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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

シングルCDセールス2位も総合で逆転、米津玄師「馬と鹿」が嵐「BRAVE」に勝った理由は? 9月23日付ビルボードジャパンソングスチャート"頂上決戦"をチェック

9月9~15日を集計期間とする、9月23日付のビルボードジャパン各チャートが昨日発表。ソングスチャートは米津玄師「馬と鹿」が制しました。

ビルボードジャパンのツイートから想像出来るように、今週は嵐「BRAVE」との接戦が予想されていました。個人的には前週のチャート振り返りの際、嵐に軍配が上がるものと思っていたのですが、蓋を開けてみると42603ポイント対35762ポイントと予想以上の差が生まれていました。

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(※「BRAVE」は昨年のテレビ番組で既に披露されていたため、昨年の段階でTwitter指標が盛り上がっていたものと推測されます。)

 

ではなぜ、米津玄師「馬と鹿」の逆転劇が生まれたのでしょう。昨日はこのようなことをツイートしました。

一部のファンが納得しないと書いた理由は、CD販売手法について互いの一部(だろう)ファンが相手を非難したのを目にしたこと、また9月23日付オリコン週間合算ランキングでは嵐「BRAVE」が勝っているためにそのような見方をする方がいらっしゃるのではないかと考えたため。しかしながらオリコン週間合算ランキングは所有、とりわけCDにこだわる点でビルボードジャパンソングスチャートよりも社会の流行の鑑になりにくいと以前指摘しています。

 

さて、米津玄師「馬と鹿」および嵐「BRAVE」、両作品ともこれまでよりシングルCDセールスが高いのです。「馬と鹿」についてはドラマ主題歌として似た立場にある「Lemon」(2018)と、「BRAVE」については前作「君のうた」(2018)とそれぞれ比較すると。

米津玄師「馬と鹿」のシングル・セールス初週売上は431,270枚で、同「Lemon」は205,169枚と倍以上のセールスを稼いだが、一方の嵐「BRAVE」は708,595枚で、前作「君のうた」は382,812枚とこちらも倍近いセールスをマークし、シングル1位となった。

「馬と鹿」「BRAVE」は共に3種リリースながら、「馬と鹿」は映像盤同梱、ペンダント添付盤および通常盤に分かれ、「BRAVE」はBlu-rayおよびDVDの映像盤(内容は同一)同梱および通常盤が用意。それぞれCD収録内容は同じであり、特に嵐においては映像盤付を購入する際はBlu-rayかDVDどちらかを選べばよいだろうゆえ、この状況下でセールスがほぼ倍に達したのには驚きました。おそらく、両作品とも封入されたシリアルナンバーを使ってコンサート(ツアー)予約が可能なことから、複数買いが生まれたと想像出来ます。

総合ポイントにおけるシングルCDセールス指標の割合を「馬と鹿」が6割、「BRAVE」が8割と仮定すると、同指標での獲得ポイントは「馬と鹿」が25562、「BRAVE」が28610。ここからシングルCDセールス1枚あたりのポイントは「馬と鹿」が0.059、「BRAVE」が0.040となります。シングルCD1枚あたりのポイントに差が生じているのは各作品に係数が用いられているため(詳しくは【Billboard JAPAN Chart】よくある質問 | Special | Billboard JAPANをご参照ください)。この係数の算出方法については公開されておらず、もしかしたらこの点をもってビルボードジャパンソングスチャートへの不信感を唱える方がいらっしゃるかもしれませんが、係数という概念がなければ先のオリコン合算ランキング同様、シングルCD売上枚数至上主義的な形になってしまいます。そして今回「BRAVE」の係数が高くなかった理由を考えるに、ルックアップの順位が考えられます。

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パソコン等に取り入れた際のインターネットデータベースへのアクセス数を示すルックアップにおいて、「BRAVE」は「馬と鹿」に敗れているのです。しかも「馬と鹿」は(おそらく所属先のソニーの方針により)レンタル解禁が17日後に設定されている一方、「BRAVE」は発売と同日解禁(これはジャニーズ事務所経営のレコード会社でも異例のこと。詳しくは6月3日付ビルボードジャパンソングスチャート首位曲からはじまる、ジャニーズ事務所所属歌手のシングルCDの展開手法を疑問に思う(5月30日付)をご参照ください)。レンタル店は昨夏の段階でおよそ2000店あり、1店舗あたり10枚分が集計期間中に借りられたとすれば2万枚。すなわち、セールス+レンタルで人々の手に渡ったCDは「馬と鹿」の43万に対し「BRAVE」は73万であり、ルックアップは「BRAVE」が勝ると思うのが自然でしょう。しかしそうはならなかったのは、購入者のインポート率も考慮する必要がありますが、ともすれば「BRAVE」のユニークユーザー数(実際にCDを買った方の数。仮に100万枚売れたとしても一人平均10枚購入したならばユニークユーザー数は10万となります)は前作とあまり変わらず、複数買いが増えたゆえに枚数の割にルックアップが上昇しなかったと言えそうです。これが前作「君のうた」同様、通常盤にカップリング曲が用意されていたならば状況は違っていたことでしょう。ルックアップはレンタルの動向と共にユニークユーザー数を推測可能な要素であり、ビルボードジャパンはこの点を踏まえ係数に差を設けた可能性があります。逆に「馬と鹿」は「Lemon」の倍以上のセールスながら、ユニークユーザー数も倍近くに達したのかもしれません。

