米ビルボードのソングスチャートをチェック。現地時間の5月11日月曜に発表された5月16日付最新ソングスチャート。『フォートナイト』効果で前週首位に初登場を果たしたトラヴィス・スコットとキッド・カディによるユニット、ザ・スコッツの「The Scotts」は12位へ後退、ドージャ・キャット feat. ニッキー・ミナージュ「Say So」が初の首位に立ちました。
.@DojaCat and @NICKIMINAJ both get their first No. 1 on the #Hot100 with “Say So” remix. 🏆
— billboard (@billboard) 2020年5月11日
Get a full breakdown of this week’s top 10 songs below. https://t.co/UNRyBTpn7h
「Say So」は今週、ニッキー・ミナージュを客演に迎えたバージョンがストリーミングおよびダウンロードの2指標で集計期間フルに加算(ラジオエアプレイは2指標と集計期間にズレがあることから、前週客演有りバージョンが3日分カウントされています)。全体ではニッキー参加版が上回ったことから客演有りのクレジットとなり、両者にとって初の首位獲得を果たしました。
上記"ダンスビジュアル"と称したミュージックビデオ、さらに2ランクアップし2位につけたミーガン・ジー・スタリオン feat. ビヨンセ「Savage」については、米ビルボードが今回のチャートをこの2曲が争っていると紹介した記事を基に一昨日ブログエントリーに記載しています。
リミックスや動画の追加によるオリジナルバージョンへの合算、さらには自身のホームページでのフィジカル販売が大きく功を奏し、「Say So」そして「Savage」が躍進する結果となりました。
・「Say So」
ストリーミング 3030万 (前週比87%アップ 同指標4位)
ダウンロード 66000 (前週比966%アップ 同指標1位)
ラジオエアプレイ 9620万 (前週比6%アップ 同指標2位)
・「Savage」
ストリーミング 4210万 (前週比53%アップ 同指標1位)
ダウンロード 50000 (前週比90%アップ 同指標2位)
ラジオエアプレイ 5130万 (前週比27%アップ 同指標14位)
「Savage」は前週の集計期間半ばでビヨンセのバージョンが追加されたことで初のトップ10入りを果たしたため今週は伸びが鈍かったということもありますが、「Say So」はストリーミングの差をダウンロード、それ以上にラジオエアプレイでカバーしたことで逆転出来たものと考えます。しかしながら「Savage」のラジオエアプレイでの大幅な伸びはビヨンセ効果と言えるかもしれません。
「Say So」によりドージャ・キャット、そしてニッキー・ミナージュにとっても初の首位獲得となりました。ニッキーが初というのは意外かもしれませんが、109曲目のエントリーにして初の首位獲得は、ジャスティン・ビーバー「What Do You Mean?」(2015)が47曲目のエントリーで首位に至ったという記録を大きく塗り替えました。ニッキーの初登場はリル・ウェインに客演参加した「Knockout」(2010年2月20日付)であり、10年と3ヶ月で頂点に君臨したことになります。ちなみに前週ザ・スコッツ名義による「The Scotts」で首位を獲得したキッド・カディも初登場から11年で首位に至っており、10年以上の時を経て頂点に立った歌手が2週連続で登場したことになります。また109曲目のエントリーは女性で最多となり、全体でもエルヴィス・プレスリーに並びました。
ソロの女性歌手同士によるコラボでの首位獲得は今回が6曲目。バーバラ・ストライサンド&ドナ・サマー「No More Tears (Enough Is Enough)」(1979)、ブランディ&モニカ「The Boy Is Mine」(1998)、クリスティーナ・アギレラ、リル・キム、マイヤ&ピンク「Lady Marmalade」(2001)、リアーナ feat. ブリトニー・スピアーズ「S&M」(2011)、イギー・アゼリア feat. チャーリーXCX「Fancy」(2014)に次ぐ記録となりました。
さて次週は「Say So」「Savage」共に、フィジカル販売効果が薄れる可能性があることから全体的な数値の伸びは鈍化するか、もしくは下降する可能性もあります。他方、今週3位につけたザ・ウィークエンド「Blinding Lights」はラジオエアプレイで5週目の首位を獲得、しかも前週比4%アップの1億1450万を獲得しており未だ伸びていることから、もしかしたら次週の首位争いに絡んでくるかもしれません。
今週はドレイクがミックステープ『Dake Lane Demo Tapes』をアルバムチャートに送り込んだことで収録曲が複数トップ10入りし「Toosie Slide」が首位争いに?と予想していたのですが、アルバムチャートは初登場2位となり、チケットバンドルによりセールスを伸ばしたケニー・チェズニー『Here And Now』に僅差で破れています。
【米ビルボード・アルバム・チャート】ケニー・チェズニー初登場1位、ドレイクが2位に続く https://t.co/uayFj16XET pic.twitter.com/sEbMocVlz3
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2020年5月11日
『Dake Lane Demo Tapes』の初動223000ユニットのうち201000がストリーミング再生回数のアルバム換算分となり、そのストリーミングはソングスチャートにも波及したものの「Toosie Slide」は1ランクダウンし4位へ。一方でプレイボーイ・カルティをフィーチャーした「Pain 1993」が7位に初登場を果たしました。
ストリーミングは3100万を獲得し同指標3位、ダウンロードは3000となり同指標46位に入ったことで、総合で7位に登場。プレイボーイ・カルティにとっては「Magnolia」(2017)の29位を大きく上回る自己最高位をマーク、そしてドレイクにとっては38曲目(主演作で25曲目、客演で13曲目)のトップ10入りを果たしました。この38曲目という記録はマドンナに並ぶ最多タイとなり、以下ビートルズの34曲、リアーナの31曲、マイケル・ジャクソンの30曲と続きます。仮にミックステープが大ヒットしたならば今週マドンナ超えもあり得たのですが、今年リリース予定となるオリジナルアルバムの収録曲にて、その記録更新が期待されます。
ダベイビー feat. ロディ・リッチ「Rockstar」がトップ10へのカムバックを果たしています。2週前に9位に初登場、前週は14位となっていましたが今週9位に返り咲いた形。ストリーミングは前週比17%アップの2830万(同指標5位)、ダウンロードは同36%アップの9000(同指標7位)、ラジオエアプレイは50位未満ながら前週比136%アップの570万を獲得しています。ロングヒットのフェーズに入るにはラジオエアプレイの上昇が必須と言えるでしょう。
最新のトップ10はこちら。
[今週 (前週) 歌手名・曲名]
1位 (6位) ドージャ・キャット feat. ニッキー・ミナージュ「Say So」
2位 (4位) ミーガン・ジー・スタリオン feat. ビヨンセ「Savage」
3位 (2位) ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」
4位 (3位) ドレイク「Toosie Slide」
5位 (5位) ロディ・リッチ「The Box」
6位 (7位) デュア・リパ「Don't Start Now」
7位 (初登場) ドレイク feat. プレイボーイ・カルティ「Pain 1993」
8位 (8位) ポスト・マローン「Circles」
9位 (14位) ダベイビー feat. ロディ・リッチ「Rockstar」
10位 (9位) ジャスティン・ビーバー feat. クエイヴォ「Intentions」
ポスト・マローン「Circles」はトップ10入り最長記録を36週に更新、どこまで続くかも気になります。そして次週は今回のトップ3の動向もさることながら、前週金曜にリリースされたアリアナ・グランデ&ジャスティン・ビーバー「Stuck With U」がどの位置に登場するかにも注目。Spotifyでは金曜から2日連続で米デイリーチャートを制していますが5月10日日曜には4位に後退しており、総合で首位争いに絡むのは難しいのかもしれません。