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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパンソングスチャートはSpotify導入を機に、より実態に即した社会的ヒットの鑑になっていく

昨日のエントリーでは最新11月18日付ビルボードジャパンソングスチャートについて紹介しましたが、この日(集計期間は11月4~10日)からSpotifyがストリーミング指標に加わっています。

さらには、今回Spotifyが導入されたタイミングで新たな試みも始まっています。下記は一昨日付、ビルボードジャパンストリーミングソングスチャート紹介の記事より。

なお、Spotifyを含む複数のストリーミング・サービスが次年度以降に、無料と有料を分割してのデータ提供が可能となる見通しを踏まえ、当週より、Billboard JAPAN独自調査によりストリーミング全体数から無料と有料を按分、それぞれに異なる係数を乗じてポイント化することとした。当ニュースにおける再生数は無料と有料の合算としている。

無料と有料とで異なる係数を乗じる方法は、アメリカで昨夏から導入されたもの。日本では係数がいくらかについては公開されていませんが、アメリカでは公開されています。

ニールセンの2018年第3四半期より、有料配信サービス(Apple MusicやAmazon Musicなど)、または有料/広告支援ハイブリッド・サービスにおける有料プラン(SpotifySoundcloudなど)での再生は、広告支援サービス(YouTubeなど)や有料/広告支援ハイブリッド・サービスにおける無料配信より比重が大きくなる。

ソング・チャート“Hot 100”におけるストリーミング・データの算出方法については、2018年からは有料(1再生=1ユニット)、広告支援(1再生=2/3ユニット)、プログラム配信(いわゆるプレイリスト。1再生=1/2ユニット)に分けて計算する。“Hot 100”指標データの重要性はストリーミングが最も高く、次に全ジャンル・ラジオ・エアプレイ、そしてデジタル・ソング・セールスと続く。

米ビルボード・チャート、ストリーミング算出方法を6/29より変更 | Daily News | Billboard JAPAN(2018年5月2日付)より

有料と無料とで分けた理由は明快。

ビルボード・チャートにおけるストリーミングの集計方法を多層的なアプローチに変更したのは、ストリーミングによる収益と、ユーザー側のアクセス方法を反映させる形で再生数を算出しようとする世界的な動きに合わせたものだ。

米ビルボード・チャート、ストリーミング算出方法を6/29より変更 | Daily News | Billboard JAPAN(2018年5月2日付)より

有料サブスクリプションサービスで聴くと収益が上がり歌手やレコード会社をより支えられること、そのためにもユーザーには有料を勧めることが米ビルボードのチャートポリシー変更の狙いではないかと。日本もそれを踏襲したのだろうと考えます。

 

Spotifyの導入、そして有料と無料とで係数を設けることは自分が以前提示した希望に沿ったものです。先月、ビルボードジャパンソングスチャートを構成する8指標についての改善案を提示しましたが、ストリーミング指標についてはまさしく希望する方向となっています。

今年度終了まで間もなくですが、他の指標にもメスが入りまた指標毎にウェイトの変更が行われれば(特にシングルCDセールスについては、毎週のように首位が入れ替わりまたその首位曲が翌週急落する傾向を踏まえれば、見直しは必須だと考えます)、来年度以降のビルボードジャパンソングスチャートはより実態に即した社会的ヒットの鑑になるものと考えます。

 

ビルボードジャパンには是非とも、ソングスチャートを構成する指標群の説明や係数導入の理由をより広く伝播してほしいと希望します。