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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードコラム】ビルボードジャパンのヒットを踏まえた『NHK紅白歌合戦』出場歌手予想および希望

月曜は不定期で、日米グローバルのビルボードチャートに関するコラムを書いています。これまではビルボードジャパンソングスチャートにおける各指標の解説、日米ビルボードに対するチャートポリシー変更希望、ビルボードジャパンの知名度向上案やグローバルチャートにJ-Popを轟かせる方法について記しました。ビルボードコラムについては下記リンク先からご確認ください。

 

今回は、今年の『NHK紅白歌合戦』出場者を予想し、また個人的な希望を記します。

 

 

今年の『NHK紅白歌合戦』(以下紅白)は昨年と同じ時間帯で放送されます。

今年は有観客となるため、昨年のようなNHK内別会場でのステージが少なくなる可能性があり、好評を博したシンプルで歌を魅せる構成は少なからず薄れるとは考えます。

また昨日は、五木ひろしさんが出場しない旨が記事に登場。自ら身を引いたか、そのような打診が紅白側からあったのかは解りません。無論不満を持ち合わせる方がいらっしゃるとは思いますが、たとえばここ最近リリースされる新曲の話題度(そもそも演歌・歌謡曲においてはほぼフィジカルシングルの売上がその尺度と言えましたが)が高くないことを踏まえれば、出場したくとも出られないというのもやむを得ないかもしれません。

 

 

さて、ビルボードコラムと称して紅白出場者予想をアップすることに違和感を覚える方がいらっしゃるかもしれませんが、この紅白ラインナップにはビルボードジャパンソングスチャートやアルバムチャートが大きく関わっていると断言していいと捉えています。

「今年の活躍」の参考資料は、CDセールスのみならず、ダウンロードやストリーミング(サブスクリプション(定額制音楽配信サービス)、動画再生回数、SNSやカラオケ等の調査が挙げられていますが、この選考基準では、複合指標に基づくビルボードジャパンHot 100(ソングチャート)をNHKが参照していると考えられます。

(中略)

特に、「白日」「まちがいさがし」はシングルCD未発売での出場の一方で、CDセールス1位を獲得しながら年間ソングチャートで93位にとどまったAKB48(「失恋、ありがとう」)が今年落選したことは話題となりました。

この落選からも、CDセールスに頼らないヒットチャート(ビルボードジャパンソングチャート)こそ、今の社会的ヒットを示す鑑と言えるでしょう。

昨年大晦日にNumberWebに掲載させていただいた文章を紹介する形となりますが、ビルボードジャパンソングスチャートの影響はとりわけ大きいというのが私見です。ゆえにビルボードコラムの一環として今回紹介します。

 

 

紅白の選考基準としてNHKが掲げているのは、今年の活躍、世論の支持、番組の企画や演出(にそぐうこと)となります。さらに付け加えるならば、ドラマ出演等NHKへの関わりの深さや芸能事務所の出場枠の確保へのこだわり、その年に亡くなった音楽家への追悼企画(としてのカバーの披露)、そして紅白前後の新譜リリースに伴い紅白で箔をつけるということもまた出場の要素に成り得るというのが私見です。

また2018年の米津玄師さん(「Lemon」)、昨年のYOASOBI(「夜に駆ける」)のように、特大ヒット曲且つ初登場時には特別に中継での出演が用意される場合があります。その際はこれまで地上波テレビ局でパフォーマンスしたことがないことも前提となり、紅白出演が歌手側そして紅白側にとっても大きな話題になるものと考えます。

 

今年度のビルボードジャパンソングスチャートにおける上位作品は以下の通りです。

40万ポイント突破:優里「ドライフラワー

30万ポイント突破:BTS「Dynamite」、YOASOBI「夜に駆ける」、LiSA「炎」

20万ポイント突破:Ado「うっせぇわ」、菅田将暉「虹」、BTS「Butter」、YOASOBI「怪物」「群青」

10万ポイント突破:あいみょん「裸の心」、Ado「踊」「ギラギラ」、Eve「廻廻奇譚」、Awesome City Club「勿忘」、Official髭男dism「I LOVE...」「Cry Baby」「Pretender」、川崎鷹也「魔法の絨毯」、DISH//「猫」、NiziU「Step and a step」「Take a picture」「Make you happy」、BTS「Permission To Dance」、平井大「Stand by me, Stand by you.」、藤井風「きらり」、米津玄師「Pale Blue」、LiSA「紅蓮華」

