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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

乃木坂46首位獲得もダウン傾向? 「馬と鹿」は「Lemon」に勝てていない? 9月16日付ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

今週から、毎週木曜は前日に発表される最新ビルボードジャパンソングスチャートの上位陣をざっと、でも深く振り返ることとします。曲単位での掘り下げは金曜以降に。

 

 

9月2~8日を集計期間とする、9月16日付のビルボードジャパン各チャートが昨日発表。ソングスチャートは乃木坂46「夜明けまで強がらなくてもいい」が制しました。

デジタル1週間先行でリリースし前週15位につけていた曲が首位に。シングルCDセールスがミリオンを突破し同指標を制したのみならず、ルックアップおよびTwitterが1位、ラジオ4位、ダウンロード9位と5指標でトップ10入り。シングルCDの『初週売上は前作よりも約4万枚少ないが、ラジオとTwitterは前回を上回る』状況となっています(『』は上記記事より)。

一方で、シングルCDセールスに係数が用いられるようになった2017年度以降、「インフルエンサー」がシングルCDセールス初加算週に39010ポイントだった以外はすべて4万ポイントを超えているのですが、今回「夜明けまで強がらなくてもいい」は41197ポイント。4万1千点台は昨夏の「ジコチューで行こう!」および今年のシングル2作が該当し、ここ最近の作品に偏っています(なおシングルCDセールス初加算週の最高ポイント獲得作品は「シンクロニシティ」の45209ポイント(2018年5月7日付))。特典イベントでシングルCDセールスが大きく左右されるとはいえ、ポイントの推移をみると懸念を抱いてしまう自分がいます。次週、シングルCDセールス加算2週目のポイント推移に注目です。

 

懸念といえば、前週首位を獲得したKing & Prince「koi-wazurai」は14位に大きく後退しています。

シングルCDセールス初加算週は全て1位だった彼らの2週目の動向は、「シンデレラガール」が4位(ポイント前週比21.6%)、「Memorial」が6位(同14.1%)、「君を待ってる」が11位(同11.4%)、そして今作が14位(同11.7%)。「koi-wazurai」は「君を待ってる」よりもシングルCD2週目のセールス、総合ポイント、ポイント前週比で上回ってはいるのですが、仮に弊ブログで先週指摘した未解禁のダウンロードが解禁されていたならばもう少し伸ばせたのでは?という思いに駆られています。

 

2位に再浮上したのは米津玄師「馬と鹿」。ミュージックビデオ解禁に伴う動画再生初加算が大きく影響しました。

以前「Lemon」と同様のスケジュールでダウンロード解禁の2週後にミュージックビデオを解禁しその2週後にシングルCDが出るのでは?と推測したのですが、今回はダウンロード解禁のおよそ3週後、シングルCDリリースの前週にミュージックビデオが登場する形となりました。解禁が9月3日火曜となり集計期間1週間フルでなかったこともあってか、実は動画再生指標制覇には至れず2位に。昨年以降「Lemon」や「海の幽霊」、また未だ音源化されていない「パプリカ」が動画再生初加算週に首位をマークしているのですが、後述する曲に敗れてしまいました。

次週、「馬と鹿」はシングルCDセールス初加算週となり大幅なアップが期待されます。しかし「Lemon」に比べてポイントが芳しくありません。「Lemon」はダウンロード解禁に伴い昨年2月26日付で25359ポイントを獲得し2位に初登場、その後13461ポイント(2位)→17755ポイント(動画再生初加算 2位)→14697ポイント(3位)→37407ポイント(シングルCDセールス初加算 2位)と推移しているのに対し、「馬と鹿」はダウンロード初加算の8月19日付で17437ポイントを獲得し2位に初登場して以降、7059ポイント(4位)→5697ポイント(5位)→11337ポイント(動画再生初加算 2位)と、「Lemon」に大きく水をあけられています。シングルCDセールスは「Lemon」を超える可能性が高く、次週のポイントは前作のシングルCDセールス初加算時を超える可能性もありますが、同日シングルCDをリリースした嵐「BRAVE」が発売日にレンタル開始されたのに対し、「馬と鹿」のレンタル開始は発売の17日後。「馬と鹿」のレンタルによるルックアップが見込めないことも次週のチャートアクションに影響しそうです。

 

