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テイラー・スウィフト、史上初となるアルバム/ソングスチャートを制覇…8月8日付米ビルボードソングスチャートをチェック

ビルボードのソングスチャートをチェック。現地時間の8月3日月曜に発表された8月8日付最新ソングスチャート、テイラー・スウィフト「Cardigan」が初登場で首位を獲得し、史上初となるソングス/アルバム両チャートでの初登場首位を成し遂げました。

前週まで通算7週1位を獲得したダベイビー feat. ロディ・リッチ「Rockstar」はストリーミングが前週比9%ダウンの3290万(同指標3位)、ダウンロードが同6%ダウンの10000(同指標7位)、ラジオエアプレイが同10%アップの6790万(同指標2位)。一方でテイラー・スウィフト「Cardigan」はストリーミングが3400万、ダウンロードが71000と2指標を制しています。ラジオエアプレイは1270万となり同指標50位以内に入らなかったのですが、「Cardigan」は「Rockstar」とのラジオエアプレイでの差をダウンロードで逆転したと言えます。これにはいわゆるフィジカル施策が有効に作用し、また別バージョンも設けて合算するという戦略も集計期間内に行われています。これら施策が有効に作用し、女性歌手によるソロの作品としてはマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」が2020年1月4日付まで3週間首位を獲得して以来となる頂点に上り詰めたのです。

ゆえに、次週はダウンロードが急落する一方でストリーミングが安定且つラジオエアプレイが上昇しなければ「Cardigan」の2連覇は難しいというのが私見ですが、しかしながら今回の首位獲得によりテイラー・スウィフトは大きな記録をいくつも打ち立てています。

まずは冒頭でも触れたように、アルバム『Folklore』および収録曲の「Cardigan」が8月8日付米ビルボードアルバム/ソングスチャートを共に初登場で制覇。初登場の同時制覇は史上初となります。ソングスチャートは1958年8月4日付、アルバムチャートは1956年3月24日付にスタートしており、60年以上の歴史の中で初となるわけです。この報道に触れたテイラー・スウィフトはこのようなリアクションを示しています。

「Cardigan」は史上41曲目となる初登場での首位獲得となりました。テイラー・スウィフトにとっては「Shake It Off」(2014年9月6日付)以来2曲目となり、初登場首位に輝いた曲を複数持つ歌手はこれで8組目。アリアナ・グランデの4曲を筆頭に、ジャスティン・ビーバーマライア・キャリーおよびドレイクが3曲、レディー・ガガ、トラヴィス・スコット、ブリトニー・スピアーズが2曲となり、テイラーはここに並んだわけです。また2020年の初登場首位獲得曲は「Cardigan」は6曲目となり、1年での6曲という記録は史上最多となります。

6曲といえば、「Cardigan」はテイラー・スウィフトにとって6曲目の首位獲得曲となりました。「We Are Never Ever Getting Back Together」(2012 3週)、「Shake It Off」(2014 4週)、「Blank Space」(2014 7週)、「Bad Blood (feat. ケンドリック・ラマー)」(2015 1週)、「Look What You Made Me Do」(2017 3週)に次ぐ記録で、6曲以上の首位獲得者はテイラーが26組目となります。

さらには今週、『Folklore』から「The 1」が4位に初登場したことで、トップ5に2曲を同時に初登場させたのはリル・ウェイン(2018年10月13日付)、ジュース・ワールド(2020年7月25日付)に継いで2組目となり、女性歌手では初となりました。リル・ウェイン、ジュース・ワールドは共に2位と5位での初登場であり、4位以内に2曲初登場というのは初めてです。

テイラー・スウィフトは『Folklore』から、ボン・イヴェールとの「Exile」を6位に送り込みました。トップ10に3曲以上同時に初登場させたのはテイラーにとって初めてであり、ドレイク(2018年7月14日付)、リル・ウェイン(2018年10月13日付)、ジュース・ワールド(2020年7月25日付)、J・コール(2018年5月5日付)、リル・ウージー・ヴァート(2020年3月21日付)に次ぐ6組目となります。なお、6位以内に3曲初登場というのはこちらもテイラーが史上初です。なお、ボン・イヴェールは「Exile」で初のトップ10入りを果たしています。