 

「BRAVE」はシングルCDセールスおよびTwitter指標で「馬と鹿」に勝るものの、その他では敗れています。ジャニーズ事務所所属歌手であり、且つ同事務所が運営するレコード会社発のためミュージックビデオのティーザーは用意されず動画再生指標はカウントされません。またレコチョクでは嵐の楽曲一覧の中に「BRAVE」が含まれるものの、イントロのみもしくはサビのみという部分配信となっており、ダウンロード指標も300位未満に。デジタルに不便な状況を続ける事務所の姿勢が、今回の逆転を許したと言われてもおかしくないかもしれません。

一方の「馬と鹿」はストリーミング未解禁こそあれど、ダウンロードとミュージックビデオも加算され、チャート構成比において前者はおよそ2割、後者は5%程度を獲得。最新チャートではシングルCDセールス初加算週にもかかわらず、ダウンロードは前週から1万近くも増加しています。この理由はラジオエアプレイの動向からも読取可能。

主題歌として書き下ろしたドラマ「ノーサイド・ゲーム」の盛り上りも話題となるなか、同最終回とシングルリリースが重なった今週、チャートイン5週目にして期待通りの堂々1位を飾った。事前アナウンス無しでドラマ内での楽曲初解禁に始まり、物語が白熱するに準じてシンクロ率の高い楽曲への注目度も上げつつ、それが最高潮に達した最終話を迎える週にリクエストも倍増させシングルリリースと、1位獲得に向けた完璧なシナリオであった。

「馬と鹿」における、突如のダウンロード解禁→ミュージックビデオ解禁→シングルCDリリースというタイミングは、ミュージックビデオ解禁が「Lemon」に比べ1週間ほど遅くなりましたがほぼ「Lemon」の流れを踏襲、そしてドラマの最終回放送週のシングルCDリリースも同様。これが楽曲の注目度を高め、フィジカル(CD)もデジタルも伸ばした理由と言えます。この戦略はデジタルを解禁しているからこそであり、「BRAVE」では採用することが出来ませんでした。またラジオエアプレイについて、嵐のシングルCDセールス初加算週の順位が「夏疾風」33位→「君のうた」46位→「BRAVE」56位と落ちていることも気になります。

 

ラジオエアプレイ共々、ウェイトがそこまで高くないと思しきTwitter指標でも「BRAVE」の強くなさが目立ちます。いや、「馬と鹿」には勝ってはいるのですが同指標は3位。同じジャニーズ事務所所属のA.B.C-Z「DAN DAN Dance!!」(9月25日発売)に敗れているのです。

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チャート構成比がTwitterのみで占められた「DAN DAN Dance!!」の獲得ポイントは1664。嵐「BRAVE」のTwitter指標は全体の4.5%と推測され、Twitter指標での獲得ポイントは1609前後。これはA.B.C-ZのファンによるTwitter活動の凄さとも言えますが、ジャニーズ事務所内でも屈指のファン数を誇るであろう嵐がTwitter指標で、それも呟きやすい1単語の曲名で、これから新曲をリリースするA.B.C-Zに敗れるのは意外でした。仮に嵐ファンがTwitter活動に本腰を入れていたならば同指標で2000ポイントは余裕で叩き出せたのかもしれません。Twitter活動もある意味デジタルの一環であり、嵐のデジタル全体の強くなさが露呈した形です(それでも1600ポイント以上稼ぐのは立派ではあるのですが)。

 

 

今回の頂上決戦を振り返るに、嵐「BRAVE」がシングルCDセールス一点集中型という旧来からの手法が米津玄師「馬と鹿」が採った段階型という戦略に敗れたことの意味は大きいと思います。デジタル解禁することの意味の大きさは勿論(ですが、米津玄師さんがストリーミングを未だ解禁していないことには疑問があることについてはきちんと言及しないといけません)、シングルCDセールスが急増してもその内容が伴っていないと他指標や係数のアップにつながらないことも判明。チャートに不服を申し出る方もいらっしゃるかもしれませんが、ジャニーズ事務所所属歌手においてはたとえばダウンロード指標で上位入りした山下智久「CHANGE」の例もあり、また同曲からはダウンロード解禁がシングルCDセールスを駆逐しないことも証明されています。

ならばジャニーズ事務所や経営するレコード会社には是非とも、デジタルについて前向きに考えていただきたいと強く願います。またファンは事務所側に前向きな提言をし続ける必要がありますが、デジタルに明るくならないうちはルックアップやTwitter、ラジオエアプレイには局へのリクエストの形で、出来る範囲で活動することを勧めます。

