(※追記(7月8日8時13分):米ビルボードのツイートにおけるGlobal 200のトップ10紹介画像と実際の順位に違いがあり、前者が誤りと思われます(実際の順位はこちら。また米ビルボードは現時点で訂正した旨の発信を行っていないように思われます 後に変更の旨を発信しており、後にその内容を反映しました)。それを踏まえ補足、ならびに巻末に掲載した表を変更しています。)
(※追記(7月8日12時00分):元記事のリンクはそのまま、記事の巻末に訂正のアナウンスを掲載したことを確認しました(メールにて教えてくださった方に感謝申し上げます)。記事掲載データも変更がみられたことから、その内容を反映しました。)
現地時間の7月3日月曜に発表された、最新7月8日付米ビルボードソングチャート(集計期間:6月23~29日)。モーガン・ウォレン「Last Night」が10週連続、通算13週目の首位を獲得しました。
.@MorganWallen's "Last Night" adds a 13th week at No. 1 on the #Hot100, while @NICKIMINAJ and @icespicee_ debut at No. 7 with "Barbie World." https://t.co/sH116Ydqd0
— billboard (@billboard) 2023年7月3日
モーガン・ウォレン「Last Night」はストリーミングが前週比1%ダウンの2960万(同指標15週目の首位)、ダウンロードが同5%アップの8,000(同指標3位)、ラジオが同1%アップの7290万(同指標3位)を記録。13週以上の首位獲得曲は「Last Night」が14曲目となります。
「Last Night」は総合ソングチャートと計算方法を同一とするホットカントリーソングチャートにて21週目の首位を獲得。チャートがジャンルを包括的に反映するようになった1958年以降、ホットカントリーソングチャートにおいて「Last Night」は首位獲得週数が歴代6位タイに。最長首位獲得曲はビービー・レクサ & フロリダ・ジョージア・ライン「Meant To Be」の50週(2017-2018)となります。
また今年度のソング・オブ・ザ・サマーチャート(Songs Of The Summer)においては、「Last Night」が開始から5週連続で首位に立っています。
モーガン・ウォレンは、「Last Night」を含むアルバム『One Thing At A Time』が最新7月8日付米ビルボードアルバムチャートで通算15週目の首位を獲得。アルバムチャートおよびアルバム収録曲によるソングチャートの同時制覇は通算11週目となり、マイケル・ジャクソン『Thriller』を抜いて歴代3位となります。
<アルバムチャートおよび(アルバム収録曲による)ソングチャート 同時制覇作品>
13週 サウンドトラック『Saturday Night Fever』およびビー・ジーズ「Stayin' Alive」(4週)、ビー・ジーズ「Night Fever」(8週)、イヴォンヌ・エリマン「If I Can't Have You」(1週) (1978)
12週 ホイットニー・ヒューストン『The Bodyguard』(サウンドトラック)および「I Will Always Love You」 (1992-1993)
11週 モーガン・ウォレン『One Thing At A Time』および「Last Night」 (2023)
10週 マイケル・ジャクソン『Thriller』および「Billie Jean」(7週)、「Beat It」(3週) (1983)
トレイシー・チャップマンのカバーとなるルーク・コムズ「Fast Car」は2位をキープ。モーガン・ウォレン「Last Night」およびルーク・コムズ「Fast Car」のように、ふたつのカントリーソング(ホットカントリーソングチャートでも1位および2位にランクイン)が同時に総合ソングチャートにてワンツーフィニッシュを果たしたのは2週連続となります。その前に総合チャートでカントリー曲がワンツーを達成したのは、ドリー・パートン「9 To 5」およびエディ・ラビット「I Love A Rainy Night」の組み合わせによる1981年2月21日付からの3週間分まで遡ることとなります。
レマ & セレーナ・ゴメス「Calm Down」は3位をキープ。ラジオは前週比3%アップの9010万を記録し同指標2週目の首位に。また「Calm Down」は昨年4月に始まったU.S.アフロビートソングチャートで44週目の首位を獲得し、同チャートにおける最長首位獲得記録を更新しています。
ニッキー・ミナージュ & アイス・スパイス with アクア「Barbie World」が7位に初登場。映画『バービー』(米公開7月21日)のサウンドトラックに収録される同曲は、ストリーミング1620万、ダウンロード37,000およびラジオ470万を記録しています。
ニッキー・ミナージュは「Barbie World」にて23曲目のトップ10入りを果たし、女性ラッパーでは最多を更新。また女性歌手ではホイットニー・ヒューストンと並び歴代6位タイとなりました。トップ10ヒットはテイラー・スウィフトが40曲で最多となり、マドンナ(38曲)、リアーナ(32曲)、マライア・キャリー(28曲)、ジャネット・ジャクソン(27曲)と続きます。
