イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ジャスティン・ビーバーによる近年の客演や共演曲は献身的な愛に溢れている

Spotifyを活用して毎月私的トップ10ソングスを選ぶようになったことで、日々の新曲確認に余念がありません。そんな中、先週金曜に発表されたこの曲に惹かれました。

ウィル・スミスの息子でラッパーとして活動するジェイデン・スミスがジェイデン名義でリリースしたサードアルバム『CTV3: Cool Tape Vol. 3』収録のこの曲。以前「Never Say Never」(→YouTube 2010 米最高8位)でジャスティン・ビーバーに招かれたジェイデンが、今度はそのジャスティンを招いているのです。

ジェイデンにとって米ビルボードソングスチャート(Hot 100)入りを果たしたのはこの曲だけであり、チャート上でも成功なるかに注目。リリース日である8月28日付の米Spotifyデイリーチャートでは107位に初登場を果たしています。

 

 

今年アルバム『Changes』をリリースしたジャスティン・ビーバーですが、この前後に招かれた作品における彼の立ち位置は似ている気がします。ひとつは歌詞における恋のはじまりや頂点に達した思いをより深く表現してくれる存在、そしてもうひとつはより大きなチャートアクションをもたらしてくれる存在。

 

アリアナ・グランデとの「Stuck With U」はコロナ禍におけるチャリティの性質もありフィジカル施策がダウンロード指標を押し上げて米ビルボードソングスチャートを制覇。一方で翌週にはトップ10落ちとなったことでこの曲が社会的ヒットに至れたかは疑問ですが、両者にとって若干のブランクを経ての首位カムバックとなったことは間違いありません(チャートにおける施策等については以前まとめています)。そしてコロナ禍の不安を解いてくれる意味も持ち合わせているだろう歌詞、とても甘いのです。

ダン+シェイと共演した「10,000 Hours」(2019)は、カントリーデュオに米ビルボード最高位、且つ初のトップ10入りとなる4位をもたらしています。君とならもう1万時間一緒にいたいというこのラブソングは、ダン+シェイさらにジャスティンの私生活でのパートナーがミュージックビデオに参加し、画が曲の世界観をさらにくっきりさせてくれます。ジャスティンの参加が功を奏し、リリース日にはカントリー曲で異例となる米Spotifyデイリーチャート2位発進を果たしました。

そして忘れられないのは、ビリー・アイリッシュ「Bad Guy」(2019)への参加。オリジナルバージョンを上回るポイントを獲得できなかったため、チャート上で客演名義になることはありませんでしたが、「Bad Guy」が長き待機期間を経て米ビルボードソングスチャートを制した、その縁の下の力持ちになったのは間違いありません。曲のテーマは恋愛の良い瞬間を捉えたものではないものの、ビリー・アイリッシュにとってジャスティン・ビーバーは憧れであり初恋の人と言える存在。曲ではなくビリー自身の思いを叶えてくれる共演だったのです。

 

ジャスティン・ビーバーは結婚を経て献身的になったのではという心境の変化を勝手ながら感じています。最新アルバムからロングヒットとなった「Intentions (feat. クエイヴォ)」(米最高5位)における妻への愛、そして様々な人々を思う心の深さはまさにそれを示すものであり、献身的な愛情が今回取り上げた客演や共演の源ではないかと思うのです。