 

もうひとつ。楽曲が真にヒットしているかを判断する基準のひとつが、シングルCDセールス指標加算2週目の動向。下記ブログエントリーにその理由を記載しています。

シングルCDセールス指標加算2週目のポイント前週比は米津玄師「Lemon」が54.8%に対し嵐「君のうた」は14.7%。「馬と鹿」も「BRAVE」もシングルCDセールスが共に比較対象作品を大幅に上回っていますがその反動で2週目のセールスが下がり、今作におけるポイント前週比は比較対象作品を下回る可能性があります。この動向をチェックして、真のヒットと言えるかを見極めていきたいと思います。

 

 

なお、今週のソングスチャートトップ10等全体の動向等については明日取り上げる予定です。

メイベル「Don't Call Me Up」のチャートアクションにみる、ラジオ局の"守りの姿勢"問題

先週水曜に発表された、最新9月16日付ビルボードジャパンソングスチャート。総合では100位未満(300位以内)ながらラジオエアプレイで6位に入っているメイベル「Don't Call Me Up」は非常に特殊なチャートアクションとなっています。

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この「Don't Call Me Up」の日本における盛り上がりは三度あり、現在が最大のピークとなっているのですが、個人的にはここに大きな引っ掛かりを抱いた次第。

 

メイベルが2017年秋にリリースしたミックステープ『Ivy To Roses』を今年1月にリイシューした際、追加収録となった曲のひとつが「Don't Call Me Up」。2月にリミックス集がEPとしてリリースされたこともありイギリスでヒット。3月14日付ソングスチャートで最高位となる3位に達し、延べ10週間トップ10入りを果たしています。日本ではこのイギリスのチャートアクションにいち早く注目したであろうラジオ局が反応したことで、ビルボードジャパンソングスチャートの構成指標のひとつであるラジオエアプレイで最高70位を記録(3月11日付)。この最初のピーク後、レコード会社のホームページにてメイベルとは何者かの特集が組まれました。

二度目のピークは6月。6月17日付ビルボードジャパンソングスチャートのラジオエアプレイで突如32位にカムバックを果たしています。5月末にYouTubeMusicの"Artist On The Rise"に選出されたこと、ビルボードジャパンで特集が組まれたこと(下記リンク先参照)、そして新曲「Mad Love」のリリースタイミングに合わせて在阪のFM802でヘビーローテションされたことが要因とみられます。FM802が新曲ではなく「Don't Call Me Up」を選んだ理由は判りかねますが、大都市圏のラジオ局が選出したことがチャートアクションに大きく作用したことは間違いないでしょう。

そして三度目は8月に入ってから。8月2日にイギリスでアルバム『High Expectations』をリリースしたことが契機となっているのでしょうが、その頃日本では徐々にといったところ。アルバムの国内盤が1ヶ月遅れて9月4日に発売されたタイミングで、現段階で最高位となる6位に達したのです。

アルバムリリースのタイミングで、「Don't Call Me Up」が12のラジオ局でヘビーローテションに選出(「Mad Lobe」や「Bad Behaviour」も1局ずつ選出)。しかし「Don't Call Me Up」のヘビーローテションを8月に据えたのはわずか1局のみであり、他11局は全て9月に設定しているのです。

 

国内盤リリースのタイミング(およびそれに伴うラジオ局のヘビーローテション時期)が遅れたのは、メイベルが日本盤リリースの翌日に日本でショーケースライブを開いたことが影響しているのかもしれません。

とはいえ、ラジオ局の「Don't Call Me Up」の選出は遅いと言わざるを得ません。イギリスでヒットした時期に日本ではあまりかからなかったのみならず、ヘビーローテション選出局の大半が大量OA月間を輸入盤ではなく国内盤リリースのタイミングに据えたことも、流行を積極的に追うのではなくヒットが確約されたからかけるという守りの姿勢が見て取れます。現在はデジタルで海外と同時に配信され、インターネットで海外の流行を即座に調べられる状況ゆえ尚の事です。

 

このメイベル「Don't Call Me Up」1曲だけで断言するのは危険かもしれませんが、しかしながらラジオ局が新しい流行を伝えるもしくは作るという気概や理念は薄れているのではないかと考えてしまいます。レコード会社から強力なプッシュがあった曲を取り上げること(今回がそうとは限りませんが)はたしかに必要でしょうが、これは絶対流行するから先取りする!もしくは局をあげて流行らせる!という意気込みで選出は出来ないものでしょうか。それこそ局によってはDJを"(ミュージック)ナビゲーター"と呼び、良い曲を伝導する意味合いを強めているのですから尚の事です。

