの動画再生指標では昨日までに日本で再生された分が加算対象となりますが、大きな数字を獲得することは間違いないでしょう。

さらには「紅蓮華」をより大きなヒットに結びつけた一発録りYouTubeチャンネル”THE FIRST TAKE”でも「炎」が披露されています。同チャンネルはほぼ間違いなくソニーミュージックの運営であると以前記載しましたが、ソニーミュージック側が「炎」の初週の勢いをさらに伸ばすべく、このタイミングで投入したことは確実と言えるでしょう。

この勢いは、サブスクサービスの中でもLINE MUSICやApple Musicより保守的と言えるSpotifyにおいても表れています。

日曜分は本日夜に発表予定ですが、20万台に伸ばしてくる可能性があります。また10月16日金曜は『Mステ』『バズリズム』および”THE FIRST TAKE”効果もあり、前日から4万以上再生回数を伸ばしています。映画の公開のみならず、このような露出量、そのタイミングが確実に影響していると言えるでしょう。

 

 

「炎」においてはCDセールスおよびそのルックアップ、ダウンロード、サブスク再生回数に基づくストリーミング、さらに動画再生といった各指標が十分加点される一方、レンタル解禁がアルバムと同じく10月31日となることから10月26日付ビルボードジャパンソングスチャートにおいてレンタルに伴うルックアップの加点はありません。しかし「炎」はCDセールスと同発のデジタル指標の高さによりビルボードジャパンソングスチャートで首位を獲得し、そのポイント数は同程度のCDセールスを獲得した作品群を遥かに上回ることでしょう。結果発表は明後日午後であり「炎」の首位獲得は断言できないものの、「炎」におけるCDとデジタルの同週解禁策が今後の音楽業界における最善のマニュアルになっていくはず。『鬼滅の刃』という大型タイアップが付いていない曲であったとしても、この施策から学べることは沢山あるのです。