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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

イギリスで7週1位ながら米ではトップ10入り目前で足踏み…ルイス・キャパルディ「Someone You Loved」

チャートではちょくちょく、”足踏み”という現象を目にします。ビルボードジャパンソングスチャートにおいて今夏最大のヒットと言えるOfficial髭男dism「Pretender」は通算4週2位を獲得しながら未だ首位には至れず。また象徴的だったのは昨年のDA PUMP「U.S.A.」で、通算11週も2位を獲得しながら終ぞ1位にはなれずじまいでした。高いシングルCDセールスを獲得した作品が週間チャートを制するも他指標とのバランスが悪く翌週には後退、しかし同種の作品が週替りで登場するのがチャートの傾向ゆえか、長く愛される作品は年間チャートで上位に入りながらも”週間1位”というパッと見で評価されやすい成績を得にくいのです。

 

さて、似た動きがアメリカでも出ています。イギリスはスコットランド出身のルイス・キャパルディによる「Someone You Loved」は本国で今年2番目の長期政権となる7週首位を獲得し、海を越えてアメリカでもヒットの兆しではあるのですが、5月25日付で85位に初登場して以降、【80→70→58→55→54→53→46→36→26→20→18→17→14→11→13→11位】と推移し、トップ20内に7週連続で滞在しながら未だにトップ10入りを果たせていません。実際、前週(9月6日付)はテイラー・スウィフトがアルバム『Lover』初チャートインに伴い収録曲2曲をトップ10内に、今週はポスト・マローンが次週チャートイン予定のアルバム『Hollywood's Bleeding』から先行曲「Circles」を7位に送り込んだことで、ルイス・キャパルディ「Someone You Loved」は足踏み状態となっています。

ルイス・キャパルディ「Someone You Loved」をイギリスで大ヒットに導いたのはミュージックビデオの存在が大きく、ファンからいただいたメッセージがきっかけで生まれたこの作品が多くの感動を生みました。

この評判、更には元来ルイス・キャパルディの才能が認められていることが国外でのブレイクにもつながったかもしれません。ルイスはイギリスBBCが毎年選定する”BBC Sound Of”の2018年版ロングリストに選ばれています。

同リストからトップ5にこそ選ばれませんでしたが、同じくロングリスト止まりだったビリー・アイリッシュの大ブレイクを踏まえるに、このリストの重要性をアメリカのメディアも感じているのかもしれません。

 

さて、ルイス・キャパルディは米チャートの足踏み状態を踏まえてか、チャート上昇組が行う”仕掛け”を彼も実施しています。先月30日、自身が出演するミュージックビデオ第2弾を公開しました。

公開が米ビルボードソングスチャートのデジタル2指標集計期間初日となる金曜だったことで、最新9月14日付米ソングスチャートでは再び最高位の11位に到達し、ストリーミング(13位)とダウンロード(6位)は共に最高位を更新しています。

 

ただ、逆に言えば次週その効果が薄れる可能性も否定出来ません。また次週は先述したポスト・マローン『Hollywood's Bleeding』収録曲が大挙上位にエントリーする可能性があるため、一時的なダウンも免れないでしょう。まさかそのまま一度もトップ10入りならずにダウンという事態は避けてほしいものですが、果たしてどうなるかは誰にも分かりません。仮にトップ10入り出来なかったとしても、きちんと支持された曲として記憶にとどめておきたいものですし、年間チャートでの上位進出もあり得ます。実際アメリカでは週間最高11位ながら、2017年度年間チャートも11位というジェイムス・アーサー「Say You Won't Let Go」という例もあるのですから。