ちなみに「Don't Call Me Up」、現段階でラジオエアプレイ以外の指標で100位以内はおろか300位以内に入っている指標はゼロ。総合でも100位以内に入ったことはなく、ラジオを聴いてダウンロードやストリーミングに至った人が少ないことを痛感します。新しくそして好い音楽を自信を持って紹介する姿勢を強固にすれば、ラジオ局を信頼して聴く方が増え、ラジオ局から新しく好い音楽を学び所有や接触行動につなげていくはず。その意味でも、ラジオ局にはプライドを持っていただきたいと強く思います。

リゾ3連覇、ポスト・マローン4曲トップ10入り&オジー・オズボーンが新記録達成…9月21日付米ソングスチャートをチェック

ビルボードソングスチャート速報。現地時間の9月16日月曜に発表された、9月21日付最新ソングスチャート。リゾ「Truth Hurts」が3連覇を達成、またポスト・マローンは同日付アルバムチャートで『Hollywood's Bleeding』が首位に立ったことでアルバムから4曲をトップ10内に送り込みました。

Truth Hurts」は首位をキープしながらもデジタルでのピークが過ぎた模様。ダウンロードは3週目の首位ながら前週比19%ダウンの31000。ストリーミングは同16%ダウンの2920万(同指標14位)、ラジオエアプレイは同6%アップの1億1080万(同2位)。ストリーミングが11ランク下がったのは後述するポスト・マローンの大量エントリーの影響もありますが、ダウン幅が二桁というのは気になるところ。

 

今週はポスト・マローン祭りとなったトップ10。アルバム『Hollywood's Bleeding』がテイラー・スウィフト『Lover』に次ぐ今年2番目の週間ユニット数を叩き出して今週首位に。489000ユニットのうち、ストリーミング再生回数のアルバム換算分(SEA)は278000。アルバム収録曲の1週間の再生回数が3億6540万となりこちらは今年最高を記録(それまでの記録はアリアナ・グランデ『Thank U, Next』の3億710万)。これがソングスチャートにも波及した形です。

7月20日付で初登場を果たしたヤング・サグとの「Goodbyes」は10→3位、前週初のトップ10入りとなった「Circles」は7→4位、以前首位を獲得したスウェイ・リーとの「Sunflower (Spider-Man: Into the Spider-Verse)」は14→10位とそれぞれ上昇。そして新たに、トラヴィス・スコットとオジー・オズボーンを招いた「Take What You Want」が8位に初登場。ストリーミングは4曲とも3000万を突破しています。

ポスト・マローンにとっては9曲目のトップ10入りとなる「Take What You Want」は、客演のトラヴィス・スコットにとっては6曲目、そしてオジー・オズボーンは2曲目。オジーは1989年6月17日付で8位に入ったリタ・フォードとの「Close My Eyes Forever」以来30年3ヶ月ぶりのトップ10入りを果たし、返り咲き最長記録を更新しました(これまでの記録はドビー・グレイの30年2ヶ月1週)。また4曲以上同時にトップ10入りを果たしたのはポスト・マローンが6組目。ちなみに最高記録はドレイクの7曲となります(2018年7月14日付。こちらもアルバム『Scorpion』が初登場したタイミングで達成)。

 

今週新たにトップ10入りを果たしたのがルイス・キャパルディ「Someone You Loved」。登場18週目で遂に9位に到達しました。ダウンロードは前週比2%アップの17000(同指標4位)、ラジオエアプレイは同11%アップの7900万(同6位)、ストリーミングは同9%アップの2230万(同指標23位)。ストリーミングは前週より10ランクダウンしたもののこちらもポスト・マローンの影響を受けてのもの。前指標アップしているのは曲の勢いの証拠もありますが。

ストリーミングの浮上策として上記"2つ目のミュージックビデオ"を公開したことも影響しています。つまりは米ソングスチャートでよくみられる"仕掛け"が功を奏した形。

この仕掛けについては前週取り上げていますのでご参照ください。実際は仕掛けが効き始めたのは前週のチャートであり今週その効果は薄れるのではと懸念していたのですが杞憂でした。ラジオエアプレイでは既に一定の成果を上げているのですから、あとはストリーミングがどこまで伸びるかがこの曲の浮上の鍵と言えそうです。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) リゾ「Truth Hurts

2位 (2位) ショーン・メンデス & カミラ・カベロ「Señorita」

3位 (10位) ポスト・マローン feat. ヤング・サグ「Goodbyes」

4位 (7位) ポスト・マローン「Circles」

5位 (3位) ビリー・アイリッシュ「Bad Guy」

6位 (4位) リル・テッカ「Ran$om」

7位 (6位) クリス・ブラウン feat. ドレイク「No Guidance」

8位 (初登場) ポスト・マローン feat. トラヴィス・スコット & オジー・オズボーン「Take What You Want」

9位 (11位) ルイス・キャパルディ「Someone You Loved」

10位 (14位) ポスト・マローン & スウェイ・リー「Sunflower (Spider-Man: Into the Spider-Verse)」

ポスト・マローンがトップ10に送り込んだ4曲のうち、次週はいくつ残るかでチャートが大きく動きそう。また映画『チャーリーズ・エンジェル』リブート版に起用されたアリアナ・グランデマイリー・サイラスラナ・デル・レイ「Don't Call Me Angel」がどの位置に登場するか気になるところです。