(※ポイントが可視化される週間50位以内登場時のポイントのみを合算しています。)

加えてポイント10万未満でもロングヒットしている曲、昨年以前にリリースされた曲を考慮し、またメディア出演を望んでいないだろう歌手についてはその意向を踏まえ、昨年の出演者一覧をベースに今年の紅白出場者の予想と希望をまとめてみました。

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出場予想歌手のジャンルを、ビルボードジャパンソングスチャートでヒットしたことを示す"チャート枠"等6つに分けています。出場濃厚の場合は◎で表記し、○以下においては入れ替える場合に希望する歌手を記載しました。

 

チャート枠については、2021年度ビルボードジャパン年間ソングスチャートの首位が見込まれる優里「ドライフラワー」は間違いなく披露されるでしょう。また「うっせぇわ」「踊」等の連続ヒットで注目を集めるAdoさんが紅白でテレビ初パフォーマンスする可能性があり、その場合は昨年のYOASOBI同様中継出演となることが予想されます。年末年始にアルバムリリースがあるならば、2組の出場はさらに濃厚となるはずです。

中継出演は宇多田ヒカルさんも考えられます。「One Last Kiss」はフィジカルセールスがアルバム扱いとなったことでソングスチャートではさらなるヒットに至れなかったとも言えるのですが、提供した『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』の大ヒットも踏まえて出場を希望します。アニメ関連では『鬼滅の刃』主題歌を歌うLiSAさんの連続出場、そして12月以降のシリーズを担うAimerさんの初出場にも期待がかかります*1

アニメ関連では『竜とそばかすの姫』主題歌となったmillennium parade × Belle「U」を紅白で披露するというのも面白いのではないでしょうか。Belle役を演じた中村佳穂さんが紅白に出場することのインパクトの大きさもさることながら、常田大希さんはSixTONESに今年「マスカラ」を提供していることから同曲のバックをmillennium paradeが務めるのも面白いかもしれません。

アニメソングとしてはYOASOBI「怪物」やOfficial髭男dism「Cry Baby」はチャート成績面でも十分なヒットと言えます。特に前者は未だテレビパフォーマンスがないはずであり、この紅白の場を初披露とすることが歌手側、紅白双方にとって最善となることは間違いありません。なおYOASOBIはNHKSDGsキャンペーンソングとしてミドリーズとの「ツバメ」を書き下ろしており、同曲も披露する可能性があります。

チャート枠における白組の目玉として据えたのは藤井風さん、そしてback number。両者ともチャート成績についてはこのブログで取り上げています。またback numberについては"back number 紅白"でYahoo!検索すると最上位にこちらの知恵袋が登場するのですが、今年は「水平線」という(音源リリース前も含めれば年間に渡る)ロングヒット曲もあるため、初出場すべきだと考えます。

 

チャート面において、日本そして世界を席巻したのがBTSでした。特に米ビルボードが昨秋グローバルチャートを新設して以降、そのヒットがさらに大きく可視化されるようになっています。一方で彼らの以前の問題を挙げてくすぶらせつづけるような一部のメディアや市井による批判(というより非難)がありますが、積極的な社会貢献等も踏まれば出場は絶対的に必要というのが私見。英語詞曲の大ヒットは無視できない存在です。

それも踏まえK-Pop枠を、Little Glee Monster→TWICEおよびGENERATIONS from EXILE TRIBEBTSという形で用意しましたが、そうなるとLDHグループの枠がなくなることになります。ただ現在のチャート面においてはLDHグループ所属歌手の作品がロングヒットになかなか至れていない状況であり、また登坂広臣さんの新曲がBTSのSUGAさんプロデュースという縁も踏まえれば、入れ替えという事態はあり得ると考えます。

