毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点を紹介します。
2020年12月21~27日を集計期間とする1月4日付、そして2020年12月28日~2021年1月3日を集計期間とする1月11日付ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)が1月6日に発表。1月4日付ではシングルCDセールス等の初加算に伴いNEWS「ビューティフル」が初登場で首位を獲得しました。
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— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2021年1月6日
そして1月11日付ではLiSA「炎」が5週ぶりに返り咲き、通算7週目の首位を獲得しています。
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— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2021年1月6日
この2週のビルボードジャパンソングスチャート、音楽番組の影響が色濃く反映されたものとなりました。とりわけ1月11日付における『NHK紅白歌合戦』の影響が大きいことは明らかです。
1月11日付におけるポイントは、12月にCDリリースされたKing & Prince「I promise」、櫻坂46「Nobody's fault」を除く全曲がポイント前週超えを達成。「Nobody's fault」は前週比9割弱にとどまっていますが、デジタルに強くない曲、そしてそもそも解禁していない曲におけるポイント取りこぼしの可能性が見て取れます。
さて、昨年大晦日に活動を休止した嵐は、同日の配信ライブ等もチャートに大きく影響を与えていますが、「カイト」のポイントほぼ2倍という結果に。
上記はNHKのYouTubeアカウント発となる、2019年『NHK紅白歌合戦』での映像。NHK発の動画にはビルボードジャパンソングスチャート動画再生指標のカウント対象となるISRC(国際標準レコーディングコード)が未付番のため、「カイト」は一度としてこの指標が加算されていません。直近30週分のチャート推移(CHART insight)をみると、赤の折れ線で表示される動画再生指標はゼロ。一方で12月に(アルバム『This is 嵐』収録曲として)デジタル解禁された「カイト」は、ダウンロードとストリーミングでチャート構成比のおよそ4分の3を占めています。しかし、CDをパソコン等に取り込んだ際にインターネットデータベースにアクセスする数で示されるルックアップがCDリリース以降常時高いこと、およびその理由がCDレンタルの取込による可能性を踏まえれば、動画も含めてCDリリースと同時期にデジタルが解禁され接触環境が充実していれば年間ソングスチャート10位以内進出もあり得たと思うのです。その点において非常に勿体なく感じています。
昨年の『NHK紅白歌合戦』におけるビルボードジャパンソングスチャートへの影響を、今度は指標毎にみてみましょう。
直近2週共にトップ10入りした8曲において、紅白歌唱曲とそうでない曲との差がはっきりしました。ポイントもさることながらCDリリース曲のCDセールスが前週を上回り、ダウンロード前週比は大きく上昇、さらに全体的な落ち込みがみられるストリーミングにおいても前週比9割強を記録しています。その中でもYOASOBI「夜に駆ける」がストリーミングで前週比超えを果たしているのは実に見事としか言いようがありません。これはエンゲージメントの徹底っぷりが反映された結果と言えるでしょう。
YOASOBIは今週、初のフィジカル作品となるEP『THE BOOK』をリリース。このタイミングでの発売は『NHK紅白歌合戦』を大きな契機と位置付けていたからではないかと捉えています。