この1ヶ月ほどで弊ブログにおけるゴスペル関連エントリーが大量発生。カニエ・ウェスト初の全編ゴスペル作『Jesus Is King』や、AIさんのデビュー20周年記念アルバム『感謝!!!!! - Thank you for 20 years NEW &BEST -』がこの1ヶ月の間に相次いでリリースされたことに因るところが大きく、そこから様々なゴスペル(関連)作品を紹介しています。
そのカニエ・ウェスト『Jesus Is King』はリリースされて初めて制作陣のクレジットが明かされたわけですが、そこに聖俗共に活躍するプロデューサーのウォーリン・キャンベルの名があり、強く納得した次第。ウォーリン・キャンベルについては以前弊ブログにて取り上げています。
そのウォーリン・キャンベル、自身が運営するレーベル【My Block Inc.】からコンピレーションアルバム『Warryn Campbell Presents My Block Inc.』を先月リリースしました。レーベルコンピレーションは現在このような歌手を抱えていますよという訴求の場と言えるのですが、これが実に濃いラインアップなのです。
ウォーリン・キャンベルは妻のエリカ・キャンベルとの共演曲を昨年リリースしていましたが(先述したウォーリン・キャンベルのブログエントリー参照)、エリカと彼女の妹のティナ・キャンベルから成る姉妹デュオのメアリー・メアリーと共に「Feel So Good To Be Loved」に参加。もしかしたらウォーリンは歌手としても表舞台に出るようになったのかもしれません。現在はエリカおよびティナ共にソロ作に力を入れていますが、今回を機に『Something Big』(2011)以来となるメアリー・メアリーとしてのオリジナルアルバムをリリースしてくれたならと切望します。
それにしても今回興味深いのは、かつて日本でも注目を集めた面々がレーベルコンピレーションに参加していること。日本でラジオを中心に「Always」(2009)が注目を集めたジェイソン・チャンピオンの名を見たときには驚きました。さらには唯一のオリジナルアルバム『Two Eleven』(2000)が好作だったトニ・エステスも登場。
音楽評論家の林剛さん @hystys が言及していたウォーリン・キャンベル。彼のレーベルによるコンピレーションが先月末リリースされていました https://t.co/o2xnQKMpxd このラインアップに驚き…ウォールズ・グループは勿論、メアリー・メアリー、ジェイソン・チャンピョン(!)、トニ・エステス(!!)も
— Kei / ブレストコナカ (@Kei_radio) November 5, 2019
とはいえ、ジェイソン・チャンピオンについては昨夏のブログエントリーでMy Block Inc.入りを果たしたことを伝えていましたし、トニ・エステスにおいてはbmrで昨年レーベル入りを報じていましたので、単なる自分の失念ではあるのですが。
(それにしても、bmrはメジャーからゴスペルまでを網羅し情報量多かったなあとあらためて実感。今年の春以降パタッと止まったのは勿体無いというか…事情はなんとなく読めるのですが。)
そのジェイソン・チャンピオンとトニ・エステスの共演盤が心を揺さぶります。
今朝ツイートした、カニエ・ウェスト最新作にも参加するウォーリン・キャンベルによる、自身のレーベル”My Block Inc.”の最新コンピ。あらためて聴いているのですが、ジェイソン・チャンピョン&トニ・エステス「Be Alright」の弦楽使いに惚れ惚れ…ジェイソンの歌も見事 https://t.co/aMd5lYqaeI
— Kei / ブレストコナカ (@Kei_radio) November 6, 2019
このアプローチは、メアリー・メアリー「In The Morning」(2002)を彷彿とさせますが、音のダイレクトさ、踊りやすさはきちんと今の音となっていますね。
さらにはゴスペル界の若き実力派、ウォールズ・グループがMy Block Inc.入りし、レーベル入り後初めてのナンバー「High And Lifted」を公開。レーベルコンピレーションに収められています。彼らについても以前記しましたが、レーベル移籍にはいい意味で驚かされます。
ちなみに、ウォーリン・キャンベルの妻、エリカ・キャンベルのソロとしての新曲「Praying And Believing」も収録。驚くのはそのミュージックビデオが現在の悪しき社会情勢を映していること。
先行シングルだったこの曲のジャケットをみると、なるほど社会情勢を謳っていることが解ります。
Erica Campbell Releases New Music: Praying And Believing | @ImEricaCampbell https://t.co/iX3oKlri9l pic.twitter.com/hvA6ckg2Ia
— BlackGospel . com (@blackgospel) November 15, 2019
祈り信じることで現状を変える可能性があると伝えるのもゴスペルのひとつの形。ゆえにオバマ大統領の登場以降は特にゴスペル界(のみならずアメリカのエンタテインメント界)全体が民主党支持だったと捉えています。だからこそカニエ・ウェストがトランプ大統領支持を表明したことへの疑問は業界内外に根強いわけですが、それでも『Jesus Is King』に参加したウォーリン・キャンベルは”良い作品を創る”という自身の信念を第一に据えたのではないかと勝手ながら考えています。
その他にも今回のコンピレーションは良曲が続々。先述したトニ・エステスのソロによる「Stressed Out」の80年代な音使いにもニヤリとさせられますし、ウォーリン・キャンベルの妹、ジョイスターはアルバムが出ずじまいなのですが健在ぶりをアピール。
ちなみにジョイスターはレーベルコンピレーションとは別に、先週新曲「Wait For Me」をリリースしています。
今回のレーベルコンピレーションは、所属するほぼ全員による「Working!」が冒頭を飾ります。
参加メンバーは”Warryn Campbell, Mary Mary, Jason Champion, Toni Estes, Lena Byrd Miles, JoiStarr, The Walls Group, Krista Campbell, MC Lyte and Jason McGee & The Choir”(上記動画の説明欄より)。トニ・エステスのbmr記事で一時期レーベルに所属していたと言及されているジョン・Bがいないのが残念ですが、今後は彼らそれぞれのソロ作品がきちんと出ることを待ちわび、期待しましょう。無論、ウォーリン・キャンベルの今後のプロデュースワークも楽しみです。