イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

日本の最新ソングスチャートにおける勿体無い動きから、配信先行ならば月曜解禁を提案する

昨日のブログエントリーでは、アメリカにおける”リミックス”事情とそれがチャートアクションに与える影響について書きました。

これに追記するならば、アメリカのチャートに関するスケジュールも大きいなと。

世界的に音源のリリースが金曜となったことで、米ビルボードソングスチャートでデジタル2指標を1週間丸々カウントさせ初登場もしくはリミックス投入後にて高い位置に登場させる動きは定番となっています。

 

他方日本の場合、リミックス等以前に未だリリースはCD主体で水曜発売が基本であり、また直前告知等もあまり見られない印象があります。ただシングルCDとしてリリースされることが減り、所有の手段はダウンロード一択という楽曲が増えています。

7月1~7日を集計期間とする最新7月15日付のビルボードジャパンソングスチャートには、シングルCDに先駆けて先行配信、もしくはCD化未定の楽曲が多く初登場を果たしました。ダウンロード2位の手塚翔太「会いたいよ」(総合19位)を筆頭に、6位の[ALEXANDROS]「月色ホライズン」(総合16位)、9位のPerfume「ナナナナナイロ」(総合23位)、14位のDA PUMP「P.A.R.T.Y. ~ユニバース・フェスティバル~」(総合50位)、15位のゆず「GreenGreen」(総合86位)等、注目作品が多くランクインしています。が、これらの楽曲はいずれも勿体無い動きをしていると断言していいでしょう。

7月15日付のダウンロードソングスチャートをみると、「会いたいよ」が18438、「月色ホライズン」が14986、「ナナナナナイロ」が11424ダウンロードを獲得。しかし、『アクエリアスのCMソングに起用されている[ALEXANDROS]の「月色ホライズン」は、7月5日の配信スタートから14,986DLを獲得』『同じく先週末7月6日から配信が始まったPerfumeの「ナナナナナイロ」は、11,424DLを記録』(いずれも上記リンク先より)とあり、最新チャートの集計期間の終了前日もしくは2日前の解禁となっています(他にもDA PUMPは7月5日、ゆずは集計期間最終日となる7日に配信開始)。それゆえ、たとえば「月色ホライズン」が7月1日に解禁していたのならばほぼ間違いなくダウンロードは7日までに2万を超え、菅田将暉まちがいさがし」を上回り同指標首位に就いたはずです。

また、ダウンロード2位に入った”手塚翔太”とはドラマ『あなたの番です』(日本テレビ 日曜22時30分)における田中圭さんの役名であり、ドラマ放送日となる7月7日日曜に解禁されたためその集計期間はわずか1日しかありませんでした。

歌っているのが田中圭さんだということは、7月6日土曜放送の『THE MUSIC DAY』(日本テレビ)内、21時前後にで明かされたのですが、ならばその直後に配信をはじめてもよかったのではないかと思いますし、個人的にはドラマ放送終了のおよそ30分後、7月8日0時に配信を開始すれば、今週水曜発表の7月22日付ビルボードジャパンソングスチャートにおいて集計期間丸1週間分のダウンロードセールスが加算され、トップ10入りも間違いなかったはずです。当週「会いたいよ」はチャート構成比に占めるダウンロード指標が8割強(他はTwitter指標のみ)で、総合ポイントを踏まえればダウンロード指標で稼いだポイントは1700前後に。仮に今週月曜に解禁し4万ダウンロードを獲得したとすれば、ダウンロード指標だけで3700近いポイントを稼ぐことが出来、1指標のみでトップ10入り出来たはずです。

 

日本はアメリカ等と異なり、ストリーミングはおろかダウンロードへもフレンドリーではない歌手が未だ少なくないため、アメリカのような基本金曜デジタル解禁という方針が日本では踏襲されていません。逆に言えば、歌手がそれぞれタイミングを設定し、”仕掛ける”ことが可能なのです。CM解禁や映画公開等にスケジュールを合わせないとならないためか解禁に制約はあるでしょうが、「会いたいよ」等の例を考えれば解禁日を集計期間早めに持っていくほうがチャート上有利になることは間違いありません。チャートを気にしないという歌手もいるかもしれませんが順位が高いことで損をすることはまずないと思いますし、高位置に登場すればするほど注目は集まるでしょう。この解禁日設定もマーケティングの一環ゆえ、きちんと考えていただきたいと思います。