日本最大級のゴスペルクワイア、HIRO's MASS CHOIR 15年ぶりのニューアルバムが登場

日本で最大級、およそ150名もの人数を誇るゴスペルクワイア、HIRO’s MASS CHOIRのニューアルバム『They That Wait』が先月リリースされました。年1回開催される2000人規模のライブで先行発売され、今月から通販が開始されています(→こちら)。

自分は以前のブログエントリー、#私を構成する9枚(2016年1月28日付)でも記載したように、このクワイアにかつて所属、その音楽体験は今の自分を支えています。ゴスペルを歌うには改宗が必要と思われがちですが決してそうではなく(勿論改宗する方もいらっしゃいます。かつてその場に立ち会い、生まれ変わる瞬間を見て感銘を受けたことも)、”ゴスペルを歌う理由”を自分の中でしっかりと見出すことが重要だと捉えています。希望を掲げ、自身にも周囲にもしっかりと伝えるというのが自分なりの回答でしたが、ゲストシンガーを招きつつもクワイアの各パート、そして木村”HIRO”洋幸氏が活き活きとする姿に、自分が当時歌っていたときの思いは間違ってなかったと確信。いや、その経験がなくとも、聴くと元気を貰えるような作品集です。

 

15年ぶり(!)のアルバムとなる『They That Wait』は2曲のインストゥルメンタルを含む全9曲入り。昨年アメリカからゴスペル界の大御所、カート・カーを招聘したHIRO氏による作品は本場アメリカと遜色ない音が堪能出来ます。例えばグラミーをはじめとする授賞式やスーパーボウル等のパフォーマンスでみられる、原曲に厚みをもたらすバンドアレンジが施され、聴き手そして歌い手をより高揚させるのです。タイトルトラックは冒頭から転調を繰り返して双方を牽引、またゴスペル界のゴッドファーザーことティモシー・ライトのカバーで長年クワイアのレパートリーとなっている「Come Thou Almighty King」ではソプラノ、アルト、テナー各パート毎に魅せるシーンも。バンドアレンジ、転調そしてパート毎のパフォーマンス…今のゴスペル音楽の基本、格好良さが詰まっています。

さらにはベートーヴェン歓喜の歌」のゴスペル版で、映画『天使にラブ・ソングを2』でも用いられた「Joyful Joyful」等、トラディショナルなゴスペル曲のカバーも収録。「Joyful Joyful」の合間にはマイケル・ジャクソン「Beat It」っぽいフレーズを交え、遊び心もみられます。この曲にはキーボードとして、直近のDA PUMPライブツアーの音楽を単独で支え、三浦大知さんのツアー等への帯同経験もあるGakushiさんが参加(GakushiさんについてはDA PUMP、堂本剛=ENDRECHERIらの音楽支えるキーボーディスト Gakushiの存在感 - Real Sound(9月2日付)をご参照ください)。彼の起用が定番曲をよりソウルフルに仕立て上げていると言えそうです。

リプライズやプレリュードの、前後曲とは趣向の異なるアレンジにも豊かな音楽性を感じるほか、前作『Unconditional Love – 無条件の愛 -』(2004)に収録された「主の御名をたたえよ」の英語版である「I Will Sing My Praises To The Lord」は1990年代のR.ケリーによる聖なる名曲の数々を彷彿とさせるスロウ。美しく大団円を迎えます。

 

伝統的なゴスペル曲と自作曲を主体に作り上げた『They That Wait』は今のゴスペルの音を知るのに最適な作品集。クワイアの充実っぷりも垣間見られます。HIRO氏には是非とも日本のゴスペル界を牽引し、作品と共に希望を伝播してほしいと願っています。

3組以上参加、全て主演のコラボレーションは海外で続々、そして日本でも

先週金曜、注目の映画からの先行曲が同日リリースとなりました。

アリアナ・グランデマイリー・サイラスラナ・デル・レイ「Don't Call Me Angel」

マックス・マーティン一派が制作に関わる、映画『チャーリーズ・エンジェル』(リブート版)からの先行曲。アリアナ、マイリーときてラナ・デル・レイ?と一瞬疑問を覚えるも、曲を聴けばその起用法は納得ですね。そのラナは、BBCのラジオ番組でアリアナの「Break Up With Your Girlfriend, I’m Bored」をカバーし(→Youtube)、アリアナが好反応を示しています(→Twitter)。 

・ミーゴス、キャロルG、ロック・マフィア&スヌープ・ドッグ「My Family」

CDアニメとなって帰ってくる『アダムス・ファミリー』からの新曲。チャート常連のミーゴスやベテランのスヌープを配した楽曲はトラップやラテンの要素が自然に混ざり合い面白いですね。さらにこの映画のサウンドトラックにはクリスティーナ・アギレラの新曲も収められる模様です。