さて、「馬と鹿」の動画再生1位を阻んだのはフィッツ&ザ・タントラムズ「HandClap」でした。

「馬と鹿」の動画再生が7665125回に対し、「HandClap」は7964750回。『この曲に合わせてハンドクラップするダンスダイエット動画がTikTok動画で使用されて爆発的に閲覧数を伸ばし、YouTubeでも火が付いて“JAPAN HOT 100”にチャートイン、続いてストリーミングやダウンロードにもその影響を及ぼしつつある』と上記ビルボードジャパンの記事にもありますが、実際ストリーミングも今週遂に300位以内に入り、動画再生の多さが他指標にも波及しつつあります。この「HandClap」については7月20日のブログエントリーで言及していますが、好いものや楽しいものを取り入れる姿勢は万国共通だということがよく解ります。

 

ソングスチャートトップ20、言い換えれば有料会員にならずともCHART insightで確認出来る範囲でみると、miwa「リブート」が1ランクアップし15位に。この曲についても前週言及しましたが、レンタル開始に伴うルックアップ増加の”ブースト”は少なからず効果的だったものの。

一方で「リブート」は今週ストリーミング9位となり、miwaさんのキャリア史上最高位を獲得。様々な形で接触されはじめており、ロングヒットの可能性も十分です。

 

今週のトップ10はこちら。

次週は先述したように、シングルCD同日発売となった嵐「BRAVE」と米津玄師「馬と鹿」の争いとなることは必至。シングルCDセールスでは嵐が優勢でしょうが、「馬と鹿」が主題歌となったドラマ『ノーサイド・ゲーム』(TBS 日曜21時)が今週最終回を迎えることがプラスに作用することは間違いありません。

事実、今回のソングスチャート集計期間最終日に最終回を迎え高視聴率を獲得した『あなたの番です』(日本テレビ)の主題歌、主人公の田中圭さんが演じる手塚翔太名義での「会いたいよ」がシングルCDセールス初加算も相俟って10位に入ったのは、ドラマとの相乗効果と言えます。

(ちなみにこのミュージックビデオは期間限定公開とのことですが、至極もったいない気がします。ソニー・ミュージックには常時公開していただきたいと願います。)

嵐「BRAVE」と米津玄師「馬と鹿」の結果がどうなるか、次週に注目です。

イギリスで7週1位ながら米ではトップ10入り目前で足踏み…ルイス・キャパルディ「Someone You Loved」

チャートではちょくちょく、”足踏み”という現象を目にします。ビルボードジャパンソングスチャートにおいて今夏最大のヒットと言えるOfficial髭男dism「Pretender」は通算4週2位を獲得しながら未だ首位には至れず。また象徴的だったのは昨年のDA PUMP「U.S.A.」で、通算11週も2位を獲得しながら終ぞ1位にはなれずじまいでした。高いシングルCDセールスを獲得した作品が週間チャートを制するも他指標とのバランスが悪く翌週には後退、しかし同種の作品が週替りで登場するのがチャートの傾向ゆえか、長く愛される作品は年間チャートで上位に入りながらも”週間1位”というパッと見で評価されやすい成績を得にくいのです。

 

さて、似た動きがアメリカでも出ています。イギリスはスコットランド出身のルイス・キャパルディによる「Someone You Loved」は本国で今年2番目の長期政権となる7週首位を獲得し、海を越えてアメリカでもヒットの兆しではあるのですが、5月25日付で85位に初登場して以降、【80→70→58→55→54→53→46→36→26→20→18→17→14→11→13→11位】と推移し、トップ20内に7週連続で滞在しながら未だにトップ10入りを果たせていません。実際、前週(9月6日付)はテイラー・スウィフトがアルバム『Lover』初チャートインに伴い収録曲2曲をトップ10内に、今週はポスト・マローンが次週チャートイン予定のアルバム『Hollywood's Bleeding』から先行曲「Circles」を7位に送り込んだことで、ルイス・キャパルディ「Someone You Loved」は足踏み状態となっています。

ルイス・キャパルディ「Someone You Loved」をイギリスで大ヒットに導いたのはミュージックビデオの存在が大きく、ファンからいただいたメッセージがきっかけで生まれたこの作品が多くの感動を生みました。

この評判、更には元来ルイス・キャパルディの才能が認められていることが国外でのブレイクにもつながったかもしれません。ルイスはイギリスBBCが毎年選定する”BBC Sound Of”の2018年版ロングリストに選ばれています。

同リストからトップ5にこそ選ばれませんでしたが、同じくロングリスト止まりだったビリー・アイリッシュの大ブレイクを踏まえるに、このリストの重要性をアメリカのメディアも感じているのかもしれません。

