イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

2月に入り目立つ”ゴスペルとポップスの融合”…リゾやキエラ、ホイットニーによる作品を紹介

日本時間の今週月曜に行われた第65回グラミー賞については様々語りたいことがあるのですが、まずはリゾによる「Special」のパフォーマンスが文字通りスペシャルだったことについて、紹介しないわけにはいきません。

(グラミー賞のパフォーマンスは現段階で公開されていません。上記動画にてその一部を確認することができます。)

ビルボードソングチャートを制し、グラミー賞で最優秀レコード賞を受賞した「About Damn Time」を輩出したアルバムのタイトル曲、「Special」。オリジナルバージョンは先月、アルバムからのサードシングルとしてカット。そして昨日、現在アルバム『SOS』が大ヒット中のシザを迎えたバージョンをリリースしています。

グラミー賞で披露されたのは「Special」の、現段階では公式リリースされていないゴスペルバージョン。音源化を希望するほど、素晴らしく堂々としたパフォーマンスでした。リゾ自身が伝えるポジティブなメッセージは、ゴスペルと非常に相性が好いことを今回のパフォーマンスが証明したように思います。

 

 

私事ですが、かつてゴスペルクワイアで歌っていたことがあります。大所帯クワイアの一員として、レコーディングやコンサートも経験しています。R&Bが好きな自分がネガティブな出来事きっかけにてゴスペルを歌う場を知り、地元に帰るまでの短い期間ながら貴重な経験をたくさん積むことができました。

ゴスペルを歌うには説得力を身につけるべく改宗が必要と考えたこともありますし、そもそも宗教についてこれまで考えようとしていませんでした(クリスマスとお盆が同居する日本社会への疑問は強くありましたが)。歌ううちに、ゴスペルは歌う自分をポジティブにし、その姿を示すことで周囲にも光を与えるものだという結論に至りました。宗教音楽へ違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれませんが、これが自分の考えです。

クワイアから離れて以降もゴスペルを聴く機会は少なくありません。そして今月に入りゴスペル関連のトピックが何気に多いと感じ、今回のブログエントリーを記しています。

 

 

リゾのグラミー賞パフォーマンスを機に、とある音楽関係者がInstagramのストーリー機能にて紹介していたのが、キエラ・シェアード(メディアによってはキエラ・シアードと表記するところも)がゴスペルクワイアを従え先週リリースされた「We Found Love」。チャールズ・ジェンキンスの企画から誕生したこの曲は、日本時間の明後日開催されるスーパーボウルでハーフタイムショーに登場するリアーナのカバーなのです。

プロデュースしたカルヴィン・ハリスを客演に据えた「We Found Love」は2011年にリリースされ米ビルボードソングチャートを制覇、翌年の年間チャートでは8位に到達しています。ポップ曲のゴスペルカバーは時折見られますが、まさか「We Found Love」がカバーされるとは意外でした。しかし見事にゴスペル曲として成立しています。

キエラ・シェアードは”KiKi (キキ)”名義でリリースした「Let Go」が日本でラジオヒットし、来日公演も果たしています(なお当時、日本ではゴスペル歌手として紹介されなかったと記憶しています)。キエラは母親のゴスペル歌手、カレン・クラーク・シェアード(クラーク・シスターズ)と共演する等現在もゴスペル歌手として活躍しており、3月にニューアルバム『All Yours』をリリースすることを今週アナウンスしたばかりです。

 

キエラ・シェアードと同じく、ゴスペル歌手を母に持つのがホイットニー・ヒューストン。亡くなってから久しいですが、そのホイットニーによるゴスペルアルバムがこの春リリースされることも今週アナウンスされています。

これまでにリリースしたゴスペル曲に加えて、未発表曲や1990年に横浜アリーナで行われたライブの音源も盛り込まれる『I Go To The Rock』から、デビュー前の録音と思しき「Testimony」が先行リリース。ゴスペル歌手の母親、シシー・ヒューストンの影響を感じます。

ホイットニー・ヒューストン『I Go To The Rock』の詳細、およびトラックリストは下記リンク先から確認可能です。

 

 

ちなみに今年のグラミー賞、ゴスペルにおいてはマーヴェリック・シティ・ミュージック & カーク・フランクリンが2部門を受賞しています。カーク・フランクリンはこれまでにビル・ウィザース「Lovely Day」やアース・ウインド & ファイアー「September」のゴスペルカバーも発信しており、ポップとゴスペルの融合として真っ先に名前が浮かぶ歌手のひとりです。

 

今回紹介した曲をプレイリスト化。残念ながらカーク・フランクリンによる「Lovely Day」カバーは配信されていませんが、ゴスペルとポップスの融合を是非お楽しみください。