毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点をソングスチャート中心に紹介します。
2月10~16日を集計期間とする2月24日付ビルボードジャパンソングスチャート、Official髭男dism「I LOVE...」が2連覇を達成しました。
【ビルボード】Official髭男dism 「I LOVE...」2週連続総合首位 King Gnu「どろん」総合6位にジャンプアップ https://t.co/ssF5QalfWP pic.twitter.com/ZuUSyA8QC9
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2020年2月19日
今週はシングルCDセールス関連指標が初加算となりました。
#ビルボードジャパン最新チャート速報
— Kei / ブレストコナカ (@Kei_radio) 2020年2月19日
「#ILOVE...」を含め4曲をトップ10に送り込んだ #Official髭男dism は、「#Pretender」(2位)、「#宿命」(9位)、「#イエスタデイ」(10位)のポイント前週比がいずれも102~104%内となり、新曲の投入が旧曲を押し上げることが証明されました
厳密には各曲のポイント前週比は「I LOVE...」が152.7%、「Pretender」が102.6%、「宿命」が同じく102.6%、そして「イエスタデイ」が103.6%。新曲(のCDリリース)が旧曲を押し上げる効果を持っていることは確実です。
その「I LOVE...」において、シングルCDセールスおよびルックアップ(パソコン等にCDを取り入れた際、インターネットデータベースにアクセスする回数)というCD関連指標群のチャート構成比に占める割合は全体の2割を下回っており、CD以外の指標だけで前週獲得した9387ポイントを大きく上回ったと言えます。
前週と比較すると、ダウンロードは前週31,194DLから当週36,897DL、ストリーミングは前週5,800,595再生から当週7,023,425再生、動画再生では3,338,750回から4,621,488回へといずれも増加した。メディア露出とシングル発売がデジタル関連指標にも影響を与えており、フィジカルとデジタルの好循環が今後も期待できるだろう。
・【ビルボード】Official髭男dism 「I LOVE...」2週連続総合首位 King Gnu「どろん」総合6位にジャンプアップ | Daily News | Billboard JAPAN(2月19日付)
『フィジカルとデジタルの好循環』ということに驚く方もいらっしゃることでしょう。CDをリリースすれば他指標は減る、逆にデジタル指標(特にサブスクリプションサービス再生回数に基づくストリーミング)が興隆することでCDの売上に支障をきたす…このような考えに縛られている方は音楽関係者、市井共に未だ根強いと考えます。しかしOfficial髭男dismの場合は必ずしもそうではないということが解ります。
メジャーレーベル移籍以降のシングルCD初週セールスは「宿命」で一旦ダウンに転じるものの、今作「I LOVE...」の初週セールスはこれまでで最高となっています。それも「ノーダウト」「宿命」同様シングル表題曲とそのインストゥルメンタルのみ収録にもかかわらず。そこでこの5曲のビルボードジャパンCHART insightをみてみると。
「Stand By You」以降はシングルCDリリースに先駆け、それもおよそ1ヶ月も前にデジタル配信を開始する施策が採られています。そしてOfficial髭男dismが大ブレイクするきっかけとなった「Pretender」以降においては、シングルCD関連指標加算初週においてダウンロード、ストリーミングおよび動画再生各指標の順位は上昇もしくは横ばいとなり、下降に転じた指標が一切ないのです。曲単位のCHART insightについてはこちらより辿ることが出来ます。
Official髭男dismはシングルCDリリースを曲のさらなるステップアップにつなげており、シングルCDの初週セールスで瞬発的にヒットしながらCD関連指標加算2週目に急落するものとは一線を画しています。また彼らの作品がいずれもロングヒットに至っていることを踏まえれば、この施策はこれからのヒットの方程式のベースになるはずです。CD自体徐々に売れてきていることもあり、CDで利益を上げるレコード会社にとっても、チャート常連になることでライブや音楽フェス等でより高みを目指せる芸能事務所にとっても好い結果と言えます。CDセールスを主軸としてではなく、曲を浸透させるための多くの武器のひとつに位置付け全指標を上昇に持っていく方法、多くの歌手は学ぶべきではないでしょうか。