 

さて、ルイス・キャパルディは米チャートの足踏み状態を踏まえてか、チャート上昇組が行う”仕掛け”を彼も実施しています。先月30日、自身が出演するミュージックビデオ第2弾を公開しました。

公開が米ビルボードソングスチャートのデジタル2指標集計期間初日となる金曜だったことで、最新9月14日付米ソングスチャートでは再び最高位の11位に到達し、ストリーミング(13位)とダウンロード(6位)は共に最高位を更新しています。

 

ただ、逆に言えば次週その効果が薄れる可能性も否定出来ません。また次週は先述したポスト・マローン『Hollywood's Bleeding』収録曲が大挙上位にエントリーする可能性があるため、一時的なダウンも免れないでしょう。まさかそのまま一度もトップ10入りならずにダウンという事態は避けてほしいものですが、果たしてどうなるかは誰にも分かりません。仮にトップ10入り出来なかったとしても、きちんと支持された曲として記憶にとどめておきたいものですし、年間チャートでの上位進出もあり得ます。実際アメリカでは週間最高11位ながら、2017年度年間チャートも11位というジェイムス・アーサー「Say You Won't Let Go」という例もあるのですから。

リゾ2連覇、ポスト・マローンは次週への準備万端…9月14日付米ソングスチャートをチェック

ビルボードソングスチャート速報。現地時間の9月9日月曜に発表された、9月14日付最新ソングスチャート。前週初の首位に立ったリゾ「Truth Hurts」が2連覇を達成、またポスト・マローンの新曲「Circles」がトップ10入りを果たしました。

Truth Hurts」は前週、2種のリミックスを投入したこと等が首位獲得の原動力となりましたが、その影響は今週も。ダウンロードでは前週比28%ダウンするも38000を獲得し同指標首位に。またストリーミングは同1%アップの3470万(同指標3位)、ラジオエアプレイは同6%アップの1億390万(同4位)となり、総合で首位の座をキープしています。

一方前週に引き続き2位となったショーン・メンデス&カミラ・カベロ「Señorita」もラジオエアプレイが上昇。前週比2%アップの1億950万を獲得し、同指標を制しました。ラジオエアプレイ首位はショーンが初、カミラにとってはヤング・サグを迎えた「Havana」が2017年から翌年に渡って4週首位を獲得して以来2曲目となります。

 

前週アルバム『Lover』が今年度最大のユニット数を獲得しトップの座に立ったテイラー・スウィフトは同週「You Need To Calm Down」を4位、「Lover」を10位に送り込みましたが今週は前者が12位、後者は23位と2曲ともトップ10落ち。代わりに2曲を送り込んで来たのは、来週アルバムがチャートに初登場予定のポスト・マローン。

先週6日にリリースされたサード・アルバム『Hollywood's Bleeding』からの先行曲である、ヤング・サグをフィーチャーした「Goodbyes」が2ランクアップし10位に返り咲くと共に、最新カットとなった「Circles」が7位に初登場。「Circles」はダウンロードが29000で同指標2位、ストリーミングは3080万で同5位、ラジオエアプレイは50位未満ながら1790万を獲得しています。「Circles」はポスト・マローンにとって8曲目のトップ10ヒットとなり、さらに初登場でのトップ10入りは6曲目。

・「Congratulations (feat. クエイヴォ)」

  2017年7月8日付83位初登場→最高8位

・「Rockstar (feat. トゥエニーワン・サヴェジ)

  2017年10月28日付2位初登場→最高1位

・「Psycho (feat. タイ・ダラー・サイン)」

  2018年6月16日付初登場2位→最高1位

・「Better Now」

  2018年10月6日付初登場7位→最高3位

・「Sunflower (Spider-Man: Into the Spider-Verse) (with スウェイ・リー)」

  2019年1月19日付初登場9位→最高1位

・「Wow.」

  2019年4月6日付初登場47位→最高2位

・「Goodbyes (feat. Young Thug)」

  2019年7月20日付初登場3位→最高3位

・「Circles」

  2019年9月14日付初登場7位

一覧を見ると、ポスト・マローンが如何に瞬発力が高いかが解りますし、「Circles」以外は最高位が初登場時より高くなっており、楽曲がきちんと支持されていることが伺えます。「Circles」のトップ10入りで今年のトップ10入り楽曲は5曲目となり、アリアナ・グランデの4曲を抜いて単独トップとなりました。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) リゾ「Truth Hurts