 

主に映画においてはこのような3組以上、主演と客演の関係ではなく全組が主演として併記されたコラボレーションが多く見られます。先日のMTVビデオ・ミュージック・アワードでのライブが印象的なミッシー・エリオットが手掛け、クリスティーナ・アギレラの超絶歌唱できっちり締めた「Lady Marmalade」も映画『ムーラン・ルージュ』(2001)用にカバーされたもの。全米1位を獲得しました。

R&B主体で3組以上の女性歌手によるコラボレーションに関してはこの「Lady Marmalade」も含め、以前取りまとめています。

さらにはこのようなのも。

マドンナとブリトニーのキスシーンが有名ではありますが、サプライズも含め、アメリカの授賞式ならではのコラボレーションと言えそうです。

 

3組以上、映画絡みのコラボレーションは日本でも。今週水曜、映画『HELLO WORLDサウンドトラックがリリースされ、音楽を手掛ける2027Soundは『OKAMOTO'Sをハブとして集まったOfficial髭男dism、Nulbarich、OBKR(小袋成彬)、Yaffle、STUTS、BRIAN SHINSEKAIらによるプロジェクト』(『』内は下記音楽ナタリーの記事より)。なのですが、楽曲リストをみると3組以上のコラボレーションはほぼみられません

一方、2027Soundに参加する小袋成彬さんは、今夏ラジオを中心にチャートを賑わせたこの3組のプロジェクトにクレジットされています。

厳密には小袋成彬さんはトラックメイカーではあるのですが、こういう3組以上の併記は日本ではあまりみられません。音楽ジャーナリストの柴那典さんは「Summertime」の楽曲解説で『この曲のあり方が“クリエイティブが国境を超える新たなJ-POPのあり方”の可能性の端緒になるのではないか』と記載していますが(『』内はRIRI×KEIJU×小袋成彬「Summertime」が示す、新たなJ-POPのあり方 3つのポイントから解説 - Real Sound(4月17日付)より)、楽曲の質等に加えて歌手同士の主演としてのコラボレーションおよび歌手名併記という形も新たなJ-POPのあり方になっていくという予感がします。今後この形でのコラボレーションが触れるならば嬉しいですね。

竹内まりや、矢沢永吉、テイラー・スウィフトそしてトゥール…四者四様のアルバム販売戦略が面白い

今週の日本、そしてアメリカの音楽チャートではベテラン歌手がアルバムチャートワンツーを決めています。そんな彼らの販売戦略はそれぞれ特徴的で実に面白いのです。

 

まずは9月16日付ビルボードジャパンアルバムチャートを制した、竹内まりや『Turntable』。

アルバムは初回限定盤として『イラスト・ヤマザキマリによる別冊「まりやちゃん special book〈全28Pブックレット予定〉」封入+三方背BOX仕様』(上記サイトより)となっていますが、DVDは同梱されず実質1種と言ってよいでしょう。販売店/サイトで異なる購入特典が用意されているのですがこれは他の歌手でもよくみられます。興味深いのは、来月リリースのシングル「旅のつづき」との連動特典として、来年開催されるライブへの招待企画が用意されていること(詳しくはRELEASE | 竹内まりや 40th特設サイトをご確認ください)。ライブ開催は貴重ゆえ、観たいという方は多いはずです。

 

同日発売でビルボードジャパン2位発進、矢沢永吉『いつか、その日が来る日まで…』については5種でのリリース。

CDのみの通常盤に加え、初回限定盤は2種類の映像盤が同梱。AとBそれぞれBlu-rayとDVDの双方が用意されており、実質3種といえます。1970~90年代の厳選されたライブ映像が初回限定盤A、2000年代以降のが同Bに収録され、ファンはAとBを共に購入することで映像をコンプリート出来ます。竹内まりやさん同様に販売店/サイトで異なる購入特典が用意されていますが、ハンカチタオルやフェス撮り下ろし写真等バラエティに富んでいます。さらにはこちらもライブ招待企画が用意され、締切は本日いっぱい。

この『いつか、その日が来る日まで…』は9月16日付オリコン週間アルバムランキングを制していますが、前作『Last Song』(2012)が初週売上5.5万枚だったのに対し(【オリコン】矢沢永吉、歴代最多50作アルバムTOP10 | ORICON NEWS(2012年8月7日付)より)、今作は倍以上となる11.2万枚を初週に記録(矢沢永吉、最年長でのアルバム1位「ジワジワと喜びを実感」【オリコンランキング】 | ORICON NEWS(9月10日付)より)。前作は実質1種(通常盤に加え、Tシャツ付の初回限定盤が用意されていた)ゆえ、倍増したのはファンの多くが2種購入しただろうことが大きいと言えそうです。ちなみにビルボードジャパンアルバムチャートのルックアップでは竹内まりや『Turntable』が2位に対し、『いつか、その日が来る日まで…』は4位となっています。

 