今回トップ10に3曲を送り込んだことで、テイラー・スウィフトのトップ10獲得曲数は28曲となり、マライア・キャリーおよびスティーヴィー・ワンダーと並び史上6位タイとなりました。上位にはドレイク(40曲)、マドンナ(38曲)、ザ・ビートルズ(34曲)、リアーナ(31曲)、マイケル・ジャクソン(30曲)が控えていますが、30曲超えは間もないかもしれません。また初登場でトップ10入りを果たしたのは18曲となり、ドレイクの25曲に次いで史上2位となります。

アルバム『Folklore』からは、フィジカルのみに収録された曲を除く16曲全てが100位以内に登場しました(最も低い順位は「Hoax」の71位)。

前作『Lover』(2019)も収録された18曲全てが2019年9月7日付でソングスチャート100位以内に登場しています。これによりテイラー・スウィフトのソングスチャート(Hot 100)エントリーは113曲となり、女性歌手ではニッキー・ミナージュ(110曲)を抜いて史上最多、且つ全体では単独4位に浮上しました。ドレイクの224曲が最多となり、グリー・キャスト(207曲)、リル・ウェイン(169曲)と続きます。

 

2位以下をみると、5位のザ・ウィークエンド「Blinding Lights」はラジオエアプレイで17週連続の首位となり、それも前週比2%アップの7620万を獲得しています。1990年12月からスタートしたラジオエアプレイチャートでは最長首位記録がグー・グー・ドールズ「Iris」(1998)の18週であり、「Blinding Lights」はあと1週に迫っています。

テイラー・スウィフト以外で初のトップ10入りとなったのはジョーシュ・シックスエイトファイヴとジェイソン・デルーロによる「Savage Love (Laxed - Siren Beat)」。アメリカでは大統領がTikTokを米国で禁止する流れとなっており、様々なヒット曲を生んだTikTokを禁止することは文化への冒涜でしかないと個人的には思うのですがそれはさておき、TikTokで人気だったジョーシュ・シックスエイトファイヴのインストゥルメンタル曲「Laxed (Siren Beat)」を、そのTikTokで人気を集めているジェイソン・デルーロが歌を付けてカバーしたのがこの曲。ただしそこにはちょっとした問題があった…という件については以前ブログで記載しています。

ストリーミングは前週比1%アップの1790万(同指標17位)、ダウンロードは同14%アップの13000(同指標4位)、ラジオエアプレイは同23%アップの2350万(同33位)。TikTok人気が最も速く派生するであろうストリーミング指標の動きが鈍くなっている一方、ラジオエアプレイは大きく成長していることから今後はゆるやかながらも安定した上昇が見込めるかもしれません。ジェイソン・デルーロにとっては「Want To Want Me」(2015 5位)以来となる7曲目のトップ10入りとなり、ニュージーランドのジョーシュ・シックスエイトファイヴにとっては初のトップ10入りとなりました。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (初登場) テイラー・スウィフト「Cardigan」

2位 (1位) ダベイビー feat. ロディ・リッチ「Rockstar」

3位 (2位) ジャック・ハーロウ feat. ダベイビー、トリー・レーンズ & リル・ウェイン「Whats Poppin」

4位 (初登場) テイラー・スウィフト「The 1」

5位 (4位) ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」

6位 (初登場) テイラー・スウィフト feat. ボン・イヴェールExile

7位 (7位) ハリー・スタイルズ「Watermelon Sugar」

8位 (5位) セイント・ジョン「Roses」 

9位 (6位) ミーガン・ジー・スタリオン feat. ビヨンセ「Savage」

10位 (12位) ジョーシュ・シックスエイトファイヴ × ジェイソン・デルーロ「Savage Love (Laxed - Siren Beat)」

次週はビリー・アイリッシュ「My Future」がトップ10入りを果たすかに注目。そしてテイラー・スウィフトは「Cardigan」をはじめとして今週の勢いをキープできるか、注視しましょう。