2位 (2位) ショーン・メンデス & カミラ・カベロ「Señorita」

3位 (3位) ビリー・アイリッシュ「Bad Guy」

4位 (6位) リル・テッカ「Ran$om」

5位 (5位) リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」

6位 (7位) クリス・ブラウン feat. ドレイク「No Guidance」

7位 (初登場) ポスト・マローン「Circles」

8位 (9位) エド・シーラン & ジャスティン・ビーバー「I Don't Care」 

9位 (8位) カリード「Talk

10位 (12位) ポスト・マローン feat. ヤング・サグ「Goodbyes」

次週はポスト・マローンのアルバム『Hollywood's Bleeding』が高位置に初登場することが見込まれており、「Circles」「Goodbyes」等がどこまで勢いを増すか注目。次週「Circles」が首位を獲得する可能性は低くないでしょう。

『ダンベル何キロ持てる?』オープニング曲「お願いマッスル」が今夏を代表するアニメソングのひとつに

ビルボードジャパンソングスチャートでこの1ヶ月以上ずっと気になっているのが紗倉ひびき(ファイルーズあい)、街雄鳴造(石川界人)による「お願いマッスル」。7月クールのアニメ『ダンベル何キロ持てる?』(TOKYO MX、アニメシアターX他)のオープニング曲が初登場以来6週連続でダウンロード指標トップ10入りを果たしています。

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最新9月9日付ソングスチャートでは41位ですが、初登場時にはダウンロード3位に入ったのみならずシングルCDセールス25位、ルックアップ22位となり総合でも13位を記録。ルックアップがシングルCDセールスと大差ないという成績はアニメタイアップ曲に見られがちですが、常時【シングルCDセールス<ルックアップ】という構図はこの曲の認知度上昇に伴う接触行動の増加と捉えることが出来ます。ストリーミング未解禁もルックアップ上昇の要因と考えられます。

ショートバージョンですがミュージックビデオも公開されており、公開から1週間で120万回を再生。

ちなみに、”肩に…乗せてんのかい!”はボディビル大会で実際に登場する掛け声だそう。

「お願いマッスル」のCHART insightにおける動画再生指標の未加算から解るように、ミュージックビデオが人気でもISRC未付番により同指標がカウントされていないのは実に勿体なく、付番されていたならば初登場時のトップ10入りは確実だったでしょう。なおISRC未付番による勿体無いチャートアクションといえばFoorin「パプリカ」が代表格であり、Foorin版「パプリカ」はビルボードジャパンソングスチャートで数万ポイントを逃した? ミュージックビデオをアップする際のISRC付番の重要性(8月10日付)に記載しています。

 

チャートの取りこぼしの件はあれど、なにより楽曲自体が楽しく且つ親しみが持てるのもヒットの理由でしょう。自分は一聴して、懐かしのディスコサウンドをモチーフにしたPUFFY渚にまつわるエトセトラ」(1997)を思い出した次第。また公式サイトではスペシャルコンテンツとして主演の紗倉ひびき役・ファイルーズあいさんがトレーニングに挑戦する【なかやまきんに君とファイルーズあいのナイスバルク!】も用意されており、アニメ本編と合わせて筋トレ知識を身につけた視聴者は少なくないでしょう。

ダンベル何キロ持てる?』をきっかけに筋トレをはじめた方のトレーニングBGMが「お願いマッスル」になれば、さらなるヒットも十分有り得そうです。

King & Prince「koi-wazurai」が前作超えの好スタートながら、加算されない指標が存在している

King & Princeの最新シングル「koi-wazurai」が好調です。最新9月9日付ビルボードジャパンソングスチャートで首位を獲得し、それも前作を上回るポイントを獲得しています。

シングルCDセールスおよびルックアップを制し、Twitter2位およびラジオエアプレイ8位と4指標がトップ10入り。初週のシングルCD売上枚数自体は前作「君を待ってる」の400315枚に及ばなかったものの、シングルCDセールス初加算週のポイントは前作の107.4%と伸びています。

ビルボードジャパンではシングルCDセールスを指標化する際、係数が用いられることがあります(詳しくは【Billboard JAPAN Chart】よくある質問 | Special | Billboard JAPANをご参照ください)。「koi-wazurai」も「君を待ってる」も3種販売のため、係数に違いが生じたとしても大きな差にはなっていないものと思われるのですが、では「koi-wazurai」が前作を上回った理由を探ってみるに、「koi-wazurai」には動画再生指標がわずかながら加算されているのです。