『Turntable』および『いつか、その日が来る日まで…』は共にダウンロード未解禁。ストリーミングもほぼ同様であり(唯一、矢沢永吉さんについてはアルバム収録曲「魅せてくれ」が解禁されています→Apple Music)、接触するには共にレンタル開始を待つ必要がありますが、『いつか、その日が来る日まで…』は矢沢永吉さん自身が立ち上げたインディレーベル発のため、レンタル解禁は通常の17日後とは限りません。現段階でTSUTAYAでレンタル検索してもアルバム自体出てこないため、しばらく解禁はないものと思われます。

 

一方のアメリカ。最新9月14日付アルバムチャートで2位にランクインしたのはテイラー・スウィフト『Lover』でした。前週は初登場で1位となり、今年最高のユニット数を獲得しています。

初登場時のユニット数は86.7万。うち単曲ダウンロード、ストリーミング再生それぞれのアルバム換算分を除くと67.9万枚のセールス。今作からストリーミングを同日解禁したことが影響してか、初週121.6万を売り上げた前作『Reputation』(2017)に比べて純粋なアルバムセールスが下がってはいますが、それでもしっかりヒット。セールスにおけるダウンロードとCDの比率は判りかねますが、テイラー・スウィフトは『Lover』の限定盤CDを、大手小売店のターゲットのみで販売しています。

上記はバージョン1であり、他3バージョンも上記リンク先で紹介。初回限定盤には『テイラーが小さいころからずっと書き続けている日記のコピー』が封入(テイラー・スウィフト、新曲「The Archer」をリリース! インスタグラムの生配信でテイラーが語ったこととは…?[音源・動画あり] | tvgroove(2019年7月24日付)より)、さらに各バージョンで異なるポスターも。コアなファンならば全種手に取るのは間違いなく、tvgrooveの記事内では全種類を持ったテイラーの写真(インスタグラムに掲載)が紹介されています。

 

そのテイラー・スウィフト『Lover』を破り、最新米ビルボードアルバムチャートを制したのはトゥール『Fear Inoculum』。

初動ユニット数270,000のうちアルバム・セールスが248,000枚と、昨今主流になっているライブ・チケットの還元やグッズ販売による売上がないながら、25万枚近くを売り上げた『フィア・イノキュラム』は、2019年のロック・アルバム最大初動ユニットを記録。この記録は 2018年6月23日付チャートで292,000ユニットを獲得したデイヴ・マシューズ・バンドの『Come Tomorrow』以来最大で、セールスのみの記録としても同作の285,000枚以来、最大の売上となる(なお、『Come Tomorrow』の売上にはライブ・チケット連動あり)。

近年はライブチケットやグッズ付き等の販売施策を実施する歌手が多いのですが、『Fear Inoculum』はそれらを同梱する手法は採らず。一方で『Fear Inoculum』はダウンロード、ストリーミングも同日解禁し、ストリーミング再生のアルバム換算分は21000に。この数値は『ストリーミングが弱い傾向のあるロックバンドとしてはこの数は好調な結果と言える』とのこと(『』内はビルボードジャパンの特集記事より)。『Fear Inoculum』リリースの1ヶ月前に過去作をストリーミング解禁したことが、今作のデジタルが好調に推移した要因ではないでしょうか。

一方、CDとしては1種のみの販売ながら、その仕様が豪華なのです。

初回のみの完全生産限定盤はCD、ブックレットに加えて4インチ・サイズの液晶スクリーン付き動画プレイヤーを搭載して、エクスクルーシヴな限定映像を収録、スピーカー&充電ケーブル付きという、前代未聞のパッケージ。近年、ダウンロードやストリーミングによって“音楽を所有する”ことが廃れつつあると言われるが、そんな風潮に真っ向から斬り込む仕様となっている。

後日通常盤CDもリリースされるそうですが、購入者の映像を見ると初回限定盤CD購入の意欲が高まろうというもの。45~50ドルで販売されていたというこのCD、日本では今朝の段階でAmazonでは2万円もの価格がついています。一方でダウンロードバージョンは3曲多く、その理由はインタールード的な3曲を抜かないと1枚のCDに入りきれないため(収録曲と各曲の尺については最近の楽曲の長さとToolのアルバムのこと - WASTE OF POPS 80s-90s(9月12日付)をご参照ください)。となると、初回限定盤を手にとってインタールードのために別途アルバム単位でダウンロードしないとという懸念はありますが、たとえばiTunes StoreをみるとCD未収録曲は全て単曲でダウンロード可能となっています。

 

 

今回紹介した4組はいずれもフィジカルに重きを置いていますが、その売り出し方は四組四様。CDが売れなくなったとされる今の時代にあって、非常に興味深い戦略ではないでしょうか。コアなファンならば複数枚購入することでしょうが、たとえばファンというわけではないものの曲等に興味はあるライト層ならばどの売り出し方が手にしやすいか、逆に自分が歌手側ならばどの販売戦略を採るか、そしてデジタルはどう扱うか…これらを考えてみるのも面白いかもしれません。

