イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

年末年始のソングスチャート、YOASOBI「夜に駆ける」が躍進した理由をラジオの面から考える

昨日は最新1月11日付ビルボードジャパンソングスチャートから、YOASOBI「夜に駆ける」の躍進についてお伝えしました。『NHK紅白歌合戦』でのパフォーマンス、さらにその後のフォローアップ(エンゲージメント確立)の徹底っぷりがチャートに表れていることは明白です。

とはいえ、昨日のブログで述べたのはダウンロードおよびストリーミング指標が主体。ビルボードジャパンソングスチャート振り返り記事(→こちら)からは動画再生指標においても前週比113.5%を記録していることが判りますが、今回注目したいのはラジオエアプレイ指標の上昇についてです。

 

 

ラジオではリリース直後の曲、放送局や番組の一押し曲が多くOAされるのみならず、季節感をより強く反映します。昨年12月21~27日を集計期間とする1月4日付ビルボードジャパンソングスチャートのラジオエアプレイ指標では山下達郎「クリスマス・イブ」が2位に入り(総合では44位)、マライア・キャリーワム!の定番クリスマスソングがSEKAI NO OWARI「silent」共々、同指標でトップ10入りを果たしています。

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翌週、1月11日付ビルボードジャパンソングスチャートにおけるラジオエアプレイ指標は大きく変わります。昨年12月28日~1月3日が集計期間となっており、2020年のヒット曲を振り返ったり『NHK紅白歌合戦』で特に印象的な曲をOAする傾向がみられました。ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」やレディー・ガガアリアナ・グランデ「Rain On Me」が同指標でトップ10入りしたのは前者の典型と言えるでしょう。その中にあって、ラジオエアプレイ指標を制したのがYOASOBI「夜に駆ける」でした。

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CD未リリースゆえ2指標がカウント不可でありながら、ラジオエアプレイを含む6指標をすべて4位以内に送り込んだ「夜に駆ける」。YOASOBIの紅白出演アナウンスが直前(昨年12月23日)であったことも影響しているのではと考えます。ちなみにYOASOBIの紅白出場はブログで予測し、NumberWebでも記載しました。

 

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チャート推移(CHART insight)から総合(黒の折れ線で表示)およびラジオエアプレイ(緑)のみを抽出したものがこちら。ラジオエアプレイ指標は二度目のトップ10入りにして初の首位を獲得しているのです。 

 

面白いのは昨年の同時期におけるビルボードジャパンソングスチャートのラジオエアプレイ指標において、集計期間の区切りのタイミングもあるとはいえども年末のヒット曲振り返り的な要素が感じられにくかったこと。強いて挙げるならばOfficial髭男dism「Pretender」やFoorin「パプリカ」あたりでしょうか。

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最新1月11日付ビルボードジャパンソングスチャートの集計期間直前に『NHK紅白歌合戦』への出場がアナウンスされたこと、年末のヒット曲振り返りの実施、1月6日にリリースされた初のEP(且つ初のフィジカル盤)『THE BOOK』におけるレコード会社等のプッシュもラジオエアプレイ指標首位に貢献しているでしょうが、もしかしたらラジオ局や番組が”いち早く「夜に駆ける」のヒットを見出すことができなかったことへの反省”を込めてOAしたのではと考える自分がいます。放送局や番組のいち押し曲がヘビーローテションされる傾向がある中で、「夜に駆ける」をリリースやブレイクのタイミングで見つけられなかったことへの罪滅ぼしが今回のチャートに表れている気がするのです。だとすれば、「夜に駆ける」が牽引する形で2020年のヒット曲がOAされ、結果として昨年の人気曲が大挙上昇したのかもしれません。