イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

TBSラジオの"スペシャルウィークやめます"宣言から考える、3つの願い

今週のラジオ業界は聴取率調査週間。今日からの1週間、東名阪のラジオ局が賑やかになります。各局が"スペシャルウィーク"と称して賑々しくお送りする中、首都圏放送局で103期(17年4ヶ月)連続で聴取率トップの座に君臨し続けるTBSラジオが、スペシャルウィークやめますと宣言。今日からも通常放送の形を採ります。

TBSラジオのホームページでもスペシャルウィークの宣伝はなし。現段階で、スペシャルウィーク|TBSラジオの頁をみると10月の内容が出てきます。

スペシャルウィーク終了の理由は『聴取率目当てでどれだけプレゼント攻撃を仕掛けようと、ラジオ業界に勢いが出ない現状』ゆえ(『』内は上記記事より)。またこれは私見ですが、たとえば過去のスペシャルウィークにおいて、通常放送にはないゲストが登場してもお送りするのがレギュラーコーナーだった場合、ゲストに時間や気を遣いすぎるあまりかコーナーの魅力が薄れるということがあり、ゆえに過度なゲスト作戦も排したほうが好いと思っていたところです。これはひとつに限らず、様々な番組で起きていたことです。

 

ちなみに、テレビ業界では視聴率至上主義が過ぎるゆえか、レギュラー放送回より長時間スペシャル(逆に他番組のスペシャル化による休止)が目立つ編成になっていますが、その中で10月からレギュラー化された『ポツンと一軒家』(テレビ朝日 日曜19時58分)は現在まですべての回で二桁視聴率を獲得。裏番組の問題(なのかどうかは判断が分かれますが)等あれど、『最近のテレビ局は長時間のスペシャル番組を連発して、視聴習慣を身につけさせられていないこと。テレ朝の日曜の編成もその傾向が強かった。その反省からなのか、『ポツンと一軒家』は10月7日の開始以来、毎週放送』(『イッテQ』やらせ報道で今後の視聴率への影響は?│NEWSポストセブン(11月17日付)したことが功を奏したならば、今後はドーピングのない視聴/聴取習慣が数字と信頼獲得の鍵になるのかもしれません。

 

そんなわけで、今日からはじまる聴取率調査週間は、王者TBSラジオと挑戦者とで態度が大きく異なります。しかしその双方やラジオ業界全体に対し"願い"があるゆえ、ここに記載します。

 

① 挑戦者たる放送局は無礼にならないでほしい

スペシャルウィークでよくみられるのが、豪華プレゼントや豪華ゲストというドーピングであることは書いてきた通り。しかし、最近では"レギュラー放送を休止してまでスペシャル番組をOA"という傾向もみられます。その最たる動きがニッポン放送。たとえば本日月曜については、通常『ココリコのオールナイトニッポンPremium』(月曜18時)だったものをビートたけしさん、"ほぼビートたけし"さんこと松村邦洋さん(および、双方とも相方として高田文夫さん)が担当。また今週の『オールナイトニッポンPremium』は全曜日20分延長されるため、平日20時30分からの20分枠が休止されるのです。21時台も同様に、中島みゆきさんのスペシャル等により『スポーツ伝説』以外が全て休止となってしまっています。

これでは休止されたレギュラー放送がどれだけの力を持っているかを数字で確認することが出来ません。また、差し替えられる番組が不憫でなりません。たとえばココリコ側にスケジュールでやむを得ない理由があったのかもしれませんが、スペシャルウィークに差し替えられるというのは局の都合だと想起出来るのは自然なことであり、以前から書いてきたことの再掲にはなりますが、ニッポン放送の姿勢がレギュラー放送を待っているリスナーにも、そしてレギュラー放送を担当する方に対しても失礼なのでは?と思わずにはいられません。そういう局が首位に君臨したところで、信頼度は生まれないのではと強く思います。

 

聴取率データはきちんと発表してほしい

これまではTBSラジオが、そしてTBSラジオが頂点に立つ前は首位の座にいた放送局が聴取率の結果を発表していましたが、TBSラジオ今年8月の調査結果を最後に結果を公表しなくなりました。10月の結果がトップだったことは上記記事や首都圏ラジオ10月聴取率/TBSラ首位 - 文化通信.comから解るものの、放送局や番組上位のランキングを知ることが出来なくなってしまいました。

数字はただの数字でしかない、営業用のツールでしかないと言われればそれまでですが、であればなぜ公表し続けてきたのでしょう。聴取する局や番組を決めるひとつの選択肢として、リスナーにも示すのが親切ではないかと思われますし、実際に聴く基準にしてきた人も少なくないはずです。聴取率首位の放送局の公表する/しないのスタンスに託すのではなく、調査機関であるビデオリサーチがで公表していただきたいものです。

 

radikoのデータも公表してほしい

日刊スポーツの記事では、『代わりに三村社長が番組作りの参照データとして注視するよう社内に通達したのが「ラジコ」のデータ』とあります。誰がどこからアクセスし、どの時間に聴かれた/聴かれなかったかはデジタルのradikoのほうが、従来のアナログ調査よりも精度が高いのは間違いないでしょう。

しかしながら、radikoが従来調査の"代わり"になると考え過ぎるのは危険かと。ラジオは車でも聴かれるメディアであり、radikoを立ち上げず従来のカーステレオで聴かれた場合は反映されません。そういったところを踏まえないといけないと思います(しかしながら、プロ野球中継から撤退したTBSラジオは、他社に比べればradikoデータがより参考にはなるのかもしれませんが)。

ならば、従来の聴取率調査、およびradikoデータの双方を参考にすべきと考えます。そして同時に、従来の聴取率調査が今後も発表され続けるならば、radikoのデータもある程度は発表していただきたいものです。

テレビ業界については視聴率イコール良質な番組とは限らないことは多くの方が実感していることでしょう。が、タイムシフト視聴も含めた総合視聴率が登場したことで、口コミで評判のドラマを中心にリアルタイム視聴率をはるかに超える総合視聴率を獲得してきている(リアルタイム<タイムシフトという事態も度々発生する)ことが分かってきました。テレビが複数の数値指標を用いることで人気作品の基準が変わってきたこともあり、ラジオも従来のアナログ調査とradikoデータの双方を参照することが大事でしょう。そして、従来の調査がリスナー側にも発表され続けて来たのであれば、radikoのデータも発表しないと不公平な気がします。

 

 

フェアな戦いをすること、数字は双方のデータを参照すること、そして数字をきちんと見える化すること…ラジオ業界が信頼を勝ち得るためにはこれらが必要だと考えます。