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クミコ with 風街レビュー「恋に落ちる」の美しさと関連曲

ああなぜこの曲に気付き忘れたままだったのか...と果てしなく後悔するほどに、この一週間で大好きな一曲に。

・クミコ with 風街レビュー「恋に落ちる」

先月リリースされた、クミコ with 風街レビュー『デラシネ deracine』の収録曲。アルバムについては下記に。

松本隆作詞、冨田恵一編曲という布陣で、提供曲(作曲のみ)をクミコさんが歌い上げるという形のユニットが、クミコ with 風街レビュー。その中でもこの曲は、コーラスとしても参加する永積崇さん(ハナレグミ)が紡ぐメロディの美しき寄り添い方、いかにも冨田恵一氏らしい世界観に溢れたアレンジ、松本隆氏による詞の力、そしてシャンソン歌手のクミコさんならではの、ドラマティックになりすぎないのに受け手に詞の世界を真っ直ぐに提示し、行間を読ませようとする歌唱...見事に相俟った作品といえます。クミコさんの最後の微笑みが特に素晴らしすぎます。

実はこの曲、昨年には既に先行シングルとして発表されていたんですよね。

昨年のインタビュー記事。ダブルAサイドシングルとして、秦基博さん作詞による「さみしいときは恋歌を歌って」と共に発表されており、「さみしいときは…」がテレビ番組で披露されるのは観たものの(秦さん、そして松本隆氏も登場する場面も)、自分の記憶の範囲内では「恋に落ちる」はなかった気がします。ただ、今の自分にとっては正直、「恋に落ちる」のほうがより素晴らしいなと思うゆえ、こちらのほうも披露してほしかったなと強く思うのです。

 

 

この「恋に落ちる」を聴いて想起した曲を下記に。もしこれらの曲が好きならば、「恋に落ちる」は聴いてみて損はないと断言します。

 

サザンオールスターズTSUNAMI」(2000)

公式動画がないのが非常に残念なのですが。「恋に落ちる」の歌詞に、そのことの例えとして”墜落”、”きりもみ”という言葉が出てきます。いわば亡くなる可能性を持ち合わせた言葉たちですがそれを敢えて用いるのは、松本隆氏の手腕かもしれませんね。サザンオールスターズTSUNAMI」における登場人物の心の動きを”津波”と例えたのもまさにこの方式かと。

 

畠山美由紀「愛にメロディ」(2005)

数少ないとみられる永積崇さん提供曲のひとつ(作詞はクラムボン原田郁子さん)。「恋に落ちる」に近い、ドラマティックさを押さえながら恋の喜びが溢れ出ん様子を表現した、メロディラインの美しさたるや。

 

畠山美由紀「罌粟」(2003)

この曲については以前、畠山美由紀を知るための5曲(2015年5月26日付)でも触れています。松本隆作詞、冨田恵一編曲という布陣は「恋に落ちる」と同様。そして1番の冒頭に”毒薬”、2番でははじまってすぐに”溺れてもいいよ”という、こちらも命にかかわる言葉が出て来るのもまた松本隆流ラブソングの妙。

 

 

これらは自分の中でエバーグリーンな輝きを放っています。クミコ with 風街レビュー「恋に落ちる」もこの先、自分の中で大切な曲になる予感がします。