アイス・スパイスは、同じくニッキー・ミナージュと共演した「Princess Diana」が今年4月に4位に初登場して以来となる4曲目のトップ10ヒットに。そしてアクアは「Barbie World」にサンプリングで用いられた「Barbie Girl」が1997年9月に7位を記録して以来となる2曲目のトップ10入り。ヨーロッパ発のこのグループのトップ10入りは25年9週と3週間ぶりとなります。このトップ10返り咲き期間の最長記録保持者はナット・キング・コールの59年6ヶ月と1週となり、2022年のクリスマスシーズンに「The Christmas Song (Merry Christmas To You)」がトップ10入りしたことで達成。ザ・ロネッツがクリスマスソング「Sleigh Ride」でその1年前に記録した58年2ヶ月の記録を更新しました。
クリスマスソングを除けば、アクアのトップ10入りカムバック期間は歴代6位、グループとしてはカルロス・サンタナをフロントとするサンタナに次ぐ歴代2位となります。いずれの歌手もコラボレーションによってトップ10にカムバックを果たしています。
<トップ10返り咲きまでの歴代最長記録 (クリスマスソングを除く)>
・オジー・オズボーン (30年と3ヶ月)
「Close My Eyes Forever」(with リタ・フォード)(1989) ~ 「Take What You Want」(ポスト・マローン feat. オジー・オズボーン & トラヴィス・スコット)(2019)
・ドビー・グレイ (30年2ヶ月と1週)
「Drift Away」(1973) ~ 「Drift Away」(アンクル・クラッカー feat. ドビー・グレイ カバーバージョン)(2003)
・ポール・マッカートニー (29年と2週)
「Spies Like Us」(1986) ~ 「FourFiveSeconds」(with リアーナ & カニエ・ウェスト)(2015)
・サンタナ (28年7ヶ月と2週)
「Black Magic Woman」(1971) ~ 「Smooth」(feat. ロブ・トーマス)(1999)
・ビリー・レイ・サイラス (26年と8ヶ月)
「Achy Breaky Heart」(1992) ~ 「Old Town Road」(リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス)(2019)
・アクア (25年9ヶ月と3週)
「Barbie Girl」(1997) ~ 「Barbie World」(with ニッキー・ミナージュ & アイス・スパイス)(2023)
「Barbie World」はダウンロード指標を制覇。ニッキー・ミナージュにとっては16曲目、アイス・スパイスは2曲目(ニッキー・ミナージュとの「Princess Diana」以来)、そしてアクアは初となります。オリジナルバージョン(”エクスプリシット”版)および”アメンデッド”バージョンが6月23日に、エクステンデッド、インストゥルメンタル、スピードアップ(”Sped-Up”)およびスローダウン(”Slowed-Down”)の各種バージョンが6月26日にリリースされています。
(※記事未掲載、且つ米ビルボードは公表していない模様ですが、次週以降ダウンロード指標から歌手のホームページにおけるデジタルダウンロードが加算されなくなるとみられています。このチャートポリシー(集計方法)変更については、米ビルボード、ソングチャートにおけるダウンロード指標のチャートポリシー変更を実施か…その内容と私見を記す(7月1日付)をご参照ください。)
最新のトップ10はこちら。
The #Hot100 top 10 (chart dated July 8, 2023)
— billboard charts (@billboardcharts) 2023年7月3日
[今週 (前週) 歌手名・曲名]
1位 (1位) モーガン・ウォレン「Last Night」
2位 (2位) ルーク・コムズ「Fast Car」
3位 (3位) レマ & セレーナ・ゴメス「Calm Down」
4位 (4位) マイリー・サイラス「Flowers」
5位 (5位) リル・ダーク feat. J.コール「All My Life」
6位 (6位) トゥーシー「Favorite Song」
7位 (初登場) ニッキー・ミナージュ & アイス・スパイス with アクア「Barbie World」
8位 (7位) テイラー・スウィフト feat. アイス・スパイス「Karma」
9位 (8位) シザ「Kill Bill」
10位 (9位) メトロ・ブーミン、ザ・ウィークエンド & 21サヴェージ「Creepin'」
米ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。7月8日付ではGlobal 200においてマイリー・サイラス「Flowers」が11週ぶりに首位返り咲き、Global 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.ではYOASOBI「アイドル」が6月10日付、7月1日付に続く通算3週目の首位を獲得しました。