森口博子『GUNDAM SONG COVERS』がデジタル解禁するも、デジタルやレンタル環境の改善が必要では

8月7日にリリースされ、アルバムチャートを好評に推移する森口博子GUNDAM SONG COVERS』が、今週水曜にデジタル解禁されました。

下記はApple Musicのリンク先を貼付したもの。

画面では【このアルバムはまだリリースされていません】との表示が出ています(しかしながらきちんと解禁されています)。表示の理由は、CDにボーナストラックとして収録されていた「宇宙の彼方で」(シングルとしてのリリースは2016年)がデジタルにおいては省かれているからかもしれません。またiTunesでは現段階において、アルバム単位での購入が出来ません。

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通常はジャケットの横にアルバム単位での価格が出るはず。これに不満を表明するレビューには心から同意することが多いですね。

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デジタル未反映ながら、『GUNDAM SONG COVERS』は一定の成果を上げています。

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最新9月16日付ビルボードジャパンアルバムチャートでは12位に登場した『GUNDAM SONG COVERS』。構成指標のうちアルバムCDセールスは7位にランクイン。またパソコン等に取り入れた際のインターネットデータベースへのアクセス数を示すルックアップも、3週目以降上昇に転じており最新週では24位に入っています。なおビルボードジャパンアルバムチャートはアルバムCDセールス(上記CHART insightでは黄色の折れ線グラフ)、アルバム単位でのダウンロード(紫)およびルックアップ(オレンジ)の3つの指標で構成されており、総合チャートはCHART insightにおいて黒の折れ線グラフで表示されます。

 

アルバムの評判が高まるとセールスに反映されますが、セールスと同じくらい、いやむしろそれ以上にレンタル増加に伴うルックアップ上昇が見られてもおかしくはないのです。しかしそれを阻む要因が。

CDが売切しているところが少なくなく入荷待ちの状況にあること、そして評判の高さゆえにレンタルへのニーズは高いはずですが、レンタル解禁直後はレンタル店舗での在庫数がほぼありませんでした。レンタル解禁直後の状況は上記ブログエントリーに記載しましたが、現在でもその状況はあまり改善されていません。

ただ、”あまり”と書いたのは一部店舗で遅ればせながら導入されはじめたため。自分の住む地域の近隣店舗でみると、GEO弘前安原店では先週末から導入され、GEO黒石東町店等にも在庫が確認出来ます。GEOアプリでは近隣店舗の在庫状況が”レンタル可” ”貸出中”および”取扱なし”で表示され、非常に見やすくまた探しやすい一方、解りにくいのはTSUTAYAアプリ。一見して判断しにくい表示内容(見分け方は以前のブログエントリーをご参照ください)で確認すると、自分の住む津軽地区はおろか、東北の旗艦店であるMORIOKA TSUTAYAでも未だ入っていない模様です。GEOが後からでもきちんと導入する姿勢を示していたのとは正反対の動き、且つ模範となる店舗でもこの状況ではチェーン全体で流行を追う嗅覚が鈍っているのではと思ってしまいます。明日土曜はレンタル解禁作品が多いゆえ、そのタイミングで導入する店舗があることを信じたいものです。

 

デジタルでの解禁は所有や接触の方法が増えて嬉しいものの、ダウンロードがアルバム単位で購入出来ないため最悪の場合アルバム単位でのダウンロード(指標)に反映されないこと、また未だにレンタル在庫数が少なくルックアップが上昇しにくいことを踏まえれば、来週水曜に発表される9月23日付ビルボードジャパンアルバムチャートで『GUNDAM SONG COVERS』の順位が急上昇するのは難しいかもしれません。

森口博子さんは自身のブログでオリコンランキングトップ10入りを何度か記載しており、たしかにビルボードジャパンより高い順位にある(最新9月16日付ではビルボードジャパンより高い9位にランクインしている)ため取り上げたくなる思いは解ります。無論素晴らしいことなのですが、仮に森口さんが出場経験のある『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)への復帰を切望するならば、ビルボードジャパンのチャートも強く意識していただきたいと思うのです。なぜなら、”紅白”の出場条件はオリコンよりもビルボードジャパンが重視されると思われるため。

アルバムの話題性、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』がNHK総合で今年放送されたこと、『GUNDAM SONG COVERS』の選曲基準となる総選挙がNHKBSプレミアムで放送されたこと等を考えれば、個人的には現段階でも十分紅白はあり得ると思っています。ですがそれを当確にまで押し上げるためには、レコード会社が働きかけてでもレンタル店舗に在庫を置いてもらいルックアップを強化したり、アルバム単位でのダウンロードを可能にしてダウンロード(指標)に反映させる体制を整えることで、複合指標によるビルボードジャパンアルバムチャートで結果を出すことが必要ではないでしょうか。未だ紅白で披露されていない「水の星へ愛をこめて」を大晦日に歌ってくれたなら…そう思う方は少なくないはずです。