イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

2020年9月の私的トップ10ソングス+α、選びました

1月からはじめている【私的トップ10ソングス+α】企画、今回は9月号です。前の月にリリースされた曲を中心に、しかしその縛りは出来る限り緩くした上で選んでみました。ミュージックビデオ等動画がない曲は巻末のプレイリスト(Spotify)でチェックしてみてください。過去の私的トップ10ソングス、および2020年上半期の邦楽ベストソングスについてはこちらに。

ちなみに個人的に毎回チェックしているプレイリストは現時点において主に、New Music WednesdayNew Music Friday JapanNew Music FridayおよびMonday Spinとなっています。

 

 

10位 Tokimeki Records feat. ひかり「Dang Dang 気になる」

イントロを除けば中村由真さんによるオリジナルバージョンをほぼ踏襲したようなアレンジですが、ひかりさんによるメロディを丁寧に紡ぐかのような歌唱に惹かれました。主題歌に使われたアニメ『美味しんぼ』がYouTubeでの配信を開始する週の公開という偶然もまた素敵です。

 

9位 嵐「Whenever You Call」

この曲については、その施策の素晴らしさも含め以前紹介しています。

日本のチャートアクションがこれまでのデジタルシングルの中で失速気味なのが残念であり、その遠因となったであろう一部記事のトーンには引っかかりを覚えます。純粋に好い曲と思うゆえ、この位置に選びました。

 

8位 Beni Daniels feat. Devin Morrison「UI」

海外進出を果たしたBENIさんによる流麗なR&B。カバー曲が多い印象もありますが、たとえば「Kiss Kiss Kiss」(2009 →YouTube)のようなR&Bアプローチにも長けているわけで、この進出には嬉しくなります。デヴィン・モリソンはかつて日本に住んだこともあり、『スラムダンク』や矢野顕子さんが好きだそう。

 

7位 カイリー・ミノーグ「Magic」

デュア・リパが80年代マナーのアルバムをリリースしそのリミックス集にマドンナを招聘する等、新鋭やベテランを問わず当時の音をアップデートさせたかのような曲が主流の現在、マドンナと並び30年以上シーンを引っ張るカイリーがこのシーンに降臨。ジェシー・ウェアの最新作も彷彿とさせる音で、アルバムリリースが楽しみになりました。

 

6位 SZA feat. タイ・ダラー・サイン「Hit Different」

久々の主演としての新曲はネプチューンズによるミディアム。サビでのタイ・ダラー・サインによるタイトルの連呼がより中毒性を高めてくれます。ミュージックビデオでは次なる曲?を惜しげもなく披露しており、今後のリリースに注目です。

 

5位 ヨンシー with ロビン「Salt Licorice」

シガー・ロスのボーカル、ヨンシーによる10年ぶりのソロアルバム『Shiver』からの先行曲は鐘のような高音のウワモノとノイジーな音、加工されたヨンシーの裏声とがまとわりつく、こちらも中毒性の高い一曲。2018年のアルバム『Honey』が評判高かったロビンとの声が似ている?ことも中毒性の高さに一役買っています。前作収録の「Go Do」(2010)は日本でも様々なフォロワー作品が生まれていることから、今作の伝播力にも期待したいところ。

 

4位 MAX feat. SUGA of BTS「Blueberry Eyes」

ナッシュをフィーチャーした「Lights Down Low」(2016)のミュージックビデオが感動的なのですが(→YouTube)、こちらも素晴らしい作品。ビデオに登場するのは妊娠中の実の奥さんであり、仲睦まじい様子が見られます。そしてこのあまりにも心地よい作品に華を添えたBTSのSUGAによるラップも素敵です。

 

3位 BBHF「疲れてく」

ゴスペル的な作品が好きで以前プレイリスト的に紹介したこともあるのですが、そこに新たな一曲が。とはいえ高揚感に溢れ希望を謳うゴスペルを、困惑というネガティブなテーマのこの曲に用いるというBBHF独特のアプローチが面白いですね。

 

2位 SAULT「Strong」

どうやら”ソー”と読むらしい?ロンドン発のバンドによる今年2枚目のアルバムの巻頭曲。アレンジの展開が何度も変わっていく楽しさ、それでいて芯となるビートの逞しさに惹かれます。マイケル・キワヌーカの作品を思い出しましたが、そのキワヌーカの昨年の作品『Kiwanuka』が今年のマーキュリー賞を受賞したとなると、SAULTもどんどん注目を集めていくのではないかと期待したくなります。

 

1位 SUKISHA feat. ぜったくん「夕陽が落ちるまで」

リリースはどうやら8月だったのですが、プレイリスト経由で知ったのが9月。そして昨日のブログで紹介した同じ組み合わせによる「Sweet Secret」同様、歌詞がいい意味で引っかかるのです。”誰かの代わりにただ 謝り続けてもらう給与” ”子供のような大人が言う 「大人らしさ」”などがその代表格ですが、”満員電車でブチ切れてた あの人の左手の薬指に結婚指輪 なんかどっかいいとこあるらしい (ならイイ)”というフレーズはRHYMESTER「POP LIFE」(2011)のリリックを想起させ、心に余裕が生まれるかのよう。この先、気持ちが疲れたときにはきっとこの曲が浮かぶことでしょう。

 

 

以下、次点として10曲。

・WONK「Orange Mug (Myd Remix)」

・Wu Mang「ミラー」

大橋トリオ「Favorite Rendezvous

・SUKISHA feat. ぜったくん「Sweet Secret」

・TENDER feat. Ryohu「FRESH」

東京スカパラダイスオーケストラ「Great Conjuction 2020」

・MONO NO AWARE「ゾッコン」

ギャランティス & ナイトメア feat. リアム・オドネル「Tu Tu Tu (That's Why We)」

・サラーム・レミ & マック・ワイルズ「Home Vacation (FamilyOverEverything)」

・ヤング・ベー feat. マーク・E・ベイシー「Revolving」

WONK「Orange Mug」のオリジナルは昨年の私的邦楽年間ベストに選んでいますが、ここまで大きく変容させるのかと嬉しい驚きに。サラーム・レミ & マック・ワイルズのマイケルマナー、MONO NO AWARE独特の言葉のセンス等、今月も素晴らしい作品が多かったですね。

 

Spotifyのプレイリストはこちらに。

今月も素晴らしい音楽に出逢えることを願っています。