なお、グローバルチャートでは後日データが訂正されています。下記リンク先の記事には『Correction: Due to chart reprocessing, ranks and/or data in the top 10 of the Global 200 noted above have been updated for “Flowers,” “Cupid,” “Calm Down” and “Cruel Summer.”』という記載があり、Global 200においてトップ10ランクイン曲の順位およびデータ、Global Excl. U.S.においてデータの訂正を行った旨が記されています。
ゆえに現時点にて、米ビルボードによるチャート発信アカウントからGlobal 200のトップ10紹介ツイートが削除されています。
.@mileycyrus' "Flowers" returns to No. 1 on the #Global200, while @YOASOBI_staff's "Idol" adds a third week at No. 1 on the Global Excl. U.S. chart! https://t.co/wG9F2TVNAU
— billboard (@billboard) 2023年7月3日
The Global Excl. U.S. top 10 (chart dated July 8, 2023)
— billboard charts (@billboardcharts) 2023年7月3日
(※追記(7月8日8時13分):米ビルボードのツイートにおけるGlobal 200のトップ10紹介画像と実際の順位に違いがあり、前者が誤りと思われます。実際の順位はこちらをご参照ください(なお米ビルボードは現時点で訂正した旨の発信を行っていないように思われます 後に変更の旨を発信しており、後にその内容を反映しました)。あわせて、巻末に掲載した表を変更しています。)
(※追記(7月8日12時00分):元記事のリンクはそのまま、記事の巻末に訂正のアナウンスを掲載したことを確認しました(メールにて教えてくださった方に感謝申し上げます)。記事掲載データも変更がみられたことから、その内容を反映しました。)
Global 200ではマイリー・サイラス「Flowers」が4月22日付以来となる首位到達。ストリーミングは前週比3%ダウンの4990万、ダウンロードは同1%ダウンの9,000を記録しています。これにより「Flowers」は通算13週目の首位となり、マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」と並び歴代2位タイとなる長期首位に。ハリー・スタイルズ「As It Was」が2022年に記録した15週が最長記録となります。
今年1月から4月にかけて通算12週首位を記録した「Flowers」ですが、10週のブランクを経ての首位返り咲きはクリスマスソング以外では最長記録となります(なおクリスマスソングは除いており、マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」はチャート開設となる2020年以降3シーズン連続で首位に立っています)。
Global 200ではテイラー・スウィフト「Cruel Summer」が16→9位となり、同曲初のトップ10入り。ストリーミングは前週比23%アップの3790万、ダウンロードは同20%アップの5,000を記録しています。2019年リリースのアルバム『Lover』収録曲となる「Cruel Summer」は現在、テイラーの最新シングルとしてプロモートされており、Global 200ではテイラーにとって15曲目のトップ10ヒットに。女性歌手では最多となり、またバッド・バニーの記録を抜き歴代単独2位に立っています。なおトップ10ヒット曲数はドレイクの28曲が最多となっています。
「Cruel Summer」はこの数週特に勢いづいていますが、注目されたのはテイラー・スウィフトのコンサートがきっかけ。これまでリリースしたアルバムを網羅するこのツアーにて、『Lover』期のパートで最初にこの曲が披露されています。
(上記はYOASOBI「アイドル」の英語詞版となる「Idol」。米ビルボードの記事では上記動画が掲載されています。)
Global Excl. U.S.ではYOASOBI「Idol」が前週に続き、通算3週目の首位を獲得。ストリーミングは前週比7%ダウンの3740万、ダウンロードは同7%ダウンの17,000を記録しています。日本語詞でリリースされたオリジナル版に英語詞版(「Idol」)が初加算されたタイミングで「アイドル」は初めてこのチャートを制し、日本語(をオリジナルとする)曲で初制覇を果たした作品となります。なお「アイドル」は、Global 200では7→8位に後退しています。
最後に。記事にはありませんが、補足資料としてJ-POPのグローバルチャートランクイン状況を以下に掲載します。