次回の米ビルボードソングスチャートでは、ドレイクが5月1日にリリースしたミックステープ『Dark Lane Demo Tapes』がアルバムチャートで初登場することから、収録曲がソングスチャートでも大挙エントリーを果たすことは間違いありません。しかしそのドレイク、思わぬ逆境に立たされています。
.@Drake's 'Dark Lane Demo Tapes' will debut at #2 on the US albums chart with 226K sold, according to @HITSDD.
— chart data (@chartdata) 2020年5月8日
デジタル、特にストリーミングに強いドレイクが、フィジカルに長けたベテランカントリー歌手のケニー・チェズニー『Here And Now』に僅差で敗れるかもしれないのです。ドレイクはこれまでに5枚のオリジナルアルバムをすべて、ミックステープでは『If You're Reading This It's Too Late』(2015)以降すべて米ビルボードアルバムチャートで首位に送り出しているゆえ、仮に2位という結果に終わるならば緊急事態と言えるでしょう。そしてその状況は、ソングスチャートにも波及されます。本来ならばアルバムの勢いで先行曲の「Toosie Slide」が首位にカムバックを果たしてもおかしくないのですが、しかし米ビルボードではこのような報道が。
.@theestallion's "Savage" & @dojacat's "Say So" battling for No. 1 on Hot 100 next week https://t.co/K1CSIzcUel
— billboard (@billboard) 2020年5月8日
次週の首位争いはミーガン・ジー・スタリオン「Savage」とドージャ・キャット「Say So」という新鋭ふたりの対決という構図になったと、米ビルボード自身が報じているのですから、「Toosie Slide」が3位以下になることはほぼ間違いないでしょう。この状況はいい意味で予想外でしたが、対決に至るには理由があります。それは両者がきちんと戦略を立てているため。そしてその戦略は、米ビルボードソングスチャートが様々なバージョンを合算するというチャートポリシーに沿ったものです。
ミーガン・ジー・スタリオンは「Savage」にあのビヨンセを迎えたリミックスを用意し、4月末に発表。その結果、最新5月9日付米ビルボードソングスチャートで4位にランクインしたことは以前お伝えした通りです。
次回、5月16日付の米ビルボードソングスチャートの集計期間はストリーミングおよびダウンロードが5月1日金曜から、ラジオエアプレイが4日月曜からの1週間。「Savage」のビヨンセ追加版がフルで、そして5月7日にはメジャー・レイザーによるリミックスが追加投入され、こちらのリミックスもわずかながら次週のチャートに加算されます。
メジャー・レイザーによるリミックスは4月25日付米ビルボードソングスチャート(解説はこちら)において、ドレイク「Toosie Slide」からザ・ウィークエンド「Blinding Lights」が首位の座を奪還した際にも貢献していたわけで、リミックスの重要性、起用されるメジャー・レイザーの人気が良く解ります。
一方のドージャ・キャット「Say So」は5月1日にニッキー・ミナージュ追加版が公開。
翌日にはこのリミックスの"ダンスビジュアル"なる動画が公開。
さらに先週はじめにはライブパフォーマンスの動画も公開しています。
日本時間の5月10日日曜7時過ぎに両者のTwitterアカウントをチェックしてみたところ、プロフィール欄に掲載されたURLは「Savage」「Say So」それぞれの客演参加版音源を提供するサービス一覧に行き着くわけで、所有や接触の促進に徹していることが解ります。ドージャ・キャットにおいては名前にも宣伝を入れ込む徹底っぷり。
SNSでの訴求はプロフィール欄以外でも共通しており、双方ともリミックスを広く知らしめるべく"リミックスパーティー"なるハッシュタグを用いています。ミーガン・ジー・スタリオンはそのハッシュタグが含まれるツイートを紹介する形で、間接的に使っています。
Now look how she ate that.. #SavageRemixParty @theestallion pic.twitter.com/3jZhbJHXmg
— ً (@CLASSYBOUGlE) 2020年5月7日
#SaySoRMX #SaySoRMXPARTY 🐾 KEEP STREAMING SAY SO! I LOVE YOU GUYS SO MUCH 💕 pic.twitter.com/y6s45I55SB
— SAY SO FEAT. NICKI MINAJ OUT NOW! (@DojaCat) 2020年5月7日
この結果、米ビルボードではソングスチャートを構成する3指標が大きく伸びると予想しています。
一方で #ドージャ・キャット「#SaySo」は次週 #ニッキー・ミナージュ 参加版が集計期間フルで加算。ラジオエアプレイが9000万を超え、ストリーミングが2500万、ダウンロードが8万と予想されています。
— Kei / ブレストコナカ (@Kei_radio) 2020年5月8日
ストリーミングもさることながら、突出しているのはダウンロードの伸び。これは両者のホームページにてフィジカルが販売されているため。購入の段階でダウンロードが可能になり、後日フィジカルが届く仕様となっています。
GO PURCHASE YOUR VINYL COPIES OF THE #SAVAGEREMIX WITH ME AND BEYONCÉ RN ON MY WEBSITE https://t.co/k66qFw3r5e 🐝🐎 pic.twitter.com/1WvNJzx5D0
— HOT GIRL MEG (@theestallion) 2020年5月7日
MORE SIGNED VINYLS && CDS AVAILABLE! https://t.co/KXmEhatwFv 💿🐾 pic.twitter.com/Y2dfytbPYw
— SAY SO FEAT. NICKI MINAJ OUT NOW! (@DojaCat) 2020年5月7日
共通項の多い2曲の対決の結果は、5月16日付米ビルボードソングスチャートで明らかになります。現地時間の11日月曜、日本では12日火曜の早朝に公開予定。どうなるか、非常に楽しみです。