イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

聴取率調査に対する拭えない違和感を踏まえ、ビデオリサーチへの改善提案を記す

首都圏のラジオ局では明日から1週間、聴取率調査が行われます。この調査について、個人的には改善がみられていないと考え再度疑問を表明します。なお聴取率調査方法については、調査を実施するビデオリサーチに掲載されています。

 

このブログでは以前から、聴取率調査やその結果の開示について、疑問を呈してきました。

2年以上前にアップした上記エントリーでは、聴取率結果報道がビデオリサーチからではなく好調な聴取率を獲得した放送局からの発信にとどまっており客観性を欠くことを指摘しました。また聴取率調査時には通常番組を差し替える局が少なくなく、それでは通常番組の人気が読めないのではという疑問も、このブログにて指摘してきました。

上記リンク先は日刊文化通信速報の定期購読者のみが本文を確認できるのですが、見出しからは昨年12月度の調査結果としてニッポン放送(LF)が2022年8月調査以降、TOKYO FMが同年4月以降連続でトップに立ったことが解ります。Yahoo! JAPANでの”聴取率”ニュース検索(→こちら)ではふたつの放送局をメインとした調査結果報道は確認できるのですが、ビデオリサーチからの結果公表は見当たりません。

この2局については、聴取率調査週間時に通常番組を差し替える傾向が目立っていると以前から指摘しているのですが、ニッポン放送については来週末『オールナイトニッポン55時間スペシャル』を放送し、金曜夕方以降の通常番組がほぼなくなる形です。

オールナイトニッポン55時間スペシャル 17日午後6時から19日深夜1時まで55時間に及ぶ特番。45周年を迎えた13年にも45時間特番を放送している。17日のトップバッターはナインティナイン松任谷由実のゲストは黒柳徹子タモリのゲストは星野源明石家さんまのゲストは笑福亭鶴瓶など豪華コラボも話題。ほか、松山千春菅田将暉中居正広SixTONES福山雅治らが出演する。

下記はオールナイトニッポン55周年記念 オールナイトニッポン55時間スペシャル | オールナイトニッポン.com ラジオAM1242+FM93に掲載された番組表。今回の企画は番組の放送開始55周年を記念して行うものとのことですが、ならばちょうど55年に当たる2022年10月2日に行ってもよかったはずです。企画が聴取率獲得を目的とした意味合いも見えてしまい、差し替えられる番組のことも考えると複雑な心境を抱きます。

 


実際、聴取率獲得に向けて番組の差替を積極的に実施する放送局が優位に立っていることへの疑問もありますが、数字を追いかけるのは自然なことではあります。ならばラジオ聴取率調査について、以下の提案をビデオリサーチに対し行います。

<ラジオ局の聴取率調査に対するビデオリサーチへの改善提案>

聴取率調査はビデオリサーチが結果を広くアナウンスすること

radikoの数字も用意し、現行聴取率調査との複合指標から成る調査を公表すること

③ 奇数月等に抜き打ちで聴取率調査を実施すること

 

聴取率調査報道が好調な数字を獲得した局による主体的な発信になっていること(おそらくはそれぞれの局からのプレスリリースを発信する傾向)が、聴取率の客観的な見方を遮りかねないと考えるに、まずはビデオリサーチによる発信が必須と考えます。ラジオ個人聴取率調査|ビデオリサーチでは聴取率結果が見当たらず、聴取率は限られた方法でしか開示されていないことから、現行では先述した報道しか情報がないのです。

数字は放送局のためかもしれませんが、ならばテレビ視聴率はなぜ開示されるのかという矛盾が指摘されてもおかしくありません。まずは結果について調査会社がまずアナウンスすること、そして数字をある程度でいいので世間へ開示することを求めます。

 

radikoについては、実はビデオリサーチがデータを把握していることがラジオ365データ|ビデオリサーチから解ります。アナログな手法と言われる現行聴取率調査と合わせた数字を出すことは難しくないはずです。

テレビではリアルタイム視聴率以外にも録画視聴率や総合視聴率が存在し、特に総合視聴率からはドラマが実際人気であることが把握できます。またTVer等での見逃し配信により、特に昨秋は『silent』(フジテレビ)の人気が可視化されました。

複合指標で人気を図ることの重要性は、『silent』やビルボードジャパンを例に自分が以前寄稿した、紅白は音楽の“いま”を反映? ビルボードジャパンチャートとヒットの仕組み - Impress Watch(2月3日付)でも記しました。ビデオリサーチが『ラジオ個人聴取率調査の直近1年分の聴取率調査データと、同時期のradikoデータを用いて、日々のradikoデータからラジオ365データを推計して作成』しているならば、その一部でも広く世間に示すことが必要でしょう(『』内はラジオ365データ|ビデオリサーチより)。

 

そして聴取率調査週間に合わせて複数の局が対策の意味も兼ねたスペシャルウイークを実施していますが、抜き打ち検査は通常番組の、普段の放送局の真の聴取率が浮き彫りに成りやすいものと考えます。

 

 

いずれにせよ、現行の聴取率調査では強い対策を施し、通常番組を軽視していると思われかねない動きが目立ち、そしてそのような放送局が実際に数字を獲得していますが、果たしてそれがラジオ業界全体にとって好いことなのかと考えています。

ラジオにおいても複合指標で判断することが重要と考えます。そして旧態依然の方法を続けることで、少なくとも自分は業界の未来に対する不安が拭えないままでいます。