毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点を紹介します。
8月10~16日を集計期間とする8月24日付ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)は、Twenty★Twenty「smile」がシングルCDセールス初加算に伴い、前週の100位圏外からトップに躍り出ました。
【ビルボード】Twenty★Twenty「smile」430,038枚を売り上げ総合首位獲得 https://t.co/PUiOc5R6in pic.twitter.com/XW80XWm2Pa
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2020年8月19日
ジャニーズ事務所所属歌手の作品では珍しく、シングルCDセールスに先駆けてダウンロードおよびサブスクが解禁され、7月6日付で5位を記録。この曲がシングルCDセールス初加算に伴い首位に立ちましたが、次週の急落は免れないのではと考えます。ひとつはチャート構成比においてシングルCDセールス指標がおよそ8割と高いこと。そしてもうひとつは接触指標群が加点されていないこと。サブスクは解禁されているものの、この再生回数に基づくストリーミング指標は今週300位に満たず加点対象外に。またミュージックビデオはショートバージョンも上がっていないため、動画再生指標もゼロとなっています。デジタル先行で後日CDリリースというケースがこれまでジャニーズ事務所所属歌手にはなかったため他の作品と比べることができませんが、シングルCDセールス初加算週のチャート構成が所有指標一辺倒になっているのは予想外でした。最近のジャニーズ事務所所属歌手の作品の中ではラジオエアプレイ指標が46位と低いこともあり、次週の動向が気掛かりです。
さて、今週は米津玄師さん、そしてOfficial髭男dismの活躍が目立ちます。米津玄師さんは『STRAY SHEEP』が今週もアルバムチャートを制し、且つチャート構成3指標すべてで1位を獲得。2週連続の完全制覇を達成しました。
【ビルボード】米津玄師『STRAY SHEEP』が2週連続の総合アルバム首位 ヒゲダン/MY FIRST STORYが続く https://t.co/V9bGfzcX3C pic.twitter.com/WimRFaVq7q
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2020年8月19日
CDセールスは2週目でミリオンを達成、そして『ルックアップも2位に5倍以上の差をつけて』います(『』内は上記記事より)。そのルックアップで2位、総合でも2位に浮上したのがOfficial髭男dism『Traveler』。
総合2位には、Official髭男dismの『Traveler』が前週総合5位から上昇してチャートイン。これは、8月10日に放送された『CDTVライブ!ライブ!4時間スペシャル』内で1時間に及ぶ「ヒゲダンフェス」が行われたことが影響していると考えられ、CD・ダウンロード・ルックアップすべての指標でポイントが上昇した。CDセールスは14週ぶりの2位、ダウンロードは14週ぶりのトップ3入りとなった。ちなみに、『エスカパレード』も前週総合32位から13位に、前週の2倍以上のポイントを獲得して大きく上昇している。
・【ビルボード】米津玄師『STRAY SHEEP』が2週連続の総合アルバム首位 ヒゲダン/MY FIRST STORYが続く | Daily News | Billboard JAPAN(8月19日付)より
『CDTVライブ!ライブ!』で行われた”ヒゲダンフェス”の影響は、アルバムのみならずソングスチャートにも反映されています。
"ヒゲダンフェス"で披露した曲のうちソングスチャート50位以内に入った6曲、および前週と今週共に50位以内に入った「宿命」「イエスタデイ」の動向をまとめたものが上記。参考として記載したCD売上は、2週続けてシングルCDセールスチャートで50位以内に入った「HELLO」および「I LOVE...」のみ記載しています。
これをみると「HELLO」以外はすべてポイントが上昇。一方で「HELLO」はポイント前週比が77.0%とダウンしているものの、シングルCDセールス加算2週目における加算初週からの反動に伴うものであり、シングルCDセールスが前週の4分の1未満となりながらポイントの落ち込みが2割強にとどまっているのは他指標の上昇によるものであり、明らかに"ヒゲダンフェス"の影響と言えます。アイドル曲等はシングルCDセールス加算2週目におけるポイント前週比が高くても2割強(言い換えれば7割以上ダウン)であり、如何にCDセールス以外の指標を押さえることが重要だと解ります。しかもほぼすべての曲でストリーミングおよび動画再生指標という接触2指標が上昇し、全曲2指標50位以内となっていることを踏まえれば、チャートを押し上げるのに効果的且つメディア露出が反映されやすいのはこれら接触指標群と言えるでしょう。
順番は前後しましたが、米津玄師さんもソングスチャートで引き続き大きな影響を及ぼしています。今週もソングスチャートには20曲がランクイン、ストリーミングソングスチャートでは21曲が登場と、アルバムチャートのみならずソングスチャートでも強さを発揮していますが、これは間違いなく8月5日のサブスク解禁に因るもの。解禁週の動向は8月17日付ビルボードジャパンソングスチャート等に反映されていますが、今週はストリーミング指標が初めて1週間フルでカウント対象に。その結果。
ポイントが判明している50位までに2週続けて入った曲の動向をみると、前週はサブスク解禁効果で勢いが凄まじかったためか今週若干の反動はあるものの、ポイントを最も大きく落とした「カムパネルラ」でもその下落率は3割弱であり、「感電」はほぼ変わらず、そして「馬と鹿」に至ってはポイントが増加に転じています。
米津玄師さんが好調をキープし、Official髭男dismが”ヒゲダンフェス”で浮上したことは、今週もこの2点に大きく寄与しました。
ストリーミング指標、10位の再生回数は2週続けて最高を更新。それも前週から20万近く伸ばしています。そして。
ソングスチャート50位のポイントも2週続けて最高を更新。前週から5ポイント増加しているのです。
この2つのグラフについては前週も取り上げており、同じ点を再度強調することとなりましたが、前週のエントリーで書いたことが当たっているという実感をより強く抱いた次第です。前週のブログエントリー、および下記『』内の引用元はこちら。
『今後は"総合50位=2000ポイント"が基準になっていく』『シングルCDセールス主体にポイントを獲得する曲の首位獲得は難しくなり、且つ全体のポイントが上昇したならばロングヒットの点においても厳しくなる』ことで、『そもそもデジタルに明るくなかったり、また新譜のみサブスク未解禁という手法を用いる歌手』は即座に対策を立て(直さ)ないといけないのでは、と強く感じています。