 

芸能事務所枠という点において、ジャニーズ事務所の動向にも注目しないといけません。嵐の活動休止に伴いその1枠がどうなるかが気になるところです。デジタルに明るくない以上ビルボードジャパンソングスチャートにおいてジャニーズ関連のロングヒット曲は多くなく、ゆえに1枠を他の芸能事務所所属歌手に充てることも考慮すべきとは考えます。

仮に嵐だった枠になにわ男子を充てるのは、時期尚早と言えるでしょう。11月中旬に出場歌手が発表されるものと考えますが、なにわ男子のフィジカルリリースデビューは11月12日ゆえ、出場発表時にはチャート上でデビュー曲「初心LOVE」の動向をほぼ把握できません。ゆえにジャニーズ枠は7→6とした上で、チャート上でより勢いのあるジャニーズWEST関ジャニ∞と入れ替える可能性もあるとみています。

 

演歌歌謡曲枠は松田聖子さん、郷ひろみさんを含め11枠を用意。冒頭の五木ひろしさん紅白不出場の件でも述べましたが、演歌や歌謡曲自体に十分な社会的ヒット曲がなく且つ演歌はベテラン勢ほど新曲がヒットに至りにくいことから、より大きな刷新を図ることが必要と考えます。昨年の紅白、演歌・歌謡曲枠での出演者による今年の新曲におけるチャートアクションは以下のリンク先に掲載しています。

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ブログエントリーを書いた以降も和田アキ子「YONA YONA DANCE」は総合100位以内に到達していないのですが、しかしながらTikTokでの話題性を踏まえれば復帰というのは十分考えられます。その際は曲提供したフレデリックをバックに従えるというのも面白いかもしれません。また島津亜矢さんは今年カバーアルバム『SINGER7』をリリースしたこともあり復帰も視野に入れるべきでしょう。

若手や中堅の実力派枠はその大半が昨年に引き続き出演するものと考えますが、福山雅治さんは昨年12月リリースのアルバム『AKIRA』以降、新曲をリリースしていません。それを踏まえ、先述したback numberに入れ替えることを提案しています。

なお、緑黄色社会「Mela!」は可視化されているポイントをみれば1万6千弱となり決して多くはないのですが、1週を除き常時総合100位以内にランクインしていることから年間チャートにおける上位進出が見込まれます。その他10万ポイント未満の曲であっても、back number「水平線」(可視化されているポイントは6万弱)や宇多田ヒカル「One Last Kiss」(同7万弱)も年間チャートでは上位進出の可能性が十分あると捉えています。

 

 

以上となりますが如何だったでしょうか。あくまでも昨年がベースとなっておりますことをご了承ください。チャート面を踏まえればより大きく出場者を入れ替えることが必要とも考えますが、紅白の特性を踏まえたものとしています。あいみょんさんが今年も出場するならば白組にDISH//が初出場して「猫」を共演という手段もありますが、「猫」のリリース時期を踏まえると難しいかもしれません。

 

最後に。紅白については既にメディアで"目玉がない"や"この歌手に登場してほしくない"等のネガティブというより無礼な声がみられるほか、五木ひろしさん不出場に対するコメントにも同種のものがあると思われます。ならばどうすればより良くなるかを冷静客観的な視点で語るほうが断然好いと考えますし、紅白に興味がないならばわざわざ話題にして貶すこともすべきではありません。その点も言及させていただきます。

*1:出場歌手は11月に発表される予定であり、それまでの1年間にリリースがない、またリリースしたとしてもヒットに至っていなければ出場自体、また出場アナウンスの前後にリリースされる新曲を紅白で披露するのは本来はあるべきではないと考えます。それでも『鬼滅の刃』のコンテンツ力の大きさは魅力的です。また昨年、坂本冬美さんが出場決定5日前にリリースしチャート実績がみえていない曲を披露したという前例もあります。