尤もこの1分間のティーザーはKing & Princeの、もしくはジャニーズ事務所が運営するレコード会社ではなく外部からリリースするジャニーズ事務所所属歌手が行っている手法であり、King & Princeにおいてはデビュー曲「シンデレラガール」(2018)で同指標が24位まで達しています。

その後、「Memorial」(2018)および「君を待ってる」(2019)では動画再生指標が300位以内に入っておらず、今作で再度同指標が加算されることに。前2作については下記に。

「koi-wazurai」のチャート構成比における動画再生指標は1%未満とみられ、同指標を差し引いたところで「君を待ってる」を上回るのですが、動画再生指標が8月26日付で90位まで上昇していたことを考えれば、動画を観て所有や接触に至った方が前作以上にいらっしゃるのではないかと考えます。

 

外部レコード会社とジャニーズ事務所運営レコード会社においては、ミュージックビデオのティーザーをYouTubeにアップする/しない、CDレンタル解禁日を発売と同日に設定する/アルバム同様17日後に遅らせる、という差が生じています。ダウンロードについてもレコチョク等一部サービスに限定しながら、外部レコード会社がフルバージョンでアップするのに対しジャニーズ事務所運営レコード会社は曲の一部のみの公開に。フルバージョンでアップすることが効果的なのは山下智久「CHANGE」で実証済であり、山下さんはソニー傘下のエスエムイーレコーズに所属しています。

しかしそのダウンロードについて、レコチョクをあらためて見てみるとKing & Princeの名前はありません。これには驚きました。

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(現段階での配信歌手一覧を掲載すべく、キャプチャを行いました。問題があれば削除いたします。)

デビュー順の所属歌手一覧についてはジャニーズ事務所 - Wikipediaをご参照いただき、レコチョクの一覧表と比較していただきたいのですが、少年隊やTOKIOの他、King & Princeも配信に参加していないのです。メジャーデビュー組で最も若手であるグループが抜けている事態には驚かされます。ちなみに、レコチョクでKing & Princeと検索して出てくる関連楽曲はこちらのカバーくらいでしょうか。

 

もしかしたらジャニーズ事務所側には、ダウンロードにOKを出すまでにメジャーデビューから数年が必要との決まりがあるのかもしれません。またKing & Princeの所属レコード会社は、ユニバーサルミュージックジャニーズ事務所がタッグを組んだ”Johnny's Universe”であることから(Musicman-net参照)、外部レコード会社ながらジャニーズ事務所運営レコード会社の方針が活きていることも想像出来ます。しかしながらさすがにダウンロード可能な楽曲が皆無というのは不自然ではないでしょうか。

とはいえ、たとえば嵐が今週リリースするシングル「BRAVE」は、ジャニーズ事務所運営レコード会社に所属しながら発売とレンタルが同日となっており(TSUTAYA参照)、King & Princeにおいても「BRAVE」同様例外的なケースなのかもしれません。だとしても、ダウンロード指標が加算されれば大先輩である嵐のポイントも抜けるポテンシャルを持ち合わせているだけに、King & Princeのダウンロード未解禁という設定はやはり勿体無いと思ってしまいます。

メディアへの有効な行動と、番組モニターの勧め(再掲)

私たちによるメディアへの有効な行動は、”直接、真摯に伝えること”です。

 

今週水曜の『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ 月-金曜18時)で、昨年に続いて放送された【高校演劇】特集。昨年の全国高等学校総合文化祭(総文祭)で演劇部門最優秀賞を受賞した香川県立丸亀高等学校『フートボールの時間』は来年の映画化が決まり、高校演劇を舞台にした漫画『まくむすび』も連載中で高校演劇界は盛り上がりを見せているのですが、今年の総文祭を振り返った特集の最後、今年の総文祭最優秀賞作品『ケチャップ・オブ・ザ・デッド』(逗子開成高等学校)が明日Eテレで放送されることを紹介した澤田大樹さんが話した内容に驚きました。

放送後のツイートでは”感じるものがあれば”としていますが、総文祭出場校を追ったドキュメンタリー『青春舞台』、そして最優秀賞受賞作品を紹介する番組が”存続の危機”とのこと。良質な(それも受賞という客観的な尺度があり、はっきりと良質であることが証明されている)作品が流れなくなる可能性を知り、悲しみを覚えた次第。

 

