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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

SHIBUYA TSUTAYAのリニューアルに伴う、実店舗のフィジカルレンタルの行方を危惧する

先週発表されたSHIBUYA TSUTAYAのリニューアル、そのアナウンス内容について私見を述べるならば、フィジカルレンタルに関しては様々な不安を抱かずにいられません。

『SHIBUYA TSUTAYA』はリニューアルに伴い2023年10月31日から全フロア改装工事に入ります。これまでレンタルサービスとして提供をしていた貴重な映像作品(VHSを除く)や、サブスクリプションサービスでは未配信の音楽作品は、2024年春にネット宅配レンタルサービス「TSUTAYA DISCAS」にて、レンタル可能になる予定です。

 

不安のひとつとは、実店舗におけるDVD/CDといったフィジカルレンタルという形態の終了。このことはビルボードジャパンソングチャートにおけるルックアップ指標の昨年度での廃止からも予想できたことでした。詳細は下記エントリーをご参照ください。

そして、昨年はこちらのエントリーも記載しています。

自分の最寄りであるTSUTAYA弘前店のみならずその周辺店舗でも、全国から集まったレンタル使用のCDやDVDが販売されています。現在でも弘前店において数度目となるこの企画が実施されていますが、販売価格220円の段階でも(以前に比べて)有名な歌手の作品が多く残っている状況です。そしてそのコーナーに集まっているのは中高年層であり、若年層のほぼ不在という状況は象徴的だと感じます。

TSUTAYAのアナウンスからは、SHIBUYA TSUTAYAで扱っていたフィジカルレンタルについては同じように全国を回り、サブスクにない作品だけがTSUTAYA DISCASに移行すると読み取ることが可能です。加えて店舗のリニューアルより、フィジカルレンタルという業態はほぼなくなっていくでしょう。これまでその形態を続けてきた店舗でも、SHIBUYA TSUTAYAのアナウンスがその意志を変えるきっかけになると感じています。

(ちなみに先述した昨年のエントリーには、定期的にアクセスがみられます。ともすればこのTSUTAYAによるフィジカルレンタルの中古販売について、その内容のみならずフィジカルレンタルの"行く末"についても考えている人が少なくないのかもしれません。)

 

もうひとつの不安は、"サブスクリプションサービスでは未配信"という定義について、その基準が曖昧な気がします。解りやすい例として、Kis-My-Ft2を取り上げます。

Kis-My-Ft2は一部作品限定ながらLINE MUSICのみにて配信を開始し、期間限定と謳いながら2年経った現在もそのままの状況。そして今月には最新曲「ともに」が解禁されたばかりです(LINE MUSIC内、Kis-My-Ft2のページはこちら)。

TSUTAYA側の今回のアナウンスからは、サブスク全面未解禁ではなく一部サブスクサービスでのみ聴取可能な歌手や作品におけるフィジカルレンタルの扱いがどうなるかが見えにくいと感じています。またKis-My-Ft2については当初サブスク解禁を期間限定としており、今後サブスクから引き上げる可能性もあります。この引き上げはKis-My-Ft2に限らず他の歌手でも起こり得る以上、その場合のレンタルの扱いが気になります。

 

最善は、歌手側がサブスクをいつ何時引き上げる可能性を考慮した上で、レンタル可能な全作品の在庫を抱えること(SHIBUYA TSUTAYAのフィジカルレンタル分をTSUTAYA DISCAS側にすべて移行すること)だと考えます。TSUTAYA DISCASを利用する者としては、人気作品ではなくともTSUTAYA DISCAS自体の在庫数が少ないという印象は拭えないため、尚の事です。

また、サブスク未配信の作品はレンタル可能になるとアナウンスすることで、サブスクを躊躇する歌手側のサブスク解禁への意識向上を止めさせかねないと危惧します。TSUTAYA DISCAS側で抱える在庫数に限界があるならば、逆にいっそすべてのフィジカルレンタル在庫を中古に回してもいいのかもしれません。

(ちなみに自分がTSUTAYA DISCASを利用するのは、サブスク未解禁作品だけ音源をほしいというわけではなく、より好い音で手元に置いておきたいというのが理由です。ともすればこの考え方自体少数派かもしれませんが。)

 

実際、TSUTAYA DISCASはサービス内容が悪化していると感じます。筆者は青森県津軽に住んでいますが、以前は発送の翌日夕方までに自宅に到着したフィジカルレンタルは、郵便局の都合により発送の翌々日昼に到着が変更となりました。ゆえに返却が1日遅れ、一回のサイクルもまた遅れます。それゆえ1ヶ月に借りられる分は減り、実質的な値上げとなっています。

遅延が郵便局の都合だとして、実質的な値上げに対するTSUTAYA DISCAS側からの回答からは価格見直し等の意志を感じることができませんでした。ともすればフィジカルのネットレンタル自体に消極的ではないかと考えるに、サブスク未解禁作品のTSUTAYA DISCASでのレンタル予定は、その意志に沿う形でシュリンクする可能性が高いのではと感じます。

 

 

不安の記載が先行する形となりましたが、SHIBUYA TSUTAYAのフィジカルレンタルの行方を注視していきます。