この打破のためには何が必要か…それは直接感想を送ることです。メールより手紙のほうがより思いが伝わりますが、メールであれど文字にしたためることが大事なのです。澤田さんも、そして昨日の同番組での放送内容振り返り企画で構成作家の妹尾匡夫さんも直接送ることが有効だと仰っていましたが、これは自分が過去に番組モニターになった経験からも強く実感しています。

番組モニターには報酬等のメリットもあれど、”好いものは好い、そうでないものはこうすればいいのでは?”をメディアに直接伝えられ、その提案が改善に導く可能性もあります。提案はポジティブな表現で行えるためメディア側も心開いて受け入れてくれます(というか、ネガティブな物言いは書類選考の段階で落とされます)。やり取りの中でメディアの方針も見え、その中で良方へ導くためにはどうするかを考えることで、いわゆる”ゴミ”という揶揄が如何に意味を成さないかも解ってきます。相手も人ゆえ、”直接、真摯に伝えること”は反省を促すことにも、後押しにもなるのです。

 

 

現在はメディア各局が10月からの番組モニター募集を行っているものと思われます(し、既に締め切っているところもあるでしょう)。またNHKでは来年度分を現在募集中(→NHK放送番組モニター募集)。『青春舞台』の存続希望の旨を伝え、また時間等に余裕があれば番組モニターに名乗り出てみてはいかがでしょうか。建設的な意見の提示は、潰す云々よりはるかに効果的なのです。

Superfly「愛をこめて花束を」が今週動画再生急浮上した理由も”UGC”だった

ビルボードジャパンソングスチャートを構成する8つの指標のうち、動画再生が突如増加する曲については弊ブログでその理由を解明してきました。

特にフィッツ&ザ・タントラムズ「HandClap」は先週と今週動画再生指標を制し、最新9月9日付総合ソングスチャートでも22位に。最高位を更新しているのは興味深いところです。

 

そんな動画再生指標を一気に駆け上がった曲が今週も。 

11年前にリリースされたSuperflyの代表曲。総合ソングスチャートでは長きに渡りランクインし、特に2015年1月12日付以降は常時300位以内、時折100位以内にも入っています。さらに今年度からカラオケ指標が導入され同指標で40位前後を保っていることで、より安定したチャートアクションを示すように。しかしながら今週、前週100位圏外だった動画再生指標が突如17位まで上昇し、総合でも97位に上昇したのです。

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ミュージックビデオは今夏1億回再生を突破した人気作品ではありますが、それだけの力ではないのではと思い調べてみると、この動画が突如人気になったからと考えられます。

(動画自体は結婚式のサプライズというプライベートな作品ゆえ、大きく貼り付けるのは控え、リンクの紹介のみにとどめます。)

この動画の投稿日は7月18日でしたが、このタイトルもしくはURLをTwitterで検索すると初めてつぶやかれたのが8月28日。その後数十件ツイートされていることから、動画を観た方の口コミで再生回数を伸ばしたといえます。この動画の詳細欄には「愛をこめて花束を」がクレジットされていることに加え、この動画のインスパイア源とされる動画(説明欄にリンク先有)にも楽曲がクレジットされていることから、今回の集計期間(8月26日~9月1日)内に口コミで2つの動画が多く再生されたことで「愛をこめて花束を」の動画再生指標が伸びたと結論付けていいでしょう。

歌手の公式YouTubeアカウント発ではない動画がビルボードジャパンソングスチャートの動画再生指標にカウントされるのは、先述したフィッツ&ザ・タントラムズ等同様に動画が”ユーザー生成コンテンツ(UGC)”に該当するゆえ。きちんと権利関係をクリアした動画がヒットすれば、チャートも上昇するというわけです。今後はこのようなヒットが更に増えてくることでしょうし、日本でも狙ってヒットさせることが出来るようになるかもしれません(出来ればそのような戦略に長けるようになっていただきたいと願うばかりです)。

 

最後に。カラオケ指標で上位に登場する楽曲は総合チャートでも安定傾向にありますが、楽曲の中にはストリーミングはおろかミュージックビデオもしくはダウンロードも用意されていない曲があり、Twitter等で話題になったとしても牽引される指標がないもしくは少ないためにチャートを上昇しにくい傾向があり、非常に勿体無いと感じます。またカラオケ指標の上位陣は変化に乏しいため、チャート自体の硬直性を招く遠因ではとも。今後のチャート改正(チャートポリシーの変更)時にカラオケ指標について再考してほしいという私